第1回|なぜCXは現場で止まるのか

CX経営が機能しない本当の理由(CXとは何か)

CX(カスタマーエクスペリエンス)が大切。
それは、もう多くの企業が理解しています。
NPSを測り、顧客アンケートを取り、CX戦略を掲げる。
それでも現場では、こうした声をよく聞きます。
 
「結局、何を変えればいいのかわからない」
「施策は増えたけど、仕事は楽になっていない」
「CXって、誰の仕事なんですか?」
 
もし心当たりがあれば、それは珍しいことではありません。
多くの会社で、CXは“掛け声”で止まっています。
このシリーズでは、CXを理念ではなく
“現場で動く仕組み”にするための考え方を、できるだけ平易な言葉で整理していきます。
 
 

CXが進まない理由は「意識」ではなく「構造」

CXがうまくいかない理由として、よく挙げられるのは、
 
・現場の意識が低い
・部門間の連携が悪い
・デジタルが遅れている

といった話です。
でも実際は、もっと根深いところに原因があります。
 
それは、CXが“個人の頑張り”に依存したままになっていること。
たとえば、
 
・ベテラン社員の神対応
・一部の担当者の工夫
・たまたま相性のいい顧客との関係

こうした「良い体験」は確かに存在します。
でも、それは再現できません。
人が変われば消えてしまいます。
CXが続かない最大の理由は、
仕組みになっていないからです。
 
 

CXは「プロジェクト」ではなく「日常業務」

もうひとつ、よくある誤解があります。
CXは特別なプロジェクトだ、という思い込みです。
 
ワークショップを開く。
新しい指標を入れる。
コンサルを入れて戦略をつくる。
 
もちろん、どれも無意味ではありません。
ただ、それだけではCXは根づきません。
なぜなら顧客体験は、
 
・電話対応
・見積もりの出し方
・納期の伝え方
・トラブル時の一言

こうした日々の小さな判断の集合体だからです。
 
CXとは、現場の仕事そのもの。
だからCX経営とは、「現場の仕事のやり方」を変えることでもあります。
 
 

CX経営とは「個人技」から「組織能力」への転換

CX経営の本質は、とてもシンプルです。
それは、
 
良い体験が“たまたま”起きる組織から
良い体験が“自然に生まれる”組織へ変わること。
 
言い換えると、
 
・判断力
・連携力
・学習力
 
こうした組織の基礎体力を育てる取り組みです。
 
誰か一人が頑張るのではなく、
組織として同じ方向を向き、
迷ったときに同じ基準で判断できる。
それができてはじめて、CXは安定します。
 
 

CXはEX(従業員体験)から生まれる。

でも、それだけでは足りない

ここで欠かせないのがEX(従業員体験)です。
 
・意見を言いづらい
・失敗すると責められる
・忙しすぎて考える余裕がない

そんな環境で、良いCXは生まれません。
逆に、
 
・任せてもらえる
・認められている
・成長を感じられる

こうした状態では、人は自然と主体的になります。
CXとEXは切り離せません。
ただし、ここで止まってしまう会社も多い。
 
「働きやすくなった」
「雰囲気は良くなった」
 
でも顧客体験は変わらない。
 
理由は簡単で、方向を揃える“CXビジョン”がないからです。
 
 

【今日からはじめる第一歩】

今日は、こんな問いから始めてみてください。
 
あなたの職場では、
「私たちは、どんな体験を提供する会社なのか」
この問いに、チームで同じ言葉で答えられますか?
 
もし答えがバラバラなら、
それがCXが現場で止まる最大のサインです。
 
CX経営の第一歩は、
施策でもツールでもありません。
 
目指すべき体験を言語化し、共有することです。
 
 
【Series:CX経営スタートガイド:現場で動くCXをつくる】
第1回|なぜCXは現場で止まるのか —— CX経営が機能しない本当の理由(CXとは何か)
 
 
本シリーズでは、CX経営のスタートガイドとして、「現場で動くCX」をどうつくるかにフォーカスして整理しています。CX経営を、組織行動・デザイン・オペレーション・デジタル・脱学習という5つの力のフレームワーク(=企業変革のOS)として捉えた全体構造は、以下で詳しく解説しています。
 
 
白根 英昭

白根 英昭

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