ほぐれるCX
CXにまつわる様々なテーマをほぐしながら、実践につながる考察をお届けします。
3750年前のナンニが粘土板に刻んだ苦情から、幸せのCXまで。この長い旅路を共に歩んでいただき、ありがとうございました。
このシリーズのすべての記事には一つの共通点があります。それは、私たちが当然だと思っていることへの問いかけです。
CXは新しい概念だと思っていたのに、実は人類最古の商取引にその本質が現れていた。創造性は特別な才能だと思っていたのに、実は順番を間違えていただけだった。飽きることは悪いことだと思っていたのに、実は成熟した美学への入口だった。待つことは無駄だと思っていたのに、実は価値を感じ取るための大切な時間だった。
脱学習としてのCX
私は、このシリーズを「脱学習」を体験してもらいたいな、と考えながら作ってきました。私たちは日々、無意識のうちに多くの前提を抱えて生きています。ビジネスにおいても、マーケティングにおいても、人間関係においても。それらの前提の多くは、一度身につけると「当たり前」になり、疑われることがありません。
しかし、その「当たり前」が、私たちの可能性を制限していることがあります。新しいアプローチを試すことを妨げ、深い洞察に至ることを阻み、本当に価値あるものを見過ごさせてしまうのです。
脱学習は、こうした無意識の制約から自分を解放する営みです。既に知っていると思っていることを一度手放し、新しい視点から世界を見直してみる。そのプロセスこそが、本当の学習の始まりです。
あなたは何を手放しましたか?
このシリーズを読み進める中で、あなたはどんな「当たり前」を疑うようになったでしょうか。どんな前提を手放すことができたでしょうか。
もしかすると、CXについての理解が変わったかもしれません。創造性に対する見方が変わったかもしれません。DEIやマーケティング、働き方や人間関係について、新しい視点を得られたかもしれません。
あるいは、腑に落ちていない部分や納得のいかない部分があるかもしれません。それも大切なことです。わからないことを保持することも脱学習の力です。
終わりのない学習の始まり
700年前のイブン・ヤミンが示した4つのカテゴリーを思い出してください。
「わかっていることがわかっている」から「わかっていないことがわかっていない」まで。私たちは常にこの間を行き来しています。このシリーズが終わりに近づいた今、あなたが「わかっていないことがわかっていない」世界に飛び込んでみたいと思っているとすれば、それは私にとって最も価値ある成果です。
日常に戻る前に
私たちには日常があります。会議があり、プロジェクトがあり、数字を追いかけ、課題を解決していかなければなりません。
しかし、その日常の中でも、時折このシリーズで触れた視点を思い出していただけたら嬉しく思います。CXをデザインするとき、チームで創造的な解決策を考えるとき、困難な状況に直面したとき。
そして、自分自身が「これで十分わかっている」と感じたとき、そっと立ち止まって問いかけてみてください。「本当にそうだろうか?」「別の見方はないだろうか?」「まだ学べることはないだろうか?」
共に歩む仲間として
このシリーズは終わりますが、脱学習の旅は続きます。あなたが日々の仕事や生活の中で新しい発見をし、既存の枠組みを疑い、より深い理解に至るたびに、このシリーズの目的は達成されていきます。
そして、あなたが得た洞察を誰かと共有するとき、脱学習の輪はさらに広がっていくでしょう。それこそが、このシリーズが目指していたゴールです。人間らしさを大切にし、お互いを尊重し合い、共に成長していく世界。その実現に向けた小さな一歩を、このシリーズが担えたとすれば、これほど嬉しいことはありません。
長い間、お付き合いいただき、本当にありがとうございました。
あなたの脱学習の旅が、これからも豊かで創造的なものでありますように。
Written by Hideaki Shirane
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