個人による情報発信が当たり前になり、企業では個々人の行動ログを収集し、そのビッグデータの活用に勤しんでいます。
急速に変わっていく個人情報のあり方を、消費者はどのように捉えているのか?
そして、企業はどのように収集し活用していけば良いのか?
今回はこの疑問を明らかにするために大きく2つの質問をしました。
Q1.企業に提供しても良いと思う方はどっち?
”バルーン”というウィジットを用いて
「顔写真」「メールアドレス」「位置情報」「買い物履歴」「遺伝子情報」の5つの総当たり戦で2択を迫りました。
結果は、以下の通り。
このアンケート、実は回答までにかかった時間(反応速度)も測定していました。
「顔写真」が出た時の反応が早く、直感的に”ダメ”と感じやすい一方で
「位置情報」や「遺伝子情報」は反応が遅く、どういうリスクがあるのか判断に一瞬時間がかかっているようです。
さらに、踏み込んで
Q2.「買い物履歴」「顔写真」「遺伝子情報」それぞれに対して
①特になし :企業に公開・提供してもらえますか?
②目的提示あり:あなたにオススメの商品をレコメンドするために/
より多くの人とコミュニケーションを楽しむために/
あなたの肥満や睡眠の遺伝子タイプを診断するために ・・・・
③金額提示あり:情報の提供と引き換えに五千円もらえるとしたら ・・・・
の3パターンで、
そう言われた時にどう思いますか?あなたの気持ちを顔で表してください。
と100段階で評価してもらいました。
その結果がこちらです。
「買い物履歴」と「顔写真と遺伝子情報」は全く異なる動きをしていました。
面白いですね。
「買い物履歴」に関しては、目的を提示しても提供意欲は変わらないのに、金額を提示すると上がっています。
それに対して、「顔写真と遺伝子情報」は、目的がわかると提供意欲が高まるのに対し、金額を提示されると下がっています。
目的が明示されることで、”安心感”が醸成され、”自身のメリットになる”ことを感じる
一方で、金額を提示することで、企業の下心を感じるのかむしろ怪しいと警戒するようです。
個人情報の提供に関しては、安易な金銭の報酬より、安心感と意味の設定をどうするかで大きく変わりそうです。
ちなみに、「買い物履歴」に関しては、すでに吸い上げられているとわかっているので安心感を醸成する必要もなく、
使用目的であるオススメのリコメンド機能も消費者からはあまりメリットと感じられていなかったために点数が伸び悩んだようです。
個人的には、「遺伝子情報」という”超”個人情報も目的さえあれば、無償で率先して提供する人が半数近く(53%)いたことに驚きました。
個人が繋がることでの得られるメリットや企業のオープンイノベーションが叫ばれ、
情報を開示することでのダイナミックなサービスの向上が流行っているとはいえ、
消費者側は無警戒に個人情報を垂れ流すことのリスクもしっかり認識していく必要があるのではないかと思います。
今回得られた不思議な矛盾について、データベースを使ったマッチングサービスのベンチャー会社、株式会社GFLのCEO田邊氏に寄稿いただきました。
_______________
個人情報と一口にいうが、その性質や状態、活用や悪用について我々はまだまだ無知だ。
今回のmctインサイトのテーマは、そのキワのあやうさを我々に突き詰めるものだった。
個人情報は、過去(履歴など)と現在(位置情報など)、行動(買い物など)と素性(DNAや顔情報など)が、時空空間の上で、”足跡”と”素顔”としてのたくっている状態を連想させる。
この情報、どれを、誰に、どのような形と条件で渡すのかによって、自らの生活のメリットとリスクが否応なしに決まってくる。
DNA情報の提供から既往歴や将来のガンのリスクが保険会社に渡り、予期せぬ保険差別をされる可能性があっても、顔写真の開示のほうがなんとなくストーカーを連想しやすく、危機感をイメージしやすいかもしれない。
売り渡した買い物履歴が、高度なAIによる執拗な詐欺勧誘の肥やしになるリスクがあっても、すでにやられているだろうという「慣れ」で許容してしまうのかもしれない。
個人情報というものがまさに自分自身そのものであるにもかかわらず、かくもとらえづらい「なんとなく」であるがゆえに、その扱いがどうしても感覚的で場当たり的になってしまうというのが、現時点で我々が個人情報と向き合うときの実態のようである。
この自分自身の個人情報という「なんとなく」をきちんと自らの意思で管理、運用できる時代がくれば、我々の社会は個人とより緊密な互助関係を結べる”Intention Economy”へと昇華するのかもしれない。
(The Intention Economy: Doc Searls HBR)
_______________
消費者側は、自己防衛のために個人情報のハンドリングを身につける必要があります。
そこからさらに進んで、積極的に自ら意思のシグナルを市場に発信することによって、田邊さんの言う通り”Intention Economy(意思の経済)”に近づけるかもしれませんね。
”なんとなく”を理解し意図的に設計すること。
本文中あえて消費者と呼んでましたが、顧客と対等な関係でいること。
この2つをmctではすごく大事にしています。
