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9 28, 2023 09:56 Blog|ケアすることでケアされる〜働き方とオフィスのこれから〜

ケアすることでケアされる〜働き方とオフィスのこれから〜

こんにちは、組織デザインチームの景山です。

組織デザインチームでは7月18日〜7月21日にEX Design Week〜より良い従業員体験の実現のために働き方や組織づくりについて考える一週間〜と題して、EXデザインに関するイベントを開催しました。今回のブログでは、コクヨ株式会社 ヨコク研究所・ワークスタイル研究所の田中康寛さんが講演されたプログラムから「CARE PLACEとしてのオフィス」についてご紹介します。

コクヨ田中さんの講演概要

ハイブリッドワーク時代におけるオフィスのあり方

本講演の主旨は、「働きがい」の視点からポストパンデミックのオフィス体験について事例とともに考えるというものでした。「ハイブリッドワーク時代のオフィスの役割は、“WORK” place(働く場)から“CARE” place(ケアする場)に変容しつつあるのでは」という提言とともに、「働きがいを高める4つのオフィス体験」として以下4つが提示されました。

働きがいを高める4つのオフィス体験

 

“CARE”はそれぞれ異なる意味を持つ概念の頭文字でもあります。順に意味をご紹介しながら私の解釈や感想を述べさせていただきます。

C=Culture(組織のビジョンやナラティブを表現)

企業やブランドの文化や歴史を体感できる仕掛けを、オフィスに組み込むことです。企業や社員個人の価値観を表すオブジェを社内に設置することで、組織への愛着を高める取り組みが紹介されていました。とはいえ重視する価値観の種類によってカルチャーフィットのバランスが異なるため、表現方法の選択が必要です。

A=Advance(共に学び成長する機会)

学び合いのコミュニティとして、外部専門家を招いたワークショップやミートアップの場、職場内サークルの活動スペースなどのオフィス活用事例が紹介されました。「コミュニティを持続させるには、自分の意見や意識など“主観”をぶつけ合うことが大切」という主張に、衝突を避けて主張しないと、かえって組織はちぢこまってしまうのかもという学びを得られました。

R=Relationship(共助・協働のコミュニティ構築)

チームを“共創する”ためのオフィスという位置付けで、社外の人も入れるプロジェクトルームや、チームごとに適したしつらえを社員がデザインする取り組みが取り上げられました。また地域社会との共生、社会・環境との持続的な関係にコミットする活動が若者をリテンションするが、日本はまだまだと紹介され、持続可能性に対する意識が日本で高まらないのはなぜなんだろう、自分なりに理由を考えてみようと思いました。

E=Encounter(人や情報との偶発的な出会い)

リモートワークの台頭に伴いワーカーが内向化し、新奇性との出会いが求められているというデータから、共通体験を発生させる仕組みや、知との出会いを促すオフィスづくりの事例(プロジェクトの経過を他の社員が見られるようにする、本の感想を背表紙に書いてオフィスの本棚に置く、等)が紹介されました。

mctでも社内チャットツールに質問チャンネルや趣味チャンネルを作ったり、ランダムで選ばれたメンバー同士で一緒にランチに行く企画など、いろいろ試してみては作り直しています。こうした、直接仕事とは関係しない“無為の時間”を仲間と共に過ごすことが、バーンアウト(燃え尽き)からの解放につながるという主張に、短期的には無駄に見えても長い目で見れば価値があることってあるよなあ、と強く共感しました。

B36CB4E2-1C62-46BD-A95C-D552BD479A92    IMG_0050mctで試行中のランチ会の一コマ

 

相互依存の関係性をケアする場としてのオフィス

これら4つの概念を総合して、今後のオフィスの価値は「相互依存の関係性をケアする場」になっていくだろう、と講演はまとめられました。「ケアすることで孤立から解放され、世界とつながりを持って働くことができるのではないか」という田中さんの言葉がとても印象に残りました。

これからは、社内の仲間や社外の人、社会との関係の中で、不確実性を受容しながら“人間性”を育めるような働き方、およびそのような働き方ができるオフィスが求められるかもしれません。少なくとも私はそんな環境で働きたいし、いろいろな人と協力していろいろなことに巻き込まれながらそんな環境を創っていきたいと思いました。

田中さんがセミナーで紹介してくださった詳細データは主にこちらのレポートに掲載されています。確認されたい方はぜひご覧ください。

またmctではEXデザインに関するさまざまなソリューションを提供しています。ご興味のある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

Satoshi Kageyama株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

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