2025.07.18
Blog|DMN2025 予測不可能な時代を生き抜く組織の作り方:動的安定性と反脆弱性の実践

コロナ禍、急激な技術革新、予測不可能な世界情勢...。
「4月に策定していた計画が、今日はもう使えない」そんな経験はありませんか?
多くの企業が直面している現実です。
多くの企業が直面している現実です。
緻密に練られた計画が数ヶ月で無意味になり、新しい競合が突然現れて市場を席巻し、顧客のニーズが一夜にして変わってしまう。まさに「VUCA時代」と呼ばれる、変動性・不確実性・複雑性・曖昧性に満ちた世界です。
しかし、こんな時代だからこそ、ピンチを上手く乗りこなし成長のチャンスに変える会社と、
しかし、こんな時代だからこそ、ピンチを上手く乗りこなし成長のチャンスに変える会社と、
変化に振り回されて沈んでいく会社の差がくっきりと分かれています。
その違いは一体何なのか?
その違いは一体何なのか?
オランダのデルフト工科大学の研究者たちが、この問いに答える画期的な概念を提示しました。
それが「動的安定性( ピンチを上手に乗りこなす力 )」と「反脆弱性(ピンチをチャンスに変える力)」です。
この記事では、変化の激しい時代を生き抜く企業の新しい戦略について、具体的な事例とともに分かりやすく解説します。
この記事では、変化の激しい時代を生き抜く企業の新しい戦略について、具体的な事例とともに分かりやすく解説します。
あなたの会社が次の危機を「成長の機会」に変えるヒントが見つかるはずです。
こんにちは! mctの下野です。
2025年7月4日、DMN2025にて「Stability and Antifragility ~VUCA世界における動的安定性と反脆弱性のデザイン~」のワークショップを開催しました。
オランダのデルフト工科大学産業デザイン工学部のキム助教授と、同大学の博士研究員であるアレキサンダー氏が講師を務めた本セミナーは、変化の激しい現代において、企業がどうやってピンチを乗りこなし、成長のチャンスに変えるかを探る内容でした。
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Stability and Antifragility ~VUCA世界における動的安定性と反脆弱性のデザイン~
講師紹介
ユイヨン・キム氏
デルフト工科大学工業デザイン工学部で、デザイン・組織・戦略部門の動的安定性設計の助教授とPeople in Transit(PiT)/Mobilityの主任研究員を務める。
アレクサンダー・ニューバーグ氏
デルフト工科大学工業デザイン工学部デザイン・組織・戦略(DOS)学科の博士候補生。アントワープ大学にて戦略的デザインに特化した製品開発の修士号を取得。
デルフト工科大学工業デザイン工学部で、デザイン・組織・戦略部門の動的安定性設計の助教授とPeople in Transit(PiT)/Mobilityの主任研究員を務める。
アレクサンダー・ニューバーグ氏
デルフト工科大学工業デザイン工学部デザイン・組織・戦略(DOS)学科の博士候補生。アントワープ大学にて戦略的デザインに特化した製品開発の修士号を取得。
目次 1. なぜ事業計画どおりにビジネスが成功しないのか 2. 顧客体験(CX)を中心に添えた「デザインロードマップ」というアプローチ 3. 「ピンチに振り回される会社」から「ピンチをチャンスに変える会社」へ:反脆弱性という考え方 4. 動的安定性( ピンチを上手に乗りこなす力 )で変化を味方につける 5. 危機を成長に変えた実例 6. まとめ:あなたの会社でも実践できる3つのポイント |

ワークショップはデルフトにいる講師陣とZoomでつないで同時通訳で行われました
なぜ事業計画どおりにビジネスが成功しないのか
市場では失敗に終わった先進的な製品たち
セミナーの冒頭でキム助教授は事例を紹介しました。プロジェクター付き携帯電話、多機能を詰め込んだLG G5...。これらの製品は技術的には優れていたにも関わらず、市場では失敗に終わりました。なぜでしょうか?
セミナーの冒頭でキム助教授は事例を紹介しました。プロジェクター付き携帯電話、多機能を詰め込んだLG G5...。これらの製品は技術的には優れていたにも関わらず、市場では失敗に終わりました。なぜでしょうか?

