DMN Design Management Report #047
行動理論は、行動がなぜ起こり、どのように達成し持続するのかを明らかにする
rina Nik イリーナ・ニック
UX designer
これらの理論を説明するために、私が砂糖断ちをしようとしていることを例にして説明します。
プロチャスカとディクレメンテは、多理論統合モデルを、300以上の心理療法の理論に基づいて構築しました。これが多理論統合といわれる所以です。
彼らは、行動がすぐには変わらないことを示唆しています。行動変容のプロセスは、6つのステージを経て進んでいきます。各ステージでは、行動を促すために異なる戦略を適用することができます。
トランス理論モデルのステージと戦略
第一段階は、プレコンテンプレーション(前考慮)期です。この段階では、半年以内に何か行動を起こそうという意思はありません。私も子供の頃、お菓子を食べるのをやめようとは全く思いませんでした。
熟考期では、目標とする行動について考え始めます。しかし、まだすぐに行動に移すことはできません。砂糖は体に悪いのではないかと考えていますが、何もしていません。
準備期では、人々は行動を変えるための計画を立て始めます。砂糖を使わないレシピを探しています。
ついに!実行期🎉です。人々は自分の行動を変えました。そこから半年間は、新しい行動は不安定で、簡単に前のステージに戻ってしまうことがあります。私の生活にはもう甘いものはありません。
維持期では、ライフスタイルが変わりました。人々は新しいプロセスを開発しました。しかし、獲得した行動をやめたくないという確立期に到達するまで(または到達しないままで)、まだ再発する可能性があります。
計画的行動理論(簡略版)
非常に単純化して言うと、この理論では、行動を実行する意図は以下の構成要素によって形成されるとしています。
態度。人が行動とその結果をどのように評価するかということです。砂糖をやめることは、気分も見た目も良くなる健康的な生活を送るための手段だと考えるかもしれません。あるいは、砂糖をやめることで、楽しい時間を過ごすことができなくなると考えることもできます。
規範は、行動に対する社会的な態度とそれに対する反応を表します。私がおばあちゃんが作ったケーキを食べないと、おばあちゃんが怒ることがあります。たとえ友人が全員歯医者で、私の行動変容をサポートしてくれたとしても、私はおばあちゃんのケーキを食べます。
コントロールは、行動を促進または防止する要因を説明します。家にお菓子がなければ、望ましい行動を維持するチャンスが増えます。お菓子が違法だったら? そう、お菓子が違法になれば、間違いなくもっとうまくいくことでしょう。
マインドスペースアプローチは、英国政府研究所(Institute for Government)が開発した非強制的な行動変容ツールのチェックリストです。以下の項目で構成されています。
BJフォッグは、行動がどのように発生するかを説明する、シンプルで適用可能なモデルを開発しました。
行動を起こすためには、3つの要素が必要です。
要素の1つでも欠けていれば、行動は起こりません。グラフではこのようになっています。
モチベーションと能力は補完関係にあります。モチベーションをコントロールするのは難しいので、行動を達成するためのより良い方法は、できるだけ簡単にできるようにすることです。
砂糖の例では、望ましいゴールは行動を起こさないことです。では、なぜ行動が起きてしまうのかを考えてみましょう。この場合、望ましくない行動のきっかけは、本来的なもので、例えば血糖値が下がるとかエネルギーが低下するなどです。モチベーションはその反対で、今日の健康的なライフスタイルを心がけるようすれば、その分甘いものを取ることが少なくなります。能力は、甘いものを取るのがどれだけ簡単か、そしてより健康的な選択肢を選ぶのがどれだけ難しいかを表しています。行動を避けるためにできる最も簡単なことが2つあります。きっかけを減らし、行動をできるだけ難しくすることです。そして、モチベーションを高めることに取り組みます。もし行動を起こすことが目的であれば、この逆になります。
デザイナーの間で最もよく知られている行動モデルのひとつは、ニール・イヤール(Nir Eyal)氏の著書『Hooked(ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール)』に書かれています。他の理論とは異なり、この理論は習慣化された製品を作ることに関連しています。
製品を繰り返し使うように習慣づけるためには、ユーザーをループで動かす必要があります。それはこのように構成されています。
ニールは、3つの中心的なモチベーションを認めています。
そして、さらに3種類の可変報酬を挙げています。
習慣を形成するためのループモデルを提案しているのはニール・イヤール氏だけではありません。同様のモデルは、チャールズ・デュヒッグ氏の著書「習慣の力」や、エイミー・ジョー・キム氏の「エンゲージメント・ループ」でも提案されています(「ゲーミフィケーション101」を参照)。
多理論統合モデル、計画的行動理論、マインドスペース(MINDSPACE)アプローチは、行動を変える介入活動の指針として設計されました。フォッグとフックのモデルは、より製品指向です。これらのモデルは、下の図に見られるように、行動変容のタイムラインの異なる部分に関係してしています。
タイムライン上の行動
これで、皆さんが行動変容のジャーニーを理解し、それぞれのステップで何ができるかをより明確にすることができたのではないかと思っています。
追伸:いや、まだ砂糖はやめていませんよ。
この記事は、2021年5月に公開されました。英文はMediumで閲覧できます。
● Major behavioral theories, explained
https://uxdesign.cc/major-behavioral-theories-explained-7cad533694a2
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(DMN編集部)