2025.09.19
Blog|ゲームフルCX―なぜ今ゲーミフィケーションに注目が集まっているのか?

ゲーミフィケーションは今、再び注目されており、市場は急成長している。
かつてのゲーミフィケーションは形骸化していたせいで失敗したが、今は没入感や継続性を重視した進化形が台頭している。
ゲーミフィケーション市場は世界的に急成長している
こんにちは! mctの石渡です。
これまでmctのブログでは、行動変容や顧客体験のデザインについてさまざまな観点からお伝えしてきました。今回からは新たなテーマとして、「ゲーミフィケーション」に注目した連載をスタートします。
第1回は、「なぜ今ゲーミフィケーションに注目すべきなのか」 をご紹介します。 かつて一度ブームを迎えながら、「ポイントやバッジを付与するだけ」と言われてきたゲーミフィケーションが、いま再び話題となり始めた背景にはどのようなものがあるのでしょうか。
近年、ゲーミフィケーション市場は急速に拡大しています。2025年には世界市場規模が約208億ドルに達し、2034年には1,908億ドルに達すると予測されています。これは年平均成長率(CAGR)27.9%という驚異的な伸び率です。

この成長の背景には、企業が顧客や従業員のエンゲージメントを高める手段として、ゲーミフィケーションを積極的に取り入れていることがあります。特に、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展に伴い、オンラインでの顧客接点が増加し、ユーザーの関心を引き続けるための工夫が求められています。
ゲーミフィケーションの成功事例として有名なのは語学学習をゲーム化させた「Duolingo」でしょう。Duolingoのユーザーは毎日の学習で連続記録を積み重ね、バッジやランキングといった要素でモチベーションを維持します。この仕組みにより、月間アクティブユーザー数は3,400万人を超え、前年比で13%の収益増加を達成しています。
スターバックスの「Starbucks Rewards」プログラムも、ゲーミフィケーションを活用した成功例です。顧客は購入ごとに「スター」を獲得し、特典と交換できます。この仕組みにより、米国での売上が40%増加しております。
なぜ過去のゲーミフィケーション施策は失敗したのか
このように、ゲーミフィケーションには近年注目が集まっていますが、ゲーミフィケーションという言葉が流行りはじめた2010年頃は、むしろ「期待外れ」の烙印を押された施策でした。

もともとゲーミフィケーションというのは、ポイントやランキング、バッジなど、ゲーム要素をビジネス現場に取り入れることで、人々のモチベーションを引き上げようという試みです。しかし、その後「思ったほど効果が続かない」「一時的に盛り上がっただけ」といった声が多く聞かれるようになりました。
これはなぜでしょうか?原因は複数考えられます。
1. 外発的報酬(ポイントやバッジ)のみで終わった
2. 目新しさが薄れると「マンネリ化」しやすい
3. “やらされ感”が強くなると、内発的な興味まで奪ってしまう
4. 真の魅力(ゲームがもたらす没入感やワクワク感)を十分に活かしきれなかった
5. 単なる“ガワ”としてゲーム要素をかぶせただけ
6. 企業の目的ばかりが前面に出て、ユーザー体験がおざなりになる⋯⋯
こうしてゲーミフィケーションという言葉はすっかり廃れてしまい、一時期はビジネス現場でほとんど耳にすることがなくなってしまいました。
なぜmctがゲーミフィケーションに注力するのか
そんな中、「ゲーミフィケーション」の“その先”を実装する動きが国内外問わず次々と出てきています。
表現としては、「ゲーミフィケーション2.0」であったり「ゲームフルデザイン」であったりと様々ですが、共通しているのは「単にゲーム要素を足すのではなく、ゲーム自体が持つ没入体験や継続意欲のメカニズムをプロダクトやサービスに溶け込ませる」というアプローチです。

企業があらためてゲーミフィケーションに注目するのは、何も“新しいことをやりたいから”だけではありません。DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速が進むとともに、競合サービスが増え、お客様との接点が多様化しているという事情がそこにはあります。
新商品キャンペーンの飽きられ防止、研修や学習サービスでのエンゲージメント維持、長期的なファンコミュニティの形成――こうした課題に向き合うとき、「どうすればユーザーが自然に参加し、楽しみながら成長していけるか?」という視点は、従来以上に重要になっているのです。
一見「ゲーム」というと“遊び”のイメージが強いかもしれません。しかし、“人間が夢中になって行動するしくみ”をビジネスや学習などのシリアスな現場に持ち込み、より豊かな体験価値を創出するというところに本質があります。
一緒に「実験」しませんか?
mctは、今後ゲーミフィケーション領域に真剣に取り組みたいと考えています。私たちはこれまで、顧客の行動変容リサーチや人間中心のデザインを武器に、企業の課題解決を支援してきました。ユーザーインサイトを深く理解し、「どうすれば継続的に価値を感じてもらえるか?」を設計するノウハウがあります。
また、海外の主要ゲーミフィケーションプラットフォームを日本でいち早く導入し、現在さまざまなプロジェクトで活用しております。mctでは、お客様の課題を