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あなたは、最終的にはあなたの組織構造を出荷する、と、コンウェイの法則は言っている。肥大化した部門をたくさん抱える大企業は、多くの依存関係を持つ肥大化した製品を販売することになる。
だから私たちはアジャイルに移行し、リーンにした。
そしてトラブルが始まった。
この記事はアジャイルに対する議論ではない。むしろ、私はアジャイルのやり方でチームを指導したことがあるし、怪しいが必要なスクラムマスターコースも修了している。
ただ、よりダイナミックな仕事のやり方を取り入れようと急ぐあまり、学習が失われてしまったのだ。
説明するために、少し時代を遡ろう。
20世紀初頭、「高く積んで安く売る」ことが工場のボスや駆け出しマーケティング担当者の信条だった。生産スピードが最も重要視され、それが後にトヨタ時代の効率化へと発展し、アジャイルが生まれた。
コスト削減を重視すれば、誰も利益を上げられなくなるまでどん底の競争になる。
効率性を重視すれば、予期せぬ事態に対応する能力が奪われ、マシンが停止するまでチームをお役所仕事に縛りつける危険性がある。
結局のところ、持続可能な利益を得る唯一確実な方法は、差別化である。有名なビジネスの第一人者であるマイケル・ポーター氏は、戦略とは、競合他社が真似しにくい、持続的かつ収益性の高いサービスを提供するための一連の決断であると定義している。コカ・コーラ、テッド・ベイカー、フォールアウトのフランチャイズ、音楽グループのブラックピンクなどは差別化の好例だ。
CBインサイツによると、全商品の90%以上が失敗しているが、その原因のほとんどは市場のニーズがないことだ。
顧客の共感を得るような差別化を図るには、製品を購入する人々の欲求やニーズを理解する必要がある。
私は、後に大企業へと成長した中小企業でリサーチを学んだ。企業の中核はデータの販売であったため、分析は非常に重視された。
当時、マーケットリサーチと呼ばれていた部門は、役員層と製品チームの両方にサービスを提供しているビジネスプランニング&マーケティング部門の一部であり、基本的に戦略部門だった。
ビジネスが成熟し発展するにつれて、チームはカスタマーインサイトとなり、今でいうUXリサーチの大部分も含まれるようになった。駆け出しのUXチームは、カスタマーインサイトとシームレスに連携しながら、小規模で頻繁なユーザビリティテストを行い、リサーチを依頼するプロダクトマーケティングマネージャーがコーディネートしていた。
次の会社では、カスタマーインサイトとUXの境界線はさらに曖昧になり、UXチームに配属された。フルタイムのUXの職務に就いたのは、ほんのわずかな横の移動だった。既に10年以上、ディスカバリー(デプスインタビュー)、ユーザビリティテスト(インタビュー・ウィズ・タスク)、ツリーソーティング、カードソーティング、アンケート、観察を行っていた。
さらに重要なことに、私は先輩から学び、その知識を、チームで働くメリットをあまり認識していないカスタマーインサイトとUXの両方の同僚に伝えてきた。
成熟した企業では、"リサーチ"は、高度な訓練を受けたスペシャリストのチームによって行われる、幅広く深い分野である。
私が最近出会った最新のスタートアップ企業にはカスタマーインサイト部門がない。その代わり、幅広いUXコースの中で1つか2つのモジュールとしてリサーチを扱ったことのあるデザイナーを雇っている。リサーチャーを雇う場合も通常は一人だけで、その人も火消しに忙しく、顧客のニーズを深く理解できない。
リサーチ業務の多くは、カスタマーインサイトやUXでない人々によって行われるが、彼らはリサーチのやり方をよく知らないため、しばしば危険な、誤解を招くような解釈を含んでいる。もし顧客にあなたの製品を買うかどうか尋ねたら、彼らはおそらく気を使って「はい」と答えるだろう。
多くのビジネスリーダーは「アジリティ」と「スピード」を混同し、より多くの機能をより早く生産することを急ぐあまり、向こう見ずな不注意を起こす。
アジャイルが価値のあるソフトウェアを出荷することなら、価値のあるものだとわかっていないものを出荷するのはかなり危険だ!
