ジャスミン・フリードル Jasmine Fried
ドロップボックス社のデザインディレクターとして、コアプロダクトのチームを率いている。それ以前には、インターコム、ウダシティ、チャンザッカーバーグイニシアチブ、フェイスブックなどでデザインチームを率いていた。
今回は、ヒューリスティックを用いてデザインの質を測るアプローチについて、ドロップボックス社のデザインディレクター、ジャスミン・フリードル氏によるMediumの記事をご紹介いたします。
「デザインのクオリティをどうやって測ればいいのか?」これまで私がデザインを先導してきたどの会社でも聞かれました。デザイナーに限らず、ステークホルダーや経営者からもよく聞かれることです。その解決策としては、「見ればわかる」というものから、原理原則に基づいた評価や、詳細で厳密な製品・デザインレビューなどがあります。その他にも、NPS(ネットプロモータースコア)やCSAT(顧客満足度)のような調査、また、「私たちの製品のどこがお気に入りですか?(How delightful do you find our product? )」という問いによるカスタムユーザー調査などが提案されます。
これらの解決策はいずれも問題を持っています。社内主導の評価は、社内の動機や盲点によってバイアスがかかる可能性がありますし、アンケート調査では、デザインの質について切り離して扱えなかったり、ユーザーに必要以上に負担をかける場合があります。
今から数年前、私はある会社でデザインとリサーチのチームを率いていましたが、そこではジョン・ドーアの哲学とOKRの適用にとりつかれていました。私たちは、デザインの質を含む、あらゆるものを測定していました。
私たちがたどり着いた評価メカニズムは、ヤコブ・ニールセンの「ユーザビリティ10原則」をベースに、それを製品とユーザビリティのヒューリスティックスに拡張させたものでした。デザインチームの自分たちの仕事に対する評価にはバイアスがかかることがあるので、私たちは、デザイナーは何が「いい」かをわかっている必要があるということを結論づけました。実践において批評は不可欠な要素だからです。
私は数人のチームメイトと協力して、製品の企画、UXデザイン、UIデザインといった製品デザインの一般的な内訳にマッピングされた一連のヒューリスティックスを開発し、繰り返し使用しました。さらに、デザイナーの資質やスキルを同じようなグループに分けて検討することで、品質を評価する際に「このプロジェクトでデザイナーが強みを発揮した部分や機会があった部分はどこか」という質問に簡単に答えることができるようになりました。
評価の方法としては、製品の発売ごとに少人数のグループで集まって、出荷された製品について軽いレビューを行いました。それぞれの質問には「はい」か「いいえ」で答え、パーセンテージを(「はい」が100点、「いいえ」が0点で)計算して、品質を数値化しました。
もちろん、これが完全に正確な結論というわけではありませんでしたが、プロジェクトごとに共鳴するバリエーションを記録し、デザイナーにフィードバックするだけでなく、非デザイナーと品質の状態を共有するための言語を持っていることが有用であることがわかりました。
では、そのヒューリスティックスを紹介しましょう。
ユーザーの問題
オーディエンス
価値
デザインの原則
システムの状態
手元の明確なタスク
わかりやすさと使いやすさ
ユーザーの期待
エラー処理
一貫した基準
再生記憶よりも再認記憶
親しみやすさ
技能
なお、こうしたヒューリスティックの例は、私たちが考えるデザインの質に合わせてカスタマイズしたもので、文脈によっては異なる場合があります。例えば、デザインの原則はデザインチームとして確立した原則です。学生との共同作業では、「人はどのようにして学ぶのか」という点に着目しました。
このやり方は私たちにとっては有効でしたが、私たちのような小さなチームをはるかに超えて拡張することはできないことは認めます。例えば、毎日何百人ものデザイナーが製品を作り出しているようなチームでは、手作業でレビューを行う余裕はないでしょう。しかし、デザイナーがさまざまな分野で自分の技能を向上させることができるようになれば、品質の強化になり、公式または非公式にこれらを実施することで、企業とユーザーのどちらにとっても、製品や機能の成功度を測ることができ、質の高いアウトプットや成果につながると考えています。
この記事は、2021年1月に公開されました。英文はMediumで閲覧できます。
●Measuring design quality with heuristics
https://uxdesign.cc/measuring-design-quality-with-heuristics-44857efa514
(DMN編集部)
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