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2025.05.28

Series|近未来小説:サスティナブルな世界へと続く道―#03(意味の重要性)



近未来小説03
 

このブログは、いまから10年後にサスティナブルな経営を実現した皆さんが、どのような課題をどのように解決してきたのかを振り返る、近未来小説です。第三回のテーマは「意味の重要性」に焦点を当てています。
 
 

 

言葉から行動へ:共感が変えた持続可能な世界

10年前、世界は持続可能な社会への転換、つまり新しい取り組みを始める必要がありました。
しかし、ビジネスに関与するステークホルダーや生活者のすべてがサスティナビリティの専門家ではありません。なぜ取り組まなければならないのか、取り組むことでどのような恩恵を受けれるのか、など、その意義や意味が伝わらずに取り組みが前に進まない状況が続いていました。
 
取り組みのための議論をするが前に進まない
 

そんな中、アメリカの食品メーカーであるゼネラルミルズは、「再生可能農業」という難解な取り組みを、「植物が大気中の炭素をストローのように吸い込む」といった形でその意味を伝え、かつ「従来型の農業から再生可能農業へ100万エーカー(東京と大阪を足し合わせた面積)転換する」と、大胆で野心的な目標を掲げたことで、そのビジョンに共感する仲間や生活者が集まりました。
 
 
再生可能農業の意味が伝わり取り組みが前進する
この取り組みがきっかけとなり、多くの企業が、持続可能な社会に向けて解決しなければならない課題を掲げ、その課題に対してステークホルダーや生活者とともに取り組まなければならない意義・意味を魅力的に伝え、その考え方に共感する仲間や生活者とともに企業活動を前進させていきました。

地球や社会に悪影響を与えていた事実を突きつけられてショックを受ける生活者もいましたが、その課題に対して真摯に向き合う姿勢に多くの生活者が共感し、応援していくことを決意し、いまではそういった企業を応援することが消費行動の意思決定の中心になっています。
 
 
生活者に広くサスティナビリティの意義が広がった社会

また一方で、サスティナビリティに対する生活者の理解が深まっており、表面的で当たり障りのない課題を設定している企業や、社会的インパクトの小さい取り組みをアピールしている企業は批判の対象になっています。

この過程から学んだ重要な教訓は、サスティナビリティという複雑な取り組みに共感し、参加してもらうために、相手の深い理解を通じて、彼らが一緒に取り組みたくなる魅力的なアジェンダを用意するということです。

 
 

 

考えるべき問い

・10年後の自分は、持続可能に向けてどのような課題に取り組んでいますか?
・その課題に対する取り組みに共感と参加を促進するために、今、何をすべきでしょうか?

202X年現在、私たちは持続可能な未来への道を歩み続けています。
一人ひとりが共感し、参加することで、より良い未来への変化を生み出すことができます。
 
 

【連載】 Series|近未来小説:サスティナブルな世界へと続く道
―#01 (外部不経済)
―#02 (循環経済)
―#03 (意味の重要性)
―#04 (行動変容)
―#05 (厄介な問題)
―#06 (トランジッションデザイン)
―#07 (プラネタリーヘルス)
―#08 (レジリエンス) 
 

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