プロジェクター機能付き携帯電話 |
事業計画で活用されている(技術・製品)ロードマップの限界

ロードマッピングは、特定の分野の道筋を示す地図として定義され、多くの企業が特定の目標を達成するための戦略を計画・開発する手段として利用しています。学術界では30年以上前から研究されており、800以上の研究が存在します。企業では主に、製品ロードマップ、技術ロードマップ、デザインロードマップの3種類のロードマップが用いられています。
ロードマップの主な用途は、組織内の異なる部署間のコミュニケーションを円滑にするための内部協力の手段であり、未来のシナリオを予測し、外部パートナーやステークホルダーとのコミュニケーションに活用され、リソースの割り当てにも用いられます。ロードマップは四半期ごとに更新されることが多いです。
それでは、事業計画でロードマップを活用しても市場においては失敗に終わったのはなぜでしょうか?
ロードマップの主な用途は、組織内の異なる部署間のコミュニケーションを円滑にするための内部協力の手段であり、未来のシナリオを予測し、外部パートナーやステークホルダーとのコミュニケーションに活用され、リソースの割り当てにも用いられます。ロードマップは四半期ごとに更新されることが多いです。
それでは、事業計画でロードマップを活用しても市場においては失敗に終わったのはなぜでしょうか?
調査を進める中で以下のような課題があることが見えてきました。

・コミュニケーションの対立
ロードマップは、企業内で特にマネージャークラスで使用される非常に機密性の高い資料であるため、これを活用する際に現場レベルでのコミュニケーションで対立が生じやすい。
・顧客フォーカスの欠如
多くの回答者は、ロードマップが顧客に十分に焦点を当てていないと指摘しています。これは、さきほど指摘したように、ロードマップが機能や技術に過度に傾倒していることが一因です。また、一度作成されたロードマップの計画に対して、顧客からのフィードバックを取り入れるスキーム・マインドセットがないという問題もあります。
・VUCA条件下での柔軟性のなさ
ロードマップは一度作成されると固定化されがちですが、市場環境は常に変化しているため、計画通りに進まないことがよくあります。未来を予測する上で非常に非効率的であり、アジリティに欠けています。
興味深いことに、2015年当時、デザインロードマップは、プロダクトマネージャーやエンジニアからはほとんど言及されず、多くの企業でその重要性が十分に認識されていませんでした。つまり、「ロードマップ」といえば「製品ロードマップ」か「技術ロードマップ」のことを指していました。
顧客体験(CX)を中心に添えた「デザインロードマップ」というアプローチ
調査結果を踏まえてキム氏は、「事業計画をするうえで製品や技術の計画だけではなく、どのような顧客体験(CX : カスタマーエクスペリエンス)を提供するのか?もロードマッピングに取り入れる必要がある」という考えに至りました。
長期計画を考えるうえでキム助教授が提案しているのは「顧客体験(CX)」を中心に据えた「デザインロードマップ」という手法です。
デザインロードマップとは?

デザインロードマップとは、「XX年後に我々は○○といった顧客体験(CX)を提供する」といった、顧客体験(CX)を中心としたロードマップです。タイムラインに沿って目標とする顧客体験(CX)を配置し、その顧客体験(CX)を実現するために必要な組織、製品、サービス、システム、技術と統合することで、将来にわたりどのような顧客体験(CX)を提供していくのかを表現した設計図です。
技術が急速に変化し、かつ顧客が製品やサービスだけでなく「顧客体験(CX)」を求める現代において、従来の技術主導型のアプローチだけでは不十分です。顧客体験(CX)を中心に配置するデザインロードマッピングは、技術がどのように変化しても将来の見通しに安定性を提供し、組織がユーザーに焦点を合わせ続けることを可能にします。
デザインロードマッピングを取り入れた事例
アフラックダックはご存じでしょうか?
技術が急速に変化し、かつ顧客が製品やサービスだけでなく「顧客体験(CX)」を求める現代において、従来の技術主導型のアプローチだけでは不十分です。顧客体験(CX)を中心に配置するデザインロードマッピングは、技術がどのように変化しても将来の見通しに安定性を提供し、組織がユーザーに焦点を合わせ続けることを可能にします。
デザインロードマッピングを取り入れた事例
アフラックダックはご存じでしょうか?
あの愛らしいキャラクターは「小児がんの子どもたちを応援する」という顧客体験(CX)を中心としたロードマップが採用されています。

