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Written by DMN事務局
on 3月 24, 2025
DMN Report #107
聴覚障害者のためのデザイン
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Tamara Sredojevic

 


 
Designing for Deaf users
 

 

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エマニュエル・アボアフ


Paris Webでエマニュエル・アボアフと出会った後、UXデザインにおける聴覚障害の考慮について探求したいと思いました。エマニュエルは生まれつき耳が聞こえず、2つの人工内耳を装着していることから自らを「バイオニック」と表現しています。彼女はフルスタックのAngular .NET開発者であり、テクノロジー愛好家であり、さらにフェミニストコミュニティでも活動しています。リアルおよびオンラインの両方でアクセシビリティを推進するために定期的にカンファレンスで講演をしています。

彼女とオンラインでの聴覚障害者としての経験や、開発者としての視点について話し合い、彼女が直面しているさまざまな課題について触れました。彼女は、UXデザイナーが聴覚障害者のニーズにどのように対応できるかについての洞察を共有しくれました。対話では、補助技術の進歩、障害に対する認識、アクセシビリティの継続的な推進の必要性についても語られました。

このインタビューは、元々フランス語で行われました。エマニュエルの個人的な経験と、フランスで聴覚障害者として生活するという特定の文脈を反映しています。そのため、フランス国内および海外の他の人々の経験とは異なる可能性があります。


聴覚障害:私が知らなかったすべてのこと


「ろう者または難聴者」といつも言っていますが、

聴力の低下の程度に関係なくどちらも「ろう者」ではないのですか?

確かにその通りです。ろう者も難聴者も本質的には同じことです。聴力の低下には、軽度・中度・重度、そして私のような高度難聴があります。しかし一部の人は「難聴者」と表現することを好みます。それは、「障害」という烙印から距離を置きたいと感じるからかもしれません。また、どのようにして聴力を失ったかによっても使う言葉が変わることがあります。もし突然聴力を失った場合、「難聴です」と言いたくなる気持ちは理解できます。感覚を失うことを受け入れるのは、長く困難な過程です。中には恥ずかしさを感じ、「少し聴力が落ちただけ」と言う人もいます。特に若い人にはよくあることです。コンサートに行った後に聴力を損なうことは珍しくありません。私たちは聴覚の健康を過小評価しがちです。本当に簡単なことではないので、自分が「ろう者」だとは言いたくない気持ちも理解できます。私の場合、生まれつきのろう者なので、「聴こえる」という感覚がどのようなものか分かりません。また、「私はただの難聴者です」と言ったら、自分の障害やそれが私の人生に与える影響を軽く見てしまうことになります。それでも、「ろう者または難聴者」という表現を使うのは、それぞれが自分をどのように定義するかを尊重したいからです。


近視の私はコンタクトレンズなしではあなたを見ることができません。
でも、誰も私のことを視覚障害者とは言いません。その違いは何ですか?

視力が悪い人は聴覚障害のある人よりもずっと多いため、ろう者に対する偏見のほうが強いのです。聴覚障害は人々にとって「乗り越えられないもの」のように見えがちで、私たちはすぐに「かわいそうな聴覚障害者」と哀れまれてしまいます。しかし、「聾唖(ろうあ)※耳が聞こえず、口を使って話せないことを意味する言葉」という言葉は完全に時代遅れです。もはや使われるべきではなく、ほとんど中世的な表現です。一部のろう者は話さないことを選びます。それは、話す訓練を受けていなかったり、自分の声が好きではなかったり、あるいは手話で表現するほうが自然だからです。しかし、彼らの声帯は正常に機能しています。実際に声帯が損傷していて話せない人は、ごく稀なケースです。


生まれつきろう者の場合、話すことを学ぶには言語療法が必要になります。私自身、声をコントロールする方法を学ぶために20年間もスピーチセラピーを受けましたが、それでも私の声には独特のアクセントがあります。ろう者の声はさまざまな要因によって決まります。例えば、育った環境、教育、補聴器の使用、そして言語療法の影響などです。


話すことを学ぶだけでも大変なのに、どうやって英語を学んだのですか?

