CX経営キーワード集
第26章 働く体験を豊かにする:CXはEXから生まれる
EX(Employee Experience / 従業員体験)
従業員が日々どんな環境で、どんな気持ちで働いているかという体験の総体。優れたCXの出発点となり、「この会社で働いて良かった」と感じられる体験の実現が重要です。
心理的安全性
失敗を恐れずに挑戦でき、困ったときに素直に助けを求められる環境。自分らしく振る舞える職場環境がEXの基礎となり、創造性の発揮とお客様への積極的な貢献を可能にします。
承認と尊重
一人の人間として価値観、個性、努力そのものが会社に受け入れられているという実感。業績評価を超えた人間としての尊重がポジティブな感情を生み、お客様対応にも反映されます。
貢献の実感
自分の仕事がお客様や同僚、会社全体にどのような価値をもたらしているかが見える状態。特に間接部門において、お客様価値とのつながりを可視化することが重要です。
成長の実感
仕事を通じて新しいスキル習得、責任拡大、困難克服などにより自己価値向上を実感すること。長期的なエンゲージメントと継続的なCX改善の原動力となります。
意図的な人間関係構築
心理的安全性醸成のため、フォーマルな会議以外に気軽に話せる機会を意図的に設けること。朝礼前コーヒータイム、月次ランチ会、オンライン雑談チャンネルなどの工夫があります。
参加型職場改善
みんなの声を集めて職場環境を改善するプロセス。定期アンケート、提案制度、改善委員会などにより、組織づくりの当事者であることを実感してもらいます。
感謝の文化醸成
「ありがとう」や「助かったよ」が交わされる場を意識的に増やし、お互いを認め合う文化を育てること。感謝表現のしくみ整備と、心からの感謝を伝える文化の構築が重要です。
学習機会の提供
「誰かの工夫」を共有し、お互いに学び合う機会の設置。改善事例共有会、持ち回り勉強会、メンター制度などにより、個人の成長と会社全体のレベルアップを図ります。
EXとCXの好循環
従業員満足が顧客満足を生み、顧客満足が従業員満足を高めるという相互作用。心に余裕がある従業員からは自然な配慮が生まれ、お客様からの感謝が従業員のモチベーションを高めます。詳細は本書第26章参照。
EXは基盤の基盤
EXがCXビジョン、ガバナンス、カルチャーの基盤となること。従業員が生き生きと働く環境が、離職率低下、生産性向上、イノベーション創出、そして最終的にお客様支持につながります。詳細は本書第26章参照。