アフラックダックの前身は、Sproutel(現在はEmpath Labsとして知られています)というスタートアップが開発していた「ジェリー」というテディベアでした。ジェリーは糖尿病に関する学習をゲーム感覚で楽しく簡単に行えるようになるぬいぐるみです。

ジェリーは「慢性疾患を持つすべての子どもたちは、遊びを通して自分の感情に対処し、病気について学びたいと考えている」という点に焦点をあて、「子どもたちが「ジェリー」に共感し、糖尿病について学びながら感情を処理できるようにする」という顧客体験(CX)に焦点を当てた製品開発を行っていました。

ロードマップで定義されているコアエクスペリエンス

コアエクスペリエンスを提供するための製品や技術開発
初期製品は、リチウムイオンバッテリー、モノクロスクリーン、スピーカー、モバイルアプリなどを用いていました。その後、カラータッチスクリーン、RFID、インタラクティブなストーリーブック、NFC給電ベース、タブレットアプリなどが追加され数世代にわたって進化しましたが、彼らの製品開発・アップデートの中心にあったのはあくまでも「子どもたちが「ジェリー」に共感し、糖尿病について学びながら感情を処理できるようにする」という顧客体験(CX)です。
競争の激しい米国市場で彼らが生き残ってきたのは、「人々が何を求めているか、彼らが誰であるか」そして「テクノロジーそのものよりも体験とコアバリューに真に焦点を当てることができるか」という点に固執した考え方によるものです。
そのコンセプトをテディベアからがん患者の子どもたち向けに発展させて「アフラックダック」が生まれたというわけです。
デザインロードマップの原則
デザインロードマップは、VUCA環境に対応するために以下の原則に基づいています。

変動性 (Volatility):俊敏で軽快なロードマッピング
変動の激しい市場状況に対応するため、既存の固定されたロードマッピングプロセスではなく、顧客体験デザインと製品機能・技術選択の反復的なインタラクションを通じて軌道修正していく、俊敏なプロセスが求められます。
不確実性 (Uncertainty):予測ではなく将来への備えとしてのロードマッピング
将来を予測するのではなく、不確実な市場状況に直面しても代わりとなる将来に備えることで、必要に応じて対応できる能力を高めます。
複雑性 (Complexity):顧客やユーザーニーズの原点を頻繁に探求する
社内の組織体制やステークホルダーに影響されることがないように、あくまでも顧客やエンドユーザーを中心に置き、直接かつリアルタイムでニーズを発見・洞察を収集し、それをロードマッピングプロセスに直接活用します。
曖昧性 (Ambiguity):顧客データに基づく意思決定を行う
曖昧な判断・意思決定ではなく、顧客が何を求めているかという顧客データに基づいてビジネスの方向性を決め、デザイン戦略を立てる
「ピンチに振り回される会社」から「ピンチをチャンスに変える会社」へ:反脆弱性という考え方
VUCA環境における戦略的な道筋の描き方について学びました。
しかし、いくら柔軟な計画を立てても、予期しない危機や変化は必ず訪れます。ここで重要なのは、そうした困難は必ず起こるものと捉え、その困難に対してどう向き合うかという組織の基本的な姿勢です。
そこで、単に困難に耐えるだけでなく、むしろ危機から利益を得て強化される「反脆弱性(ピンチをチャンスに変える力)」についての紹介がありました。これは、デザインロードマッピングで描いた道筋を、予想外の事態が起きた時により良い方向に進化させる力でもあります。
ちなみにこの「反脆弱性」という考え方は、ブラックスワン理論で有名なタレブ氏の著書としても有名です。
反脆弱性とは?郵便物の例で考える
あなたが荷物を送るとき、どんなラベルを貼りますか?
大切なものであれば「割れ物注意」や「天地無用」などの記載をしたりします。一般的なものであればあまり表記することはありませんが「 通常取扱い 」や「 横置き可 」などでしょうか?
ただし、どのような配達物であっても「乱暴に扱ってください」というラベルを付けることはなかなかありません。反脆弱性(ピンチをチャンスに変える力)というのは、この「乱暴に扱うことで価値が上がる」ようなチャンスを見つけることです。
そこで、単に困難に耐えるだけでなく、むしろ危機から利益を得て強化される「反脆弱性(ピンチをチャンスに変える力)」についての紹介がありました。これは、デザインロードマッピングで描いた道筋を、予想外の事態が起きた時により良い方向に進化させる力でもあります。
ちなみにこの「反脆弱性」という考え方は、ブラックスワン理論で有名なタレブ氏の著書としても有名です。
反脆弱性とは?郵便物の例で考える
あなたが荷物を送るとき、どんなラベルを貼りますか?
大切なものであれば「割れ物注意」や「天地無用」などの記載をしたりします。一般的なものであればあまり表記することはありませんが「 通常取扱い 」や「 横置き可 」などでしょうか?
ただし、どのような配達物であっても「乱暴に扱ってください」というラベルを付けることはなかなかありません。反脆弱性(ピンチをチャンスに変える力)というのは、この「乱暴に扱うことで価値が上がる」ようなチャンスを見つけることです。

