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2024.08.01

Series Blog|第1回 サーキュラーデザインとは?

 

Product Journy map#1

 

こんにちは!今日から全5回にわたって、持続的なビジネスへの変革を実現するために、製品の人生(ライフサイクル)を可視化するデザインアプローチ手法「プロダクトジャーニーマップ」について、お届けします。
第1回のテーマは、 昨今耳にすることが多いサーキュラーデザインの基本的な概念についてです。

ペットボトルのリサイクルは「サーキュラーデザイン」とは異なる

さて、「サーキュラーデザイン」を理解するために、従来の経済モデルから振り返ってみましょう。

これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄を基本とした経済モデルをリニアエコノミー(直線型経済)と呼ばれています。このモデルでは、資源の採掘から製造、流通、消費、そして最終的な廃棄までが一方向に進む製造サイクルです。ここで作られた製品のほとんどは短期間だけ使用され、最終的には埋め立てられるか、焼却される、“廃棄” を前提に設計されています。当然ながら、気候危機や生物多様性の損失など様々な負の外部性をもたらします。

mct資料より

ペットボトルを例に考えてみましょう。
日本ではペットボトルは使い捨てではなく、回収して、リサイクルされる仕組みが出来ていますね。ペットボトルをシャンプーや洗剤のボトル、食品のトレイなどに作り替えた製品はよく見かけます。

これらの取り組みは、確かにサステナブルで重要な取り組みの一つですが、容器を使い終わったら、またすぐに廃棄することが前提、と考えると、従来の経済システムの枠に留まっているのかもしれません・・・。

 

廃棄物を出さない「サーキュラーデザイン」とは?

それに対し、 「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」では、そもそも廃棄物を出さない、ことを前提としています。廃棄物や汚染など負の外部性が発生しない製品・サービスの設計を行うことで、環境負荷はもちろん、人々のウェルビーイングにも考慮した経済システムを目指す考え方です。

そんなサーキュラーエコノミーを実現させるために、行われるデザインを「サーキュラーデザイン」と呼びます。製品の開発段階からライフサイクル全体を考慮し、製品の価値をできる限り高く保ったまま循環させ、廃棄物を最小限に抑える設計手法です。

mct資料より

 

サーキュラーデザインを実践するための三原則

では、サーキュラーデザインを実践するために、何を意識すれば良いのでしょうか。
世界のサーキュラーエコノミーを推進するエレン・マッカーサー財団の「サーキュラーエコノミーの3原則」を見てみましょう。

1. Eliminate Waste& Pollution 廃棄物と汚染を生み出さない
2. Circulate Products& Materials 製品と資源を流通させる
3. Regenerative Nature 自然を再生する
エレンマッカーサー財団

先程例にあげた、ペットボトルも、この原則を基にデザインすると、より包括的な取り組みが可能です。例えば、

● ペットボトルを買わなくていいように、詰め替えスタンドを設置する
● ユーザー自らペットボトルを回収することで、お金が返ってくるデポジットの仕組みを作る

ユーザーがこうした取り組みを始め、続けたくなるようなデザインをすることがサーキュラーデザインの目指すところです。

給水スポットを探せるアプリ「mymizu」HPより

さて次回の第二回のBlogでは、サーキュラーデザインを実際に商品開発やサービス設計に取り入れた企業の事例について紹介します。お楽しみに!

体験ワークショップのご案内

サーキュラーデザインに関する理解を深め、着手するための取っ掛かりとなるワークショップ「プロダクトジャーニーマップ」をご紹介します。このワークショップでは、既存製品やサービスのライフサイクルを可視化し、ステークホルダーや素材などが社会・地球に与える影響をマッピングします。 現時点の問題や機会をチームで共有し、今後の議論の土台を築くためのものです。

日時:2024年9月12日(木)
場所:東京ミッドタウン八重洲 SCSK LINKE SQUARE 25F
費用:無料


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