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【第10回】創造性が身につかない本当の理由

〜700年前の詩人が教える「知ること」の本質と現代への応用〜

Written by Hideaki Shirane

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創造性研究は豊富なのに、なぜみんな苦労しているのか

ブレインストーミング、KJ法、デザイン思考、ジェームズ・ウェブ・ヤングの「アイデアのつくり方」。創造性に関する研究や手法は数え切れないほど存在します。

しかし、こんな経験はありませんか?

「イノベーション研修を受けたのに、翌週にはいつもの会議に戻っている」
「ブレインストーミングで出たアイデアを、結局誰も実行しない」
「『批判せずにアイデアを出そう』と言われても、上司の顔色を気にしてしまう」
「創造性本を何冊も読んだのに、肝心な時にアイデアが浮かばない」
「デザイン思考のワークショップは楽しかったけれど、実際の業務には活かせない」

多くの企業が発想力を強化する研修を導入し、個人も発想本を読み漁り、手法を学んでいるにも関わらず、なぜ多くの人や組織が創造性やアイデア発想で苦労し続けているのでしょうか?
コンサルタントは「手法の理解が浅い」と言い、管理職は「部下のやる気が足りない」と嘆き、現場の人は「時間がない」「余裕がない」と諦める。誰も悪くないのに、なぜかうまくいかない。この不思議な現象には、実は700年前の詩人が見抜いた「知ること」の本質にヒントが隠されています。

答えは意外にシンプルです。順番を間違えているからです。

 

700年前の詩人が教えてくれる「知ること」の4象限

13世紀のペルシア詩人、イブン・ヤミン(1286-1368)は、人間の知識状態を4つのカテゴリーに分類しました。以下が原典のペルシア語詩です。
 
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日本語訳:

世界には4種類の人がいる。
知っていて、それを自覚している者 ——
彼の叡智の馬は天空を駆ける。
知っていながら、それを自覚していない者 ——
起こしてあげよう、長くは眠っていないだろう。
知らないが、それを自覚している者 ——
たとえ足を引きずっても、やがては目的地にたどり着く。
知らないことを、知らないままでいる者 ——
永遠に無知の闇の中にとどまるだろう。

この4つすべてが創造性に深く関わっています。

第1カテゴリーは自分の知識に確信を持っている人です。豊富な知識と経験を持ち、自分の専門領域において高い能力を発揮します。しかし、その確信が新しい視点や異分野からの洞察を受け入れることを困難にする場合があります。
第2カテゴリーは潜在的な知恵を持ちながら、それに気づいていない人です。直感や経験によって正しい判断ができるのに、それを意識的に活用できない状態です。
第3カテゴリーは謙虚な学習者です。自分の無知を自覚しているからこそ、積極的に学び、成長していきます。創造性において、この「わからないことをわかっている」状態は重要です。
第4カテゴリーは「わかっていないことがわかっていない」人です。わかっていないことをわかっていないことを自覚し、このカテゴリーに踏み込んでいくことこそが、最も創造的なのですが、それができない状態です。

この分類を現代の創造性研究と組み合わせると、なぜ多くの創造性向上施策が失敗するのかが見えてきます。

 

創造性を阻害する「知ることの罠」:心理的安全性の欠如が生む4つの状態

この4つのカテゴリーを使って、創造性を阻害する典型的な心理状態を表すこともできます。これらすべての根本原因は「心理的安全性の欠如」にあります。

 

第1カテゴリーの罠:「知っている」ゆえにアイデアを殺す

知識の確信が、新たな可能性を瞬時に否定する 
「私は知っている」という確信が、新しい視点や異分野からの洞察を排除してしまいます。心理的安全性が欠如した環境では、知識が「防御の武器」となり、自分の専門領域外のアイデアを受け入れることが脅威と感じられます。結果として、創造性の芽となる小さな可能性や異質なアイデアが排除されてしまいます。
 
 

第2カテゴリーの罠:「正解を装う」と学べなくなる

本音と建前を使い分ける環境が、思考を封じる
組織学習論のクリス・アージリスが指摘する「信奉理論」(公言する理論)と「行動理論」(実際に使用する理論)のギャップがまさにこれです。心理的安全性がない環境では思考が停止し、本音と建前を使い分けていること自体も意識できなくなってしまいます。
 