* 高級クリスタルグラスのように、衝撃を受けると価値を失う
* 多くの企業がこのタイプ:少しの変化で大きく業績が悪化
頑健性(Robust):「壊れにくい」
* IKEAのコップのように、落としても壊れない
* 衝撃を受けても価値は変わらない
* 不死鳥のように、元の状態に戻る
反脆弱性(Antifragile):「乱暴に扱ってください」のラベル
* 壊れることで価値が上がる
* 金継ぎされた陶器のように、傷が美しさを増す
* ヒュドラのように、首を1つ切られると2つ生える
2つレベルで反脆弱性(ピンチをチャンスに変える力)を捉える
アレキサンダー氏はこの「反脆弱性(ピンチをチャンスに変える力)」を2つに分類しました。
適応(Adaptation)は、ピンチに陥ったときに影響を受けたリソースやアセットを上手く活用して切り抜けていこうとする考え方、変革(Transformation)は、従来のシステムやビジネスモデルを見直す良い機会を得ることができたと捉えるような考え方、と表現することができそうです。


適応(Adaptation):小さな変化で対応
* 例:コロナ禍で旅客機に貨物を積んだ航空会社
* 既存の資源を別の用途に活用
変革(Transformation):根本的な変化
* 例:空港が各部門の代表者を一つの部屋に集めて運営を統合
* ビジネスモデル自体を変える
反脆弱性の見つけ方
それでは脆弱性や反脆弱性はどのように見つけることができるのでしょうか?それは「発生確率」と「影響力」に注目することです。このあたりは「ブラックスワン理論」と同じような考え方と言えます。

脆弱性(ブラックスワン理論)
予測困難で発生確率が低いと思われていた事態が実際に起こると、システムや組織に壊滅的な打撃を与える現象。
* 例:車を1km/hで100回壁にぶつける vs 100km/hで1回ぶつける
* 後者の方が圧倒的にダメージが大きい → これが脆弱性
* 対策:低頻度・高インパクトの事象に対する備えが重要
反脆弱性(ピンチをチャンスに変える力)
困難やストレスに直面した時、それを成長の機会として活用し、以前よりも強靭になる能力。
* 例:10kgを10回持ち上げる vs 100kgを1回持ち上げる
* 後者の方が筋肉の成長効果が大きい → これが反脆弱性
* 活用法:適度な負荷や困難を積極的に受け入れることで、将来のより大きな困難に対処できる能力を養う
動的安定性( ピンチを上手に乗りこなす力 )で変化を味方につける
つづいて、「動的安定性(ピンチを上手に乗りこなす力 )」について紹介がありました。
この概念を説明するために、自転車に乗る際の比喩が用いられました。自転車を前進させるためには、以下の2つの要素が重要です。

ペダル操作(Pedaling)
これは技術選択(Technology choice)に例えられます。イノベーションのペースやスピードを調整し、根本的または漸進的なイノベーションを可能にし、基礎インフラを構築する役割を担います。
ハンドル操作(Steering wheel)
これはデザインプロセス(Design process)に例えられます。新しいビジョンを設定し、顧客やユーザーのニーズを特定し、提供価値やその意味を定義し、機会領域を探求し、シナリオを開発することで、イノベーションの道筋を形成します。
ペダル操作とハンドル操作が連携することで、自転車は走行中に直立状態を維持するための動的な安定性を生み出します。同じように、企業においては技術とデザインが連携することで、VUCA環境を航海しながら組織を維持するための動的な安定性を生み出すことができます。
つまり、動的安定性とは、「外的要因に伴う不可避な変化(ピンチ)を受け入れ、これまでとは異なる技術やデザインを取り入れながら安定した状態に到達する能力」と言えます。
動的安定性( ピンチを上手に乗りこなす力 )におけるデザインの役割
動的安定性( ピンチを上手に乗りこなす力 )におけるデザインの役割

