2021.10.15
Blog|リモートチームのための「フィードバック」
Starline - jp.freepik.com によって作成された abstract ベクトル
リモートワーク時代において注目されている新たなビジネススキル「フィードバック」についてお話しします。
…そう、あのフィードバックです。皆さんも普段のお仕事で「フィードバック」という言葉そのものはよく使っているかもしれません。このフィードバックがリモートワークで働くチームにとって、とても大切な意味を持つようになってきています。
なぜ今、フィードバックなのか?
コロナ禍で多くの企業がリモートで働くことを余儀なくされました。コロナ初期から見るとリモートワークの働き方もすでに1年半ほどの期間が過ぎ、標準的なワークスタイルとしてすっかり定着しました。一方で今、多くの組織で顕在化しているのがメンバー同士のつながりに関する問題です。ツールの活用によって離れていても生産的・効率的に働けるようになりましたが、大半のコミュニケーションは進行中の業務に関する形式的な会話が中心になり、具体的な用件を伴わない会話はしづらくなりました。それによって日常のちょっとした悩みや相談ができず、メンバー間の心理的なつながりが希薄になりつつあるようです。また自分たちの未来の取り組みについて議論したり、偶然の会話から新しいアイデアが生まれたりといった創造的な議論の場を持つことも難しくなってきています。
そのようなリモートワーク下において、コミュニケーション作法として注目されているのが「フィードバック」です。フィードバックは「相手の行動に対して改善点や評価を伝え、軌道修正を促すこと」とされていますが、単に誰かのアイデアを評価したり、改善したりするだけでなく、フィードバックにはチームをつなぐ働きがあります。ハイパフォーマンスなチームほど持続的なフィードバックを回していく風土があるとも言われており、フィードバックはリモートワーク時代に効果的なコラボレーションを実現するための新たなビジネススキルとして見直されつつあります。より良いフィードバックの作法を身につけ、組織のコミュニケーションを質を高めていきましょう。
良いフィードバックをするためのコツ
リモートワーク環境下でのフィードバックを上手にやるためには、いくつかのコツやちょっとした心構えがあります。これらのポイントをきちんと押さえておくことで効果的なフィードバックが可能になりますのでぜひ試してみてください。
フィードバックの中には、それを受ける人にとって耳の痛い話もあります。フィードバックの受け手が人格や価値観を否定されたと感じてしまわないためにも、ヒトではなくコトにフォーカスすることが大切です。幸いにもリモートワーク下では、リアルの対面のコミュニケーションと比較すると、ヒトとコトを切り離すことがしやすくなりました。フィードバックをする際には一呼吸置いて、誰が言ったかではなく、何を言ったかという「コト」へ意識を向けましょう。
フィードバックというとアイデアの良し悪しに対する評価や指摘を想像しがちですが、アイデアそのものを対象としてしまうと「そのアイデアをどうするか?」という議論だけに終始してしまいます。そこでアイデアそれ自体ではなく、なぜそう考えたのか?という背景やロジックに視点を向けることが大切です。アウトプットではなくプロセスについて話すことで、アイデアの背景にある本質的なエッセンスに気づき、さらに別の新たなアイデアへと広がっていきます。またフィードバックによって評価者と非評価者という関係性を作らないためにも、アイデアそのものにフォーカスしすぎないことは大切です。
リモートワーク下ではコミュニケーションの大半がチャットでのやり取りになっているのではないでしょうか。便利で使いやすいチャットツールの登場によって、スタンプやテキストチャットを使ってフィードバックすることが容易になりました。一方でフィードバックでは、生身の人が話す言葉だからこそきちんと伝わることもたくさんあります。電話を嫌う人もいますが、slackの「ハドルミーティング」やクラウド録画サービスの「loom(ルーム)」など、温度感のある言葉を簡単に届けられるツールもたくさん登場しています。ここ一番の場面では、生の言葉を使ってフィードバックすることも心がけましょう。
前述の通りフィードバックの一次的な目的は、評価や改善などにあり、そのためには芯を食った質のいいフィードバックが求められます。しかし、そのような中身の「質」が伴わなくてもフィードバックするという行為そのものにもプラスの効果があります。「slackのスタンプで反応をもらえた」「zoomミーティング中に笑顔で大きくうなづいてくれた」などはその典型例です。質のいいフィードバックをしようとプレッシャーに感じずに、「質より量」の精神で感謝や賞賛の反応をたくさんしてあげましょう。それだけでも受け手にとっては大切なフィードバックになりますし、組織全体としてもコミュニケーションの流通量を増やすことにつながるはずです。
フィードバックで「即時性」が重要であることは言うまでもありません。しかし、リモートワークが普及したことで、海外拠点で働く人、育児をしながら働く人、本業+副業のマルチワークで働く人など、さまざまなワークスタイルの人が同じ組織で一緒に働くようになりました。そのような中で、即時のフィードバックを求めることは現実的ではありません。お互いのワークスタイルを尊重して、24時間くらいの時間差を許容し、ゆったりとしたフィードバックカルチャーを築きましょう。
アウトプットがフィードバックを生む
ここまでフィードバックをする側の観点から、その作法などについて話してきましたが、フィードバックが生まれる前には必ず誰かのアウトプットがあります。誰かが自身の活動や考えを皆の見えるようにアウトプットするからこそ、フィードバックの機会が生まれるのです。それはつまりフィードバックをする側だけでなく、される側にも作法があるということです。具体的には、不完全でも良いからアイデアをお披露目してみる、まだ整理されていない考えを話してみる、疑問や悩みを抱え込まず打ち明ける、などのアウトプットを積極的にしていくことです。
フィードバックは、する側とされる側の共同作業です。お互いへのリスペクトを忘れず、なんでも言い合える関係性を築くことがより良いフィードバックに繋がり、そしてそのフィードバックがまたチームの関係性の向上へと繋がります。誰かに対して良いフィードバックをすることはもちろん、時には自分自身がフィードバックをもらう側の立場になることも心がけましょう。
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いかがでしたでしょうか。フィードバックはリモートワーク時代にとても重要になる作法です。その作法はもはやリモートチームのメンバーとしての「責任」と言ってもいいかもしれません。フィードバックをすること・されることは、メンバーとしてのチームに対する貢献の形なのです。
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Akihiro Yonemoto
株式会社mct エクスペリエンスデザイナー/ストラテジスト
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