今回得られた”なんとなく”も企業側にとってより良いサービスにつながれば幸いです。
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第3回のアンケートへの回答へのご協力ありがとうございました。
最近ニュースでもよく見る「デザイン思考」という言葉や、
〜デザインという言葉が本当によく増えていますよね。
プロダクトデザイン、エクスペリエンスデザイン、
インクルーシブデザイン、スペキュラティブデザイン、
・・・
そこで今回はそんなデザインという言葉にみなさんがどのような
イメージを抱かれているか、そして実際に製品やサービスを購入されるときに
デザインのどういった部分に対して金銭を払うのかというのをアンケートを通して探りました。
アンケートは2つのセクションに分け、
1つ目はデザインという言葉に対して
みなさんどのような言葉を思い浮かべられますかというフリーアンサーの質問と
2つ目は今回も”プール”というツールを用いて、2軸上、
そして3つ目の軸にマッピングする形で回答していただきました。
そしてポイントはどういった部分に金銭を払うかという部分と、
プロダクトがデザインされていると思うか(満足しているのか)
という部分を探るよう設問を設計しています。
アンケートの結果はこのようになりました。
二つの結果をマッピング化してみました。
まずは1つ目のデザインという言葉に対するイメージです。
これらをマッピングしてみると大きく分けて
見た目の部分に言及する人と機能面に言及する人、
バランス的な部分、システムなど統合されたものに関連するキーワードがあがっていました。
続いてよくデザインされているもののイメージ
よく「デザインされているも」のに関しては、
小説やギャンブルなど
ユニークな回答がたくさん上がっていました。
それらをジャンルでくくり直してみました。
結果を見てみてみなさんいかがでしたでしょうか?
なかにはデザインという言葉をさして、
使い勝手が悪く、高価という意味で活用している方もいらっしゃいます。
人によって様々なデザインへのイメージがあることがわかります。
次に質問したのは
とある4つのプロダクトに対して、
デザインのどの部分に費用を払うかということを探っていきました。
たとえばとある人の回答をピックアップすると、
この方は車に関しては見た目に大きく投資をし、
牛丼は味などのの機能面が重要だということがわかります。
また、インテリアに関しては機能面には費用を払わないのに、
デザインに関しては割と満足しているということは
インテリア製品はこの方のなかで大きく見た目の部分で価値を占める
こういった結果を通して、
それぞれのプロダクトの伸びしろがわかるような結果となりました。
それでは平均はどのようなかたちになるでしょうか。
このような結果になりました。
みなさんの回答とのギャップはいかがでしたでしょうか。
このように、
各プロダクトに対してのイメージ、らしさと
デザインは深く結びついており、
それがデザインへの満足度とも関連があります。
例えば、牛丼はみなさんの回答を見ても、
機能面に関して費用を払うとし、見た目にはお金を払わないという回答が多いようです。
それではよりデザインされていると思うという満足度のために何が出来るでしょうか?
この場合は牛丼のデザインというユーザーでの文脈では
安さ、早さなどの機能面でのデザインに価値が
置かれていることになります。
なのでそういった機能面への期待を裏切るような
デザイン改善策は難しいため、
あくまでユーザーの期待の文脈に乗っ取った上での改善が求められています。
あるいはこの文脈を生かした意外性を効果的に活用する必要があります。
ここでやはり重要なこととしては
あらゆる新製品やサービスの開発にしても
その業界や製品全般へのユーザーからのバイアス(先入観)があります。
そうしたユーザーの製品へのエモーショナルな内面へのリサーチ
ユーザーから見た世界観の理解など
提供側からはなかなか見えない
その「らしさ」を乗り越えるための強い仕組みづくりが重要だと言えます。
デザインという言葉を使いこなす難しさ。
私も一人のデザイナーとして、
デザインという言葉の使い方にはいつも慎重になることが多いです。
例えば、何かデザインを提案するときには必ず、
1 そのデザインする対象がどう製品サービスの文脈の中で機能すべきか
そして、それに対して、
2ビジュアルやスタイルでどうエモーショナルな付加価値をどのようにつけていくか
この上記2つを出来るだけ分けてクライアントに話すようにしています。
もちろん明快に分けられる訳ではないのですが、
提案時には出来るだけ、お互いにわかりやすい言葉
意味を明快にしながらのコミュニケーションすることが重要になります。
クライアントがデザインという言葉を通して何を伝えようとしているのかに常に着目しています。
一度、みなさんも職場でデザインや分かりづらい言葉に関してディスカッションしてみるのも
面白いかもしれませんね。
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第2回のアンケートへの回答へのご協力ありがとうございました。
先日弊社で行いましたConvivial Salonでも取り上げました
LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)
をテーマにみなさんにアンケートを通して、
まだまだ聞き慣れない言葉でもあるLGBTへのイメージを探りました。
今回は、大きく2つのことを質問しました。
Q1.LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)に該当する方々が
・自分の職場にいる
・自分の上司である
・同性婚をする
・自分の子供の先生である
ことに対して
「自分はOKかNGか」また「他者はOKと思っているか、NGと思っているか」お答えください。
”プール”というツールを用いて、2軸上にマッピングする形で回答していただきました。
今回のアンケートのポイントとしては、「自分にとって」と「他者にとって」と分けて聞いたことです。
実際、結果はそれによって大きなギャップがあらわになりました。
アンケートの結果はこのようになりました。
マップした位置を「−10点〜+10点」で数値に換算しているので、
全ての項目に関してほぼポジティブ、受け入れているという結果でした。
ただ、「職場にいる」「上司である」「子供の先生である」の順に、
受け入れ具合は下がっています。
「LGBTの方が子供の先生である」の点数が低かった理由をを見てみると、
もちろん能力とLGBTであることは無関係だとしつつも、先生がLGBTの方になることで
多感な時期の子供にはどういう影響があるのか、
自分のこと以上に過敏になってしまうというものが多かったです。
上記のように男性、女性の結果を分けてみると
上司にLGBTの方がいても許容度が高いのが女性で、
同性婚には男性の方が抵抗感が高いなど、
男女差も出ていることが見て取ることが出来ます。
また、今回のアンケートのポイントは、「自分にとって」と「他者にとって」と分けて聞いたことでした。
「他者にとってOKかNGか」の回答にはどんな気持ちが潜んでいるのでしょうか?
一つは、素直に
” 世の中一般の人の認識ではこうでないか”という意味で回答しているかと思います。
(ニュースなどで見聞きする情報から考えられる範囲で)
しかし、「他人は」と主語を変えることで、
自分が主語の時に語れなかった本音や、
その人の心の深層に根強く残る常識が
滲み出している部分もあるのではないでしょうか。
次の質問では、こんなことを聞いてみました。
Q2.今までに「勝手に自分にラベルを貼られたこと」や
「マイノリティーであることで差別を受けた」経験はありますか?
その時の気持ちを教えてください。
結果はこのようになりました。
明らかに差別というものは、大人になってから良識のある人はしないでしょう。
しかし、自分が気づいていないバイアスによって、
知らずしらずのうちに相手を傷つけていることも多々あるように思いました。
LGBTに限らず、人からラベルを貼られたり、差別された経験はあるものです。
現代では、人種の壁も超えて、いろんな価値観のある人たちと交流できる激動の時代です。
自分の悪意のない当たり前が、了見が狭いために相手を傷つけることになっていないか
今一度考えてみたいものです。
LGBTへのアンケートを通して
みなさん一人一人のマイノリティに対するイメージを探ってまいりましたが、
実際にLGBTやそうしたマイノリティに関しての啓蒙や企業研修をされている
株式会社Letibee代表の榎本さんにお話を伺って来ました。
________________________________
mctさんによる興味深い調査でした。
あえて自分ではどうか、他の人ならどうかと分けて考えることで、
その間にあるギャップに気づいた人もいたのではないでしょうか。
社会に一定数のセクシャルマイノリティが
存在しているということが浸透してきているのは、
行政や企業の取り組みがメディアに注目され
露出されるようになったことに影響されていると思います。
ただOKと答えた人にも、NGと答えた人にも関係なく、
セクシャルマイノリティの人たちはいます。
それは社会の風潮がどうであろうと過去もこの先も
本質的に変わるものではないということではありません。
こういった調査をきっかけに、自分が当たり前、
そうあるべきだと思っている事柄はどういった考え方をもとに導かれていて、
なぜその考え方を持っているのか、そう紐解いていくと
自分でも気づかない意外な偏見に気づけるかもしれません。
榎本さんありがとうございました!
長い間、LGBTの方に関して話題に上がることもタブーとされていた過去がありますので、
簡単には”社会の風潮、雰囲気”は変わらないかもしれません。
あえて、なぜLGBTの方だけ注目されないといけないのかと、
憤っている当事者の方もいらっしゃるでしょう。
でも、この過渡期の”なんとなく、LGBTであることはそんなに問題のあることではないのでは”
といったその”なんとなく”がもっと表に出てくることで、議論が活発になり、
誰しもが当たり前に持っている差として認知が広まれば
社会の風潮も変わり、もっとお互いに認められる
優しい世の中になるのではないでしょうか?
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