発音を通じて学びました。でも、話されている英語を理解するのはとても難しいです。英語の読唇術を訓練していないので、他の言語で口の動きを読むことはできません。英語の読唇とフランス語の読唇はまったく異なります。補聴器や人工内耳を使っていても、音を聞き分けるためには耳と脳を訓練しなければなりません。まるで機械学習のようなものです。「これは犬の鳴き声」「これは車のクラクション」といった具合に、日常の音を聞いて認識する方法を学びました。学校では、すでに多くの補助や言語療法を受けながら、追加の課題にも取り組んでいました。そのため、高校では第二外国語の履修が免除されました。もし学ばなければならなかったら、負担が大きすぎたと思います。その一方で、私は手話が流暢に使えます。手話は完全に独立した言語です。つまり、フランス語、英語、そしてフランス手話(LSF)を話せる私は、実はトリリンガルなのです!
 

聴覚と視覚の両方に障害がある人にとっては、さらに複雑なのでは?

はい、私たちのコミュニティの中でも少数派ですが、そうした方々のことを「盲ろう者」と呼びます。彼らをより包括的に支援しようと、私たちは努力を続けています。特に、Unanimes協会のトマ・ソレ氏の活動が大きな役割を果たしています。トマは「ウッシャー症候群」を患っており、この病気は進行性で徐々に視力を失っていきます。盲ろう者の方々には、特別な支援が必要です。例えば、字幕を見ることができないため、点字ディスプレイで読めるように文字起こしを提供する必要があります。
 

文字起こしは、動画やポッドキャストに関わらず必ず提供されるべきです。実際、これはアクセシビリティ関する規則の一環であり、すべてのマルチメディアコンテンツには、代替手段としてテキストベースの文字起こしが必要とされています。もし文字起こしが提供されなければ、私たちは本来得られるはずの情報を学ぶ機会を奪われてしまいます。


文字起こしが利用できると、本当に嬉しくて、すぐにコミュニティと共有します。でも、時々、文字起こしが「有料会員限定」でしかアクセスできないことがあります。他の人は無料でポッドキャストを聴けるのに、なぜ私たちだけ個人情報を提供しなければならないのでしょうか?これはとても不公平です。
 

失った感覚の経緯によって支援技術の使い方に影響はありますか?

はい、もちろんです。長い間、または生まれつき聴覚を失っている人は、他の感覚を発達させています。例えば、私たちは字幕を読むことに慣れています。私たちは非常に速く読むことができます。なぜなら、聴覚を通じて情報を得ることができないからです。しかし、年齢を重ねてから聴覚を失い、字幕が速く流れると、それに苦労することになります。そうした訓練をしていないからです。そのため、フランスでは2011年から字幕の品質に関する憲章が制定されています。字幕の色、文字数、行数などについての最良の基準が定められています。しかし、時にはそれがフラストレーションを感じさせることもあります。なぜなら、字幕制作者が文を要約しなければならないことがあるからです。そして、インプラントによって少し聞こえるようになると、その違いに気づくことがあり、それが不安を引き起こすこともあります。


さて、複数の障害を持つ人々についての質問に戻ると、現在、聴覚障害者や難聴者向けに字幕の色を適応させる取り組みが進められています。1980年代から、色分けのルールが存在しています。例えば、ノイズの指示には赤色、音楽にはマゼンタ、外国語の翻訳には緑色が使われます。しかし、色覚異常のある人にとっては、これが問題になることがあります。


また、私たちは触覚などの他の感覚も発達させています。最近では、Appleが新しい機能「ミュージック・ハプティクス」を追加しました。振動を通じて音楽を別の方法で感じることができるのはとても素晴らしいことです。


職場での聴覚障害:開発者の視点
 
リモートで働くこともあると思いますが、ビデオ会議はどのように対応していますか?

