2021.09.16
Blog|失敗しないmiroワークショップ
「ワークショップでmiroを使ったがうまくいかなかった」
そんな声をしばしば耳にします。オンラインワークショップでの定番ツールとして急速に普及しつつあるmiroですが、実はその運用には難しさもあります。今回はそのようなmiroの使い方における典型的な失敗パターンとその対処法についてまとめてみました。
- ビギナーの心理的ハードルを下げる
miroはその新しさゆえに初めて使うユーザーにとっては分かりにくいところがあります。例えるならば初めてスターバックスを利用するときに戸惑うのと同じような感覚です。初めてのスタバで注文方法や商品名が分からないのと同じように、miroを初めて利用するシーンでは何からどのように始めればいいか分からず、初心者ユーザーの多くが不安感や緊張感、戸惑いなどを感じてしまいます。こういった導入でのつまづきが、その後のマイナスの印象にもつながってしまうため、最初の利用はできるだけ丁寧にサポートしてあげることが重要です。そこでmctではビギナー向けの練習ボードなどを用意して、本編のワークに入る前にみんなでウォーミングアップする時間を設けています。ちょっとしたゲーム感覚を味わえるようなワークを体験してもらい、miroの楽しさを感じてもらうこともポイントです。
ワークに制約を加える
さまざまな機能が備わっていて便利なmiroですが、多機能であることがかえってユーザーにストレスになってしまうこともあります。何でもできて万能であるということは、裏を返すと利用にあたって考えるべきことが多いということだからです。ワークショップでmiroをスムーズに使ってもらうには、一定の制約があることも大切です。例えば作業用のフレームワークをmiro上にあらかじめ用意しておくことで、参加者にとってはやるべき操作が分かりやすくなります。miroの利用習熟度による参加者間での格差が出ないようにするという意味でも制約によって作業内容をシンプルにしてあげることは重要です。参加者がやる操作/やらない操作を明確にして、最も大事なワークに集中できる環境を作ってあげましょう。
他ツールとの併用の体験を快適にする
リアルの会場でのワークショップでは、参加者同士で話しながらポストイットワークを行うのはごく自然な作業です。ところがオンラインワークショップで、zoomなどを使いながらmiroでワークをするのはちょっとした複雑さがあります。同じPC画面の中で複数のツールのウィンドウを切り替えながら使いこなす必要があるためです。このような複雑さを回避するため、ワークショップの設計やファシリテーションの工夫をしておくことも大切です。zoomベースの時間とmiroベースの時間をできるだけ分ける、今はどちらを見ておくといいかをこまめに伝えてあげる、事前課題や中間課題のワークのみでmiroを使うようにする…などです。また、さらに別のツールも追加で併用するといった運用を避けることも大切です。slackやdropboxなどを加えて3つ以上のツールを併用するケースも見られますが、参加者のUXを考えるとなるべく使うツールは少なくしたいところです。
miroの作業そのものを目的にしない
miroの作業そのものが目的化してしまうのも陥りがちな失敗パターンです。例えば、ワークショップ中の全ての情報をmiroへアップしようとする、あるいはmiroのボードを綺麗にまとめていくことにこだわって肝心の対話や思考が不十分になる、といったケースです。その中でも最も典型的なのがKJ法をはじめとした「グルーピング」です。本来、グルーピングは分類そのものが目的ではなく、分類の過程で対話や思考を深めていくことがポイントです。しかし、miroを使ってグルーピングのワークをすると黙々と分類する作業そのものに集中してしまいがちです。miroを使う際にはグルーピングのようなワークは極力避けるなど、あくまでもチームとしての対話や思考を深めていくことをゴールにして、miroはそのための手段と捉えるスタンスが大切です。
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最後に注釈ですが、これらのポイントはあくまでもmiroを使った「ワークショップ」におけるポイントです。プロトタイピングやスクライビング、個人の思考整理などの目的でmiroを利用する場合にはこの限りではありません。そして総じて言えることは、miroは多機能で自由度の高いツールだからこそ使い手のセンスが問われるツールであるということかもしれません。ワークショップデザイナーやファシリテーターにとっては使うほどに自己の能力を拡張してくれる奥の深いツールとも言えそうです。
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Akihiro Yonemoto
株式会社mct エクスペリエンスデザイナー/ストラテジスト
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