 
 

第3カテゴリーの罠:「知らない」ことが恥ずかしい

恥や評価への不安が、挑戦を止めてしまう
 「知らないことを知っている」状態は本来創造性の出発点ですが、心理的安全性が欠如するとそれが恐怖に変わります。「知らない」ことを認めることが評価の低下や立場の悪化に繋がると感じ、行動を起こせなくなります。
 
 
 

第4カテゴリーの罠:「当たり前」が可能性を潰す

枠組みの外を見ようとしない限り、新しい問いは生まれない
第1カテゴリーが「意識的な可能性の排除」だとすれば、第4は「無意識的な可能性の排除」です。心理的安全性の欠如により、既存の枠組みを疑うことが危険と感じられ、「当たり前」の前提を疑うことができません。これは第1カテゴリーの確信が作り出した無自覚な制約であり、最も根深い創造性の阻害要因となります。
 
 
 

心理的安全性は「土壌」、成長マインドセットは「種」

これら4つの罠すべてに共通するのは、「心理的安全性の欠如」が根本原因となっていることです。逆に言えば、心理的安全性が確保されれば、4つすべてのカテゴリーで成長マインドセットが発芽する可能性があります。
 
エドモンドソンの心理的安全性:創造性の「土壌(衛生要因)」
ハーバード・ビジネススクールのエイミー・エドモンドソンが提唱した「心理的安全性」は、創造性における「衛生要因」として機能します。

衛生要因とは、ハーズバーグの二要因理論から借りた概念です。心理的安全性が欠如すると、人々は防御的になり創造性が阻害されます。しかし、心理的安全性が存在していても、それだけで創造的になるわけではありません。心理的安全性は、創造的プロセスが機能するための「土壌」、つまり基盤的条件として位置づけられます。

心理的安全性が除去する阻害要因
・自己防衛:第1カテゴリーの自分の能力への固執(間違いを認められない)
・同調圧力:第2カテゴリーの新しいアイデアを出すことへの躊躇(本音を言うのは危険)
・無知の恥化:第3カテゴリーの「知らないことを知っている」を表明できない(無知は恥)
・暗黙の前提:第4カテゴリーの前提を疑うことができない(現状が正しい)

心理的安全性があれば、人々は質問を自由にでき、失敗を報告でき、異論を唱えられ、新しいアイデアを試すことができます。これらすべてが創造性の前提条件です。
 

キャロル・ドゥエックの成長マインドセット:創造性の「種(動機要因)」

スタンフォード大学のキャロル・ドゥエックが提唱した「成長マインドセット」は、創造性における「動機要因」として機能します。

動機要因とは、存在すると満足や動機づけを高める要素のことです。成長マインドセットが確立されると、人々は積極的に学習し、挑戦し、創造的な活動に取り組むようになります。衛生要因である心理的安全性が「創造性を阻害する要因を除去」するのに対し、動機要因である成長マインドセットは創造的プロセスが機能するための「種」、つまり創造性の源泉として位置付けられます。

かちこちマインドセット:「才能は生まれつき決まっている」「頭の良さは変わらない」
成長マインドセット:「能力は努力次第で向上する」「まだできない」の「まだ」が重要

創造性を阻害する根本原因は、「知性や能力についての固定的信念」にあります。創造性を引き出す第一歩は、スキルやツールではなく、『知性は育つものだ』という信念の転換にあります。
 

かちこちマインドセットが生み出す4つのカテゴリーの循環構造

心理的安全性がないとかちこちマインドセットが強化され、4つすべてのカテゴリーに悪影響を及ぼし、負の循環構造を生み出します。

「私は既に十分知っている」という第1カテゴリーの固定的な能力観が、新しい学習や異なる視点の受け入れを阻害します。それが「現状は正しい」と言う第4カテゴリーの無自覚な前提バイアスにつながり、枠組みの外を見ようとしなくなります。「本音を言うのは危険」という第2カテゴリーの同調圧力は、第3カテゴリーの学習回避の「知らないことは能力不足の証拠」という固定的な信念により、積極的な学習姿勢を取ることができなくなります。
このように4つのカテゴリーは相互に影響し合い、創造性を阻害する強固な循環構造を形成します。一方、心理的安全性が確保されると成長マインドセットが芽生え、この負の循環を正の循環に転換することができます。成長マインドセットが、すべてのカテゴリーにおいて学習と成長の可能性を開くのです。