基本的には、自動字幕に頼って、それがうまく機能することを祈るしかありません。例えば、今私たちはMicrosoft Teamsで話していますが、私は自動生成された字幕を使ってあなたの話を理解しています。あなたのウェブカメラの解像度が十分でないため、唇を読むことはできません。インプラントを使って聞くことはできますが、「聞くこと」と「理解すること」は別問題です。幸い、字幕があるおかげで助かりますが、完璧ではありません。文脈や環境、話し手によっては、字幕に多くのエラーが発生します。特に、技術的な話題になるとうまく機能しません。私が話すときも、AIはアクセントをうまく処理できないため、多くの間違いが出てしまいます。
 

複数の人が同時に話す会議では、自動生成された字幕のエラーが特に多くなります。技術的な話題では、AIが正しく処理できないことがよくあります。そのため、私は事前にフランスのオンライン文字起こしサービス「Tadeo」を利用するようにしています。Tadeoの担当者が会議に参加し、より高品質な字幕を作成してくれます。ただし、これらのサービスは営業時間内のみ利用可能で、空き状況にも左右されるため、しっかりと計画を立てる必要があります。

 
これらの文字起こしサービスは、こうした状況でのアクセシビリティの問題を完全に解決しますか?

はい、ただし、字幕を作成する人が私の仕事の専門用語に必ずしも精通しているわけではないことがあります。そのため、事前に用語集を送る必要があります。それは当然のことで、すべての業界について知ることはできません。ですが、ご質問への答えとしては、これらのサービスは私にとって大いに役立っています。Tadeoだけでなく、EliozやLe Messageurといったサービスもあり、どれも非常に優れています。

 
 

文字起こしサービスはどのように機能しますか?
担当者は会議に参加するのですか?

文字起こしサービスの担当者は、音声で会議に参加することもできますし、ルーターを介してアクセスすることもできます。私は3つの画面を使っています。1つは会議用、1つは確認しているコード用、そしてもう1つは私だけが見られる文字起こし用です。



これらのサービスは文字起こしのみを提供しているのですか?

いいえ、フランス手話(LSF)やキュードスピーチ(CS)の通訳も利用できます。CSは、聴覚障害者や難聴者にとって話し言葉をより理解しやすくするシステムです。唇の動きを読む際に似た音を区別できるよう、顔の近くで手の動きを加えて表現します。また、これらのサービスは仕事の会議だけでなく、日常生活でも活用できます。例えば、銀行や保険会社に電話をかける必要があるとき、一部のウェブサイトでは、LSF、CS、または文字起こしを利用できるリレーセンターを通じて通話するオプションを提供しています。

 
聴覚障害者のユーザージャーニー:デジタル障壁を乗り越える

デジタルプラットフォームでのユーザージャーニーについて話しましょう。聴覚障害者として、CAPTCHAを使うことはできますか?

もちろん、CAPTCHA(※訳注 人間とコンピューターを区別するために用いられる認証方式)で問題を経験したことがあります。私は人工内耳を使用しているだけでなく、眼鏡もかけています。そのため、文字を判別するのに苦労することがあり、毎回コードを再生成しなければならないこともあります。しかし、音声オプションは一切使いません。なぜなら、私にとって役に立たないとわかっているからです。 人工内耳を使っていても、異なる文字の音を聞き分けるのは難しいことがあります。例えば、「P」と「B」や、「F」と「S」の違いを正確に聞き取ることができません。私は基本的に文脈から判断するしかないのです。そのため、誰かが単語や数字を一文字ずつ読み上げると、とても困難になります。でも、試しに一緒にやってみましょう。
 
 
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エマニュエルと私はオンラインでCAPTCHAを見つけ、彼女は私に音声オプションを有効にするよう頼みます。その間、彼女は目を閉じたままです。彼女は音声だけで文字を特定するのに苦労します。私たちはいくつかのコードを試しましたが、結果はいつも同じでした。音声は標準的なスクリーンリーダーほど明瞭ではなく、バックグラウンドノイズが混ざっていたり、複数の声が重なったりしていました。ある瞬間には、文字の間に猫の鳴き声まで聞こえたのです…。

 

ログインを安全にするために、CAPTCHAの代替として何が提案できますか?

「私はロボットではありません」というチェックボックスは問題なく機能します。また、数学の問題を解く方法もあります。シンプルな計算であれば、知的障害や認知障害のある人にとってもそれほど負担にならないでしょう。私は数学が苦手ですが、「1+1=2」くらいなら大丈夫です。ログインを安全にするための有効な代替手段はたくさんあります。
 

UXデザイナーとして、もし1つだけできることがあるとしたら、それは何がいいですか?