VUCAの市場環境においてこの動的安定性( ピンチを上手に乗りこなす力 )を実現するためには、イノベーションの様々なレベルにおいて、人間の深い価値観や文脈、傾向を常に捉え、必要とされる新たなテクノロジーを取り入れていく柔軟性が求められます。
その中で「デザイン」は、曖昧で不確実な出発点から、プロトタイプの反復と深い洞察を経て、具体的な解決策へと導く、創造的思考と実践的手法を統合した問題解決のプロセスであり、 イノベーションを推進するうえで中心的な役割を果たします。
動的安定性( ピンチを上手に乗りこなす力 )の6つの戦略
COVID-19によって引き起こされた前例のない市場状況に直面した際、航空業界の組織はどのように対応し、生き残ったのでしょうか?
オランダの航空業界300以上の記事と、世界の1万件以上の記事を分析した結果、動的安定性( ピンチを上手に乗りこなす力 )について、6つの「Re-」戦略が見えてきました。

Re:search(リサーチ)
マクロ、メソ、ミクロのトレンドを感知し、変化する顧客やユーザーのニーズとコンテキストを収集し続ける行動。
例:企業が市場や状況を継続的に調査し、第三者企業や学術パートナーとも連携する。
例:企業が市場や状況を継続的に調査し、第三者企業や学術パートナーとも連携する。
Re:frame(リフレーム)
リサーチされた市場トレンドに合わせて、イノベーションの境界、範囲、方向性を策定・変更する行動。
例:COVID-19で滑走路が停止した際、航空業界のパートナーはドローンなどの新技術を導入し、航空機の監視や維持に活用するという機会を見出した。
例:COVID-19で滑走路が停止した際、航空業界のパートナーはドローンなどの新技術を導入し、航空機の監視や維持に活用するという機会を見出した。
Re:purpose(リパーパス)
再構築されたデザイン目標において、緊急的・一時的なニーズを満たすために、新しいデザインの動機を構築する行動。
例:COVID-19による旅客輸送の90%減に対し、航空貨物輸送が40%増加したため、旅客機に貨物を積載し、空いているスペースを再利用して医療品などを輸送した。
例:COVID-19による旅客輸送の90%減に対し、航空貨物輸送が40%増加したため、旅客機に貨物を積載し、空いているスペースを再利用して医療品などを輸送した。
Re:design(リデザイン)
長期的なデザイン目標の中のニーズを満たすために、新しいデザインの動機を構築する行動。リパーパスと似ているが、より長期的かつ根本的な変化を伴う。
Re:imagine(リイマジン)
製品、サービス、システムといった複数のレベルのイノベーションにおいて、新しいソリューションの概念を形成する行動。
例:スキポール空港が空港の役割を再定義し、フライトがなくても機能するハイパーループ(地下高速列車)の導入を検討するなど、より根本的な交通ハブとしての変革を図った。
例:スキポール空港が空港の役割を再定義し、フライトがなくても機能するハイパーループ(地下高速列車)の導入を検討するなど、より根本的な交通ハブとしての変革を図った。
Re:sile(リザイル)
不確実で不安定、複雑な市場環境に対応し、ダイナミックな安定性を維持することで、レジリエントで持続可能な社会を構築する行動。
森林火災とワイン醸造所
カリフォルニアのナパバレーで、森林火災に直面したワイン醸造所が、煙の匂いが染み付いたブドウをブランデーやウイスキーに再利用(repurpose)することで、危機をビジネスモデルに変えた事例。
危機を成長に変えた実例
体験ワークでは、特定のケース(例:COVID-19下の博物館、森林火災とワイン醸造所、レストラン)を選び、そのシステムのギガマップを作成し、脆弱な部分、堅牢な部分、適応的な部分、反脆弱な部分を特定する活動を行い、特定された最も脆弱な部分に対処するためのコンセプトを3つ考えるアクティビティを行いました。
ワークの詳細は割愛しますが、ここで出された事例は実際にピンチをチャンスに変えたイノベーションの事例でした。
ワークの詳細は割愛しますが、ここで出された事例は実際にピンチをチャンスに変えたイノベーションの事例でした。

