CX経営キーワード集
はじめに
CX経営
CXの実践を通じて、お客様の会社への長期的な信頼や愛着を築き上げ、会社の持続的成長を実現する経営アプローチ。一過性の施策や表面的な改善ではなく、CXの実践を通じて会社の能力を高め続けることに本質があります。
CXの実践を支える5つの力
CXの実践能力を構成する有機的に連動する5つの基本能力。組織行動の力、デザインの力、オペレーションの力、デジタルの力、脱学習の力から成り、段階的に高めていくことでお客様に愛され続ける会社への変革を実現します。
組織行動の力
会社全体が一つの方向を向き、部門を超えて連携してCXを向上させる力。CXビジョン、CXガバナンス、CXカルチャーの3つの要素で構成され、組織全体でのCX実践の基盤となります。詳細は本書第1部、第2部、第6部参照。
CXビジョン
企業が目指すべき理想の顧客体験を明確化した戦略的指針。全社員が共有する「お客様にどのような体験価値を提供したいか」を示す北極星的な存在。組織全体の意思決定基準となり、一貫したCX向上施策の実行を可能にします。
CXガバナンス
CXが確実に実践されるように管理・統制するためのルールやしくみ。組織全体でCXの品質を保ち、継続的な改善を実現するための体制としくみを確立します。
CXカルチャー
迷った時に「お客様にとってどうか?」で判断する価値観の醸成。従業員一人ひとりが自然に顧客視点で思考・行動する組織文化の構築を目指します。
デザインの力
お客様を深く理解し、競合他社には真似できないCXをデザインする力。顧客インサイトの獲得、デザイン思考の実践、体験のブランド化を通じて革新的なCXを創出します。詳細は本書「はじめに」、第3部、第4部参照。
顧客インサイト(Customer Insight)
定性的な調査手法により獲得する、お客様の深層にある真のニーズや動機。表面的な要望を超えた、行動や選択の背後にある根本的な理由を理解することです。
体験のブランド化
CX全体を通じた自社ならではの一貫した体験デザイン。すべての顧客接点で統一されたブランド体験を提供し、競合他社との明確な差別化を実現します。
オペレーションの力
CXを現場で確実に実行し、継続的に改善し続ける力。改善サイクルの確立、CX全体の最適化、お客様の声の活用を通じて、持続的なCX向上を実現します。
CX改善サイクル
「実行→測定→改善」のPDCAを高速で回すしくみ。データに基づく継続的な改善により、CXの品質を段階的に向上させていきます。
CX全体の最適化
施策を連携させ、お客様の体験全体を捉えながら改善するしくみ。部分最適ではなく全体最適の視点でCXを設計・改善することを指します。
VoC活用
お客様の声を収集・分析し、具体的な改善につなげるしくみ。Voice of Customerの略で、顧客からの直接的なフィードバックを体系的に活用する取り組みです。
デジタルの力
デジタル技術を活用して、CXをスケール化し、一人ひとりに最適化された体験を提供する力。データ統合、パーソナライゼーション、人とAIの協働により価値創造を実現します。詳細は本書第7部参照。
CDP(Customer Data Platform)
顧客データを統合・管理するプラットフォーム。複数のチャネルやシステムから収集した顧客データを一元化し、360度の顧客理解と意思決定支援を実現します。
パーソナライゼーション
顧客の属性、行動履歴、嗜好に基づいて、一人ひとりの顧客に合わせ個別最適化されたコンテンツやサービスを自動で提供する技術・手法。
人とAIの協働
人の創造性とAIの分析力を組み合わせた価値創造。人間の感性や判断力とAIの高速処理・パターン認識能力を効果的に組み合わせることで、より高度なCXを実現します。
脱学習の力
既存の枠組みや常識を見直し、変化に適応しながらCX経営を進化させ続ける力。既存前提の見直し、変化への敏感性、学習する組織の構築を通じて、継続的な革新を実現します。詳細は本書「おわりに」参照。
既存前提の見直し
これまでの成功体験や業界常識を疑い、新しいアプローチを模索すること。過去の枠組みにとらわれず、根本から考え直す姿勢を指します。
変化への敏感性
お客様の変化、技術の進歩、社会情勢の変化を素早く察知し適応する能力。環境変化に対する高い感度と迅速な対応力を意味します。
学習する組織
失敗を恐れず挑戦し、失敗から確実に学んで次に活かす文化。組織全体が継続的に学習・成長し、変化に適応できる体質を持った組織を指します。