デザイナーはプロトタイプを開発し、ユーザーの前に出す。ユーザーはそれをバラバラにして、苛立ったエンジニアに送り返す。エンジニアは大量のやり直しをするはめになる。最初から必要とされていたが誰もきちんと見つけられなかった未解決の問題があるからである。
一人きりのリサーチャーやデザイナーのリサーチャーに見られる最初の対処メカニズムは、インタビューの長さだ。事前リサーチなしの15〜20分の製品に関する電話。その時間内に学べることは多くない。何を、はわかるが、何故か、はほとんどわからない。
仕事の質自体は悪くないが、浅すぎて、システムを明らかにすることができない。額面通りに受け取られすぎている。報告書を読んでも、あまり多くの気づきがない。
ユーザーが製品を使いこなすのに苦労していることは理解できるが、そのユーザーが誰なのかさえわからない。それに答えられないのであれば、他のことを聞いても意味がない。
私が次の職務に就いて最初にしたことは、リバースディスカバリー(逆発見)のプロセスに着手することだった。
私の最初のインタビューは1回90分に及び、彼らの朝の習慣から購買基準まで、あらゆることを深く掘り下げていった。UXディスカバリーの仕事は、マーケットリサーチと強く重なる。なぜならマーケットリサーチの仕事は、やる人がいようがいまいが、引き続きすべきこと!であるから。
市場のニーズがなければ売上もない。
運良くしばらく売れ続けていたとしても、顧客理解がなければ、やがてユーザーニーズから離れ、売上は落ちていくだろう。
リサーチャーとしてまずやるべきことは、たとえその仕事が何年も前に終わっているべきことであったとしても、自分たちの顧客が誰なのかを理解することだ。
一度有効な行動ペルソナが明確になったら、もちろん簡単な評価テストを行う。既に彼らの習慣、ルーティーン、現在の解決策は知っているため、いちいち尋ねる必要はない。
私の典型的なインタビューは、90分から45分に短縮された。彼らの背景を素早く確認した後、そのまま製品を使ってもらう。
その後戻ってきてもらう。既に彼らのことは知っているので、私たちは直接本題に入ることができる。90分が20分になり、もはや正しいものを作ったかどうかは尋ねずに、正しく作ったかどうかを問う。
以前の会社では、小さなリサーチプロジェクトを数時間で終わらせることができた。最近の私の記録は36時間だが、何とかなっている。
ありがたいことに、現在ではマーケットリサーチャーが価格や市場環境に関することを担当しており、私はデザイナーと密接に協力しながら、ユーザビリティに専念している。報酬も増え続けている。
価値ある仕事をしていれば、それについて議論する必要はない。最初は微妙なインパクトだったとしても、人々は注目し始める。
私はリサーチを、戦略の一機能として位置づけている。なぜならその通りだから。リサーチは、全てのビジネス事例、起業家精神やプロダクトマネジメントのコースで初日に習うことである。
顧客を理解しなければ、うまくいく戦略を立てることは不可能だ。
ほとんどのスタートアップ企業は失敗するが、たまに運良く、偶然にもユーザーのニーズを満たす製品を開発することがある。あなたは、彼らが成功を再現するのに苦労している姿を見て、初期の成長を維持する唯一の方法は、顧客が本当に必要としているものを学ぶことだ、ということを見抜くだろう。
その学習が浸透すればメリットは自ずと明白になるが、あなただけではおそらく1つの製品でしかそれをできず、1つの製品が成功する一方で他の製品は低迷することになる。
私が以前勤めていた会社では、リサーチャーを1人雇い、次に2人、4人、8人と増やしていった。それは、肥大化したソフトウェアを出荷する肥大化したチームを持つということではなく、ポートフォリオに含まれる製品数に対して、十分なカバレッジを提供するのに十分な人員を持つということだった。
人員不足の企業にある手入れされていない製品は、たくさんの使われない機能に特徴づけられる。もしアジャイルが、"やらない仕事の量を最大化する"こと、であるなら、ユーザーを理解することは、重要な仕事(だけ)をしていると確信するまさしく唯一の方法である。
リサーチャーのチームを持つことは肥大化ではない。十分なリサーチャーを持たないことは、むしろ浪費である。人々が買わない、使わないものを作りすぎてしまうのだから。
あなたは、最終的にはあなたの組織構造を出荷する。つまり、ユーザーのニーズを理解するのに十分な数のリサーチャーからなるチームが、組織構造に含まれていれば、製品は効率的に焦点が絞られ、成功のために配置されることになる。
英語版参照元:
https://bootcamp.uxdesign.cc/the-structural-problem-with-ux-854dae875544
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