電話番号を必須にしないでください。もし入力を求めるなら、その理由を明確にしてほしいです。それが電話をかけるためなら、私は理解できません。何度も聞き返さなければならないし、話し手が聞き取りやすく話す努力をしてくれない場合は特に大変です。本当に疲れます。ほとんどの場合、私は適当な番号を入力してしまいます。もちろん、公式な行政書類の場合は別ですが。とはいえ、電話番号の入力を強制されると心理的にとてもフラストレーションを感じます。


だからこそ、ユーザージャーニーが明確であることが重要です。もしフォームを自力で記入できなかった場合、カスタマーサービスに電話をするのは私にとって解決策になりません。今、私は起業に関する情報を探していますが、フォームが全く理解できません。結局、友人に助けてもらうしかなくなります。このような不明瞭さが、私を完全に他人に依存させてしまうのです。


カスタマーサービスに連絡する必要があるとき、私がまず探すのはメールで問い合わせできるフォームです。もし最初のメールに返信がなければ、もう一度送ります。それでも反応がなければ、フランスのアクセシビリティ連盟のディレクトリを確認し、文字起こしやLSF、CSサービスがあるかを調べます。でも、こうした手順を踏むことで、すべての対応が遅くなってしまいます…。
 

オンラインで予約をする際、カスタマーサービスに情報を共有するための欄がありますが、そこに「電話をかけないでください」と記入しますか?

もちろん、書きますが、全く効果がありません!「私は聴覚障害がありますので、テキストメッセージかメールで連絡してください」と書いても、毎回電話がかかってきます。耐えられません!こうした問題については、引き続き意識を高めていく必要があります…。
 

今日の世界におけるアクセシビリティとインクルージョン


もし私の理解が正しければ、アクセシビリティは企業の戦略の一部であり、役割に応じてすべての職務が関与すべきだということですね?

その通りです。一番最悪なのは、ボイスメールを受け取ったときです。私はそれを聞けません!そのため、iPhoneを使うことが非常に重要になってきます。Androidと比べて、アクセシビリティ機能が異なるからです。iPhoneではボイスメールの文字起こしが利用できます。ただ、うまく機能しないこともあります。また、使っている電話によっても変わります…。さらに、現在は英語でしか動作しない機能もあります。

 

おそらく、金銭的な面も考慮しなければならないと思います。社会保障はインプラントをカバーしてくれますが、電話はカバーしてくれませんよね?

はい、その通りです。実際、私のインプラントのブランドであるCochlearは、Appleと提携してiPhoneでインプラントに対応した機能を開発しています。Androidでも動作しますが、機能は少ないです。そのため、私はiPhoneを購入する以外の選択肢がほとんどありません。そして、全員がそれを購入できるわけではありません。



スマートフォンを支援技術として考えるべきではないでしょうか?

とても良い質問ですね。確かに、Appleはアクセシビリティに対して多くのことをしてきました。Androidも同様ですが、少し違います。私にとっては、スマートフォンなしでは生活できません。だから、人々が持続可能性について私に話す時、持っているスマホがまだ使えるのに新しいものを買わないようにと言われても…、私にとっては、聴覚障害という問題があるので…、それとは別の心配事があります。必要に迫られてスマートフォンを購入する障害者には、割引を提供することを検討すべきだと思います。
 

私たちの会話が政治的な方向に向かっているように感じます。トランプが再選されたことを考えると、アクセシビリティの未来をどう見ていますか?

今こそ、以前にも増して戦い続けることが重要です。先日、AIとアクセシビリティについてのウェビナーを行ったのですが、その最後に参加者たちにこう伝えました。「あなたが誰であれ—男性でも女性でも、障害を持っている人でも、クィアの人でも—あなたは絶対に存在している価値がある!」でも、それを言ったのがトランプが再選された日だったので、なんだか奇妙な感覚でした。まるで全く別の次元のような感じでした。でも、それでも私は信じています。私たちはもっと努力をしなければなりません。私は団体やアクセシビリティの仕事を考えていますが、それは今、さらに必要です。私たちは団結し、共に抵抗し、前進し続けなければなりません。もちろん、ひとつひとつ小さなステップで進んでいくべきですが、それでも前進し続けなければなりません。

 

英語版参照元:

https://www.iamtamara.design/blog/designing-for-deaf-users
 
 
 
 

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