 

正しい順番:創造性発達の5段階アプローチ

4つの「知ることの罠」と心理的安全性・成長マインドセットを組み合わせることで、創造性を発達させる段階的なアプローチが見えてきます。
 
 

段階1:心理的安全性の確保(4つの罠からの解放)

この段階では、4つのカテゴリーすべての罠を生み出している根本原因である「心理的安全性の欠如」を除去することに焦点を当てます。
 
具体的なアプローチ
 

「小さな失敗の受容」から始めます。完璧を求めるのではなく、試行錯誤そのものを価値あるプロセスとして認める文化を育てます。失敗を責めるのではなく、「何を学んだか」を問う習慣を作ることで、リスクを取ることへの恐怖を和らげます。

同時に「無知の正当化」を進めます。「知らない」と言うことを恥ではなく、学習の出発点として位置づけます。質問をすることが評価されるルール作りや、定期的な「知らないことを共有する時間」の設定などが効果的です。

「異なる考えの受容」も重要です。異なる意見や視点を単に許容するだけでなく、積極的に求め、価値あるものとして扱います。反対意見を言った人を評価し、全員が同じ意見の時には「本当にそうか?」と疑問を投げかける習慣を作ります。

この段階をクリアすることで、第1カテゴリーでは専門知識が防御ではなく探求の道具になり、第2カテゴリーでは暗黙知と表出知の統合が可能になります。第3カテゴリーでは無知を恐れずに学習の出発点とでき、第4カテゴリーでは無自覚な前提を安全に疑うことができるようになります。

 

段階2:成長マインドセットの醸成(固定化からの脱却) 

心理的安全性が確保されたことで、初めて本当の意味での成長マインドセットを育てることができます。この段階では、能力や知性に対する根本的な信念を「固定的」なものから「成長可能」なものへと転換していきます。
 
具体的なアプローチ
 

「プロセス重視の評価システム」を導入します。結果だけでなく、どのような思考プロセスを辿ったか、どんな努力をしたか、どのような学習をしたかを評価の対象とします。「まだできない」という言葉を積極的に使い、「まだ」という未来への可能性を含む表現を習慣化します。

「失敗の再定義」を行います。失敗を「能力不足の証拠」ではなく「現在の方法では上手くいかないという貴重な情報」として捉え直します。失敗から得られた学びを明確に言語化し、次のアクションに活かすプロセスを確立します。

「他者の成功の活用」も重要です。他人の成功を脅威や劣等感の源泉ではなく、「自分にもできる可能性がある」という希望と具体的な学習材料として活用します。成功事例を分析し、自分の状況に応用できる要素を抽出する習慣を作ります。

この段階をクリアすることで、4つのカテゴリーに対応した成長信念が確立されます。「まだ知らないことがある(第1からの脱却)」、「気づいていない知恵を発見できる(第2の活用)」、「知らないことから学べる(第3の積極活用)」、「見えない可能性を探求できる(第4の転換)」。

 

段階3:小さなアイデア体験の積み重ね(創造性への信頼の醸成)

この段階では、MITメディアラボのミッチェル・レズニックが提唱する「想像 → 創造 → 遊び → 共有 → 振り返り → 再想像」というクリエイティブ・ラーニング・スパイラルを実践します。心理的安全性と成長マインドセットという土台の上で、小さな創造的サイクルを反復することで、「作れた!」「動いた!」という即座のフィードバックと成功の感覚を積み重ねていきます。これらの小さな成功体験こそが、創造性に対する自己効力感を構築し、より大きな創造的挑戦への土台となります。
 
レズニックの「Lifelong Kindergarten」理念と創造性発達
 
「低い敷居」では、誰でも始められる簡単な創造的活動から出発します。これにより、創造性に対する敷居の高さや「特別な才能が必要」という思い込みを解消し、すべての人が創造的体験にアクセスできるようになります。

