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2025.05.16

Series|近未来小説:サスティナブルな世界へと続く道―#02(循環経済)



”さようなら”の先にある経済。モノが終わらない旅をし続ける、ゴミのいない星
 

このブログは、いまから10年後にサスティナブルな経営を実現した皆さんが、
どのような課題をどのように解決してきたのかを振り返る、近未来小説です。
第二回のテーマは「循環経済」に焦点を当てています。
 
 

 

共創が拓いた使い捨てからの脱却

10年前、世界は「使い捨て文化」と呼ばれる、生産から消費、そして廃棄へと一直線に進む線形経済モデルに基づいて運営されていました。
資源の採掘、製品の製造、使用後の廃棄という流れは、製造効率はよいものの大量の廃棄物を生み出し、自然資源の枯渇を加速させるなど、環境に重大な影響を与えていました。
 
大量消費・廃棄社会

エレンマッカーサー財団が提唱する循環経済モデルは、この問題に対する解決策の1つとして登場しました。
循環経済は、製品の設計段階から資源を回収し、再利用することを目指し、廃棄物を極限まで減らし、資源の使用を最適化する経済システムです。このモデルは、製品の耐久性を高めること、使用されなくなった製品や素材を新たな資源として再利用することを奨励しています。

 
メンテナンスやリユースで回る資源

大手タイヤメーカーのミシュランは、運送会社向けのサービスとして、従来のタイヤを売り切るビジネスから走行距離に応じてタイヤのリース料を請求する「サービスとしてのタイヤ(Tire as a Service: TaaS)」へ転換しました。製品としてのタイヤの販売ではなく、走行距離という"成果"で料金が決定されるという新しいビジネスモデルを打ち出しました。また、タイヤのメンテナンスも提供サービスに含んでいます。
ミシュランはタイヤの製造から廃棄までのバリューチェーン全体に責任を持つことで、利用済みタイヤの再生・再資源化に取り組んでいます。

 
異なるバックグラウンドを持つ人同士での解決に向けた議論

大企業が直面していた最大の課題は、既存の線形経済モデルからの脱却・移行でしたが、この転換は利害関係者間の共創によって可能となりました。製造業者、消費者、廃棄物管理会社、政府、NGOなど、社会のあらゆるセクターが協力し、新しい経済モデルへの移行を支援する新たなポリシー、技術、ビジネスモデルを開発しました。

この過程で学んだ重要な教訓は、単一企業や組織だけでは解決できない課題に対して、異なるバックグラウンドを持つアクターが力を合わせることで、持続可能な解決策を見出すことができるということです。
 
 

 

考えるべき問い

・10年後から見た現在、私たちは線形経済からの脱却に向けてどのような取り組みを進めるべきでしょうか?
・線形経済からの脱却を加速するために、今、何ができるでしょうか?

202X年現在、私たちはまだその道の途中です。
しかし、線形経済からの脱却は、持続可能な未来に向けた必要不可欠なステップであり、新たな事業を創出する機会でもあります。
私たち一人ひとりができることから始めて、持続可能な未来に向けた変革を進めていきましょう。
 
 

【連載】 Series|近未来小説:サスティナブルな世界へと続く道
―#01 (外部不経済)
―#02 (循環経済)
―#03 (意味の重要性)
―#04 (行動変容)
―#05 (厄介な問題)
―#06 (トランジッションデザイン)
―#07 (プラネタリーヘルス)
―#08 (レジリエンス) 

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