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2025.05.28

Series|近未来小説:サスティナブルな世界へと続く道―#04(行動変容)



近未来小説04
 

このブログは、いまから10年後にサスティナブルな経営を実現した皆さんが、どのような課題をどのように解決してきたのかを振り返る、近未来小説です。第四回のテーマは「行動変容」に焦点を当てています。
 
 

 

行動科学が変えた消費社会 

10年前、世界は気候変動という未曾有の危機に直面し、行動を起こさなければ地球の未来が危ういことが明らかになっていました。しかし、必要な変化を生み出すためには、技術的な解決策だけでなく、人々の行動変容が不可欠であることもIEAのレポートは強調していました。
 
IEA(国際エネルギー機関)が発行した「Net Zero by 2050」レポートには「将来の排出量削減の約60%は、行動変容に依存する」と記載されています。
 
4-1_レジ袋の有料化=デフォルトの変更
 

そんな中、人々の行動変容を促すための技術として、行動科学やBI(行動インサイト)と言われる新しい学問が発展しました。これは行動変容を促すためのターゲットを深く理解したうえで、人間の行動心理に基づくデザインにより、社会や地球にとってよりよい行動・判断を促す手法です。

例えば、小売店がレジ袋を自動的に提供するのではなく、生活者が必要かどうかを尋ねるシンプルな変更も「デフォルトの変更」というアプローチです。これにより、生活者は自分の選択を意識するようになり、プラスチックの使用量が大幅に減少しました。
 
 
4-2_社会にとってより良い選択をするか、負担をかけ続けるかnew
先進的な企業の取り組みにより、生活者はサスティナビリティに対して意識するようになり、現在では行動変容テクニックに頼らずとも自ら社会によってより良い選択をすることが当たり前となっています。また、社会にとって負荷をかけている企業やサービスは選ばれないマインド、選ぶことが恥ずかしいマインドになっています。

この過程で学んだ重要な教訓は、行動変容がサスティナビリティに対抗するためのカギであり、かつその過程の中で生活者自身がサスティナビリティの重要性を学び、いずれは意思決定に影響するようになるということです。さて、そのときに生活者はどのような企業・ブランドを選ぶことになるのでしょうか?
 
 

 

考えるべき問い

・あなたの企業が10年後に選ばれない企業・ブランドになっているとしたら、それはなぜでしょうか?
・10年後に選ばれる企業・ブランドになるために、今、何をすべきでしょうか?

202X年現在、私たちは持続可能な未来への道を歩み続けています。
我々が地球に優しい選択を促すことで、より良い未来への変化を生み出すことができます。
 
 

【連載】 Series|近未来小説:サスティナブルな世界へと続く道
―#01 (外部不経済)
―#02 (循環経済)
―#03 (意味の重要性)
―#04 (行動変容)
―#05 (厄介な問題)
―#06 (トランジッションデザイン)
―#07 (プラネタリーヘルス)
―#08 (レジリエンス) 

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