「高い天井」では、簡単に始められるものでも、深く探求すれば高度で複雑な作品も作れるようになっています。この構造により、初心者から上級者まで継続的な成長を体験でき、創造性が段階的に発達していくことを実感できます。

「広い壁」では、多様な興味や学習スタイルに対応し、一つの「正解」ではなく様々なアプローチで創造性を発揮できる環境を提供します。これにより、個人の特性や興味に合わせた創造的探求が可能になり、内発的動機が自然に育まれます。

このレズニアックのアプローチは、段階4への橋渡しになります。小さな成功体験の積み重ねが創造活動への没頭を促し、段階5においても、形式的な技法の習得ではなく、体験的な実践を可能にするのです。

 

段階4:フロー状態への導入(創造を目的に)

フロー状態では活動そのものが報酬となり、結果以上にプロセス自体が喜びや軽やかさをもたらします。この状態が創造性を飛躍的に強化する理由は、外部からの評価や報酬への依存から解放されることで、純粋な探求心と内発的動機が最大限に発揮されるからです。

 

チクセントミハイのフロー理論と創造の目的化

適切な挑戦レベルの設定では、不安(挑戦が能力を上回る)でも退屈(能力が挑戦を上回る)でもない最適な状態を見つけることが重要です。この絶妙なバランスにより、創造的思考が最も活性化され、新しいアイデアや解決策が自然に生まれやすくなります。

没頭できる創造的活動への参加では、時間を忘れて集中できる体験が得られます。この深い集中状態では、表面的な思考を超えて、潜在的な洞察や直感的なひらめきにアクセスできるようになり、独創的なアイデアが生まれる可能性が高まります。

自己意識の消失と純粋な探索の体験では、自己批判や評価への不安が消える状態になります。この状態こそが創造性にとって最も重要で、「これは良いアイデアだろうか」「他人にどう思われるだろうか」といった制約から解放されることで、自由で大胆な発想が可能になるのです。フロー状態では、創造的な探求そのものが目的となり、結果への執着が薄れることで、かえって質の高いアイデアが生まれるという逆説的な効果が生まれます。

 

段階5:具体的な創造技法の活用(応用段階)

この段階になると、ブレインストーミング、KJ法、デザイン思考といった具体的な技法が本来の力を発揮するようになります。前の4つの段階で培った心理的安全性、成長マインドセット、小さな成功体験、フロー状態があることで、これらの技法が機械的な「やり方」ではなく、創造性を解放するツールとして機能します。

 

なぜ企業の創造性施策は失敗するのか

多くの企業が創造性向上に取り組む際、ブレインストーミング研修の導入、デザイン思考ワークショップの実施、イノベーション・ラボの設置など、段階5の具体的な技法から始めてしまいます。しかし、その結果は一時的な盛り上がりの後、元の状態に戻ってしまうことがほとんどです。

失敗の根本的な理由
 
土台なき技法は形式化してしまいます。
心理的安全性がない環境では、いくら「批判してはいけない」というルールを設けても、組織文化として評価への恐怖が根深く残っているため、参加者は本音のアイデアを出すことができません。結果として、表面的な「安全そうなアイデア」しか出てこず、技法そのものが形骸化してしまうのです。
 
かちこちマインドセットでは技法が逆効果になります。
 「良いアイデアを出さなければならない」というプレッシャーが、かえって創造性を阻害してしまいます。さらに、技法を「正しく使えているか」への不安が、自由な発想を妨げ、本来の目的とは正反対の結果を生み出します。
 
小さな成功体験の蓄積なしには持続しません。
企業は一回の研修で劇的な変化を期待しがちですが、日常的な創造的習慣が根付いていなければ、学んだ技法は使われることなく忘れ去られてしまいます。
 
 

企業が陥る「即効性の罠」

企業と現実の間には大きな時間軸のギャップが存在します。企業側は「来月のプロジェクトで成果を出してほしい」と期待しますが、創造性の土台づくりには一年〜数年という時間が必要です。投資対効果についても誤解があります。技法研修は短期間で目に見える成果が得られるため効果的に見えますが、土台づくりなしに効果を上げることはできません。

 