カリフォルニアのナパバレーで、森林火災に直面したワイン醸造所が、煙の匂いが染み付いたブドウをブランデーやウイスキーに再利用(repurpose)することで、危機をビジネスモデルに変えた事例。
COVID-19と博物館
ロッテルダムの美術館が、コロナ対策として来場者が車に乗ったまま展示作品を鑑賞できるドライブスルー形式の新しい展示会を開催した事例。
COVID-19とレストラン
多くの都市でレストランが市役所や配達業者などと協力し、コロナ禍を乗り越えようとして、屋外テラス席を設置してより多くの顧客に食事を提供した事例。
多くの都市でレストランが市役所や配達業者などと協力し、コロナ禍を乗り越えようとして、屋外テラス席を設置してより多くの顧客に食事を提供した事例。
まとめ:あなたの会社でも実践できる3つのポイント
VUCA時代は確かに厳しい時代ですが、正しい考え方と戦略があれば、変化を味方につけることができます。
あなたの会社も、次の危機を「成長のチャンス」に変えてみませんか?
線形的な未来予測からアジャイルなロードマッピングへのシフト
VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)環境が常態化する現代において、従来の線形的なロードマップでは環境変化に対応できません。そのため顧客体験を重視した「デザインロードマップ」を導入することが有効であり、このアプローチにより、組織を真にユーザー中心の視点に集中させ、将来の不確実性に備えたアジャイルな計画策定が可能になります。
危機を成長の機会と捉える思考法の習得
予測不可能な「ブラックスワン」事象が頻発する現代において、組織は自らの脆弱な部分を的確に特定し、それらを成長の機会として捉える非予測的な意思決定の思考法として、反脆弱性(ピンチをチャンスに変える力)を身につけることが不可欠です。
6つの「Re-」戦略の状況に応じた使い分け
組織が不確実な状況に直面した際に適切に対応し、動的安定性( ピンチを上手に乗りこなす力 )を維持するための体系的なアプローチとして「6Rフレームワーク」があります。各戦略を状況に応じて適切に使い分けることで、組織は変化を味方につけながら持続的な成長を実現できます。
あなたの会社も、次の危機を「成長のチャンス」に変えてみませんか?
線形的な未来予測からアジャイルなロードマッピングへのシフト
VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)環境が常態化する現代において、従来の線形的なロードマップでは環境変化に対応できません。そのため顧客体験を重視した「デザインロードマップ」を導入することが有効であり、このアプローチにより、組織を真にユーザー中心の視点に集中させ、将来の不確実性に備えたアジャイルな計画策定が可能になります。
危機を成長の機会と捉える思考法の習得
予測不可能な「ブラックスワン」事象が頻発する現代において、組織は自らの脆弱な部分を的確に特定し、それらを成長の機会として捉える非予測的な意思決定の思考法として、反脆弱性(ピンチをチャンスに変える力)を身につけることが不可欠です。
6つの「Re-」戦略の状況に応じた使い分け
組織が不確実な状況に直面した際に適切に対応し、動的安定性( ピンチを上手に乗りこなす力 )を維持するための体系的なアプローチとして「6Rフレームワーク」があります。各戦略を状況に応じて適切に使い分けることで、組織は変化を味方につけながら持続的な成長を実現できます。
DMN2025について
DMNとは、ビジネスデザイン、イノベーション、DXを学び、組織に改革を起こす人材育成のための年会費制プログラムです。参加者同士の議論を通じて学びを深める参加型のスタイルが大きな特徴です。
変化が激しく、将来の予測が困難な時代。だからこそ、未知の未来を見通し、新たなビジネスを創出し、推進できるマインドセットを持つ人材が求められています。持続的な成長を支えるイノベーション・デザイン・DX人材育成のための選択肢としていかがでしょうか?お試し体験やオンラインモニターなども募集していますのでお気軽にお問い合わせください。
変化が激しく、将来の予測が困難な時代。だからこそ、未知の未来を見通し、新たなビジネスを創出し、推進できるマインドセットを持つ人材が求められています。持続的な成長を支えるイノベーション・デザイン・DX人材育成のための選択肢としていかがでしょうか?お試し体験やオンラインモニターなども募集していますのでお気軽にお問い合わせください。
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