正しい順番で進める価値

まず、段階1・2への投資から始めることが不可欠です。心理的安全性と成長マインドセットが確立されれば、あらゆる創造技法の効果が飛躍的に向上し、一度土台ができれば新しい手法の習得も格段に早くなります。
段階3の蓄積効果も見逃せません。小さな創造体験の積み重ねが、組織全体の「創造性への信頼」を育てます。この信頼がなければ、どんなに優れた技法を導入しても「また新しい流行りの手法か」と冷ややかに受け取られてしまいます。
そして何より重要なのは持続可能性です。正しい順番で段階的に進めれば、「自走する創造的組織」を構築することができます。

「急がば回れ」が創造性の分野には当てはまります。企業の短期的思考が、かえって長期的な創造性を阻害するという皮肉な構造が、多くの組織で創造性施策が失敗する真の原因なのです。
 
 
 

自己診断チャート:あなたの創造性発達段階は?

各段階の質問に「はい」「いいえ」で答えてください。一つでも「いいえ」があった段階があなたの現在の課題です。
 
段階1:心理的安全性の確保
☐ 新しいアイデアを口にしても、批判や嘲笑を受ける心配がない
☐ 「知らない」「わからない」と素直に言える環境にいる
☐ 失敗しても人格否定されることはないと確信している
☐ 異なる意見を述べても関係性が悪化しないと感じている
☐ 創造的な実験や試行錯誤が許容されている
 
段階2:成長マインドセットの醸成
☐ 自分の創造性や能力は努力次第で向上すると信じている
☐ 失敗を「学習の機会」として捉えることができる
☐ 他者の成功を見て「自分にもできるかも」と思える
☐ 完璧でなくても行動を起こすことができる
☐ 「まだできない」という言葉を肯定的に使える
 
段階3:小さなアイデア体験の積み重ね
☐ 日常的に小さな創造的活動を行っている(週に3回以上)
☐ アイデアが浮かんだ時に「軽やかさ」や「楽しさ」を感じる
☐ 完璧でないアイデアでも気軽に試してみることができる
☐ 創造的な活動をすることが習慣になっている
☐ 小さな「できた!」体験を大切にしている
 
段階4:フロー状態への導入
☐ 創造的活動中に時間を忘れることがある
☐ 適度に挑戦的な創造的課題を見つけることができる
☐ 創造的活動中に自己批判の声が静かになる
☐ 結果よりもプロセス自体を楽しめる
☐ 没頭できる創造的活動を定期的に行っている
 
段階5:具体的な創造技法の活用
☐ 複数の創造技法を知っており、使い分けできる
☐ 技法を単なる「やり方」ではなく「創造性を解放するツール」として理解している
☐ 状況に応じて適切な創造手法を選択できる
☐ 他者と協働で創造技法を活用できる
☐ 創造技法を自分なりにアレンジ・改良できる
一つでも「いいえ」があった段階から取り組みを始めましょう。無理に先に進まず、前の段階に戻って土台を固めることが最も効率的です。
 
 
土台なき応用は崩れる
 
重要なのは順番です。

企業の短期的思考が、かえって長期的な創造性を阻害している皮肉な構造があります。心理的安全性と成長マインドセットという土台があってこそ、小さな創造体験が積み重なり、フロー状態に入れるようになり、最終的に高度な創造技法を効果的に活用できるようになります。

イブン・ヤミンの古典的な知恵から創造性発達へ。700年前の詩人が教えてくれた「知ることの4象限」は、今もなお私たちに重要な示唆を与えてくれます。

あなたの創造性発達は今どの段階にありますか?診断結果を踏まえて、順番を間違えずに地道に取り組んでみてください。きっと、今まで試してうまくいかなかった創造技法が、効果的に機能し始めるはずです。



参考文献
エイミー・C・エドモンドソン(2018年)『チームが機能するとはどういうことか──「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』英治出版
キャロル・S・ドゥエック(2016年)『マインドセット「やればできる!」の研究』草思社
チクセントミハイ・M(1996年)『フロー体験 喜びの現象学』世界思想社
ミッチェル・レズニック(2018年)『ライフロング・キンダーガーテン 創造的思考力を育む4つの原則』日経BP
Ibn Yamin
https://en.wikipedia.org/wiki/Ibn_Yamin

 

Written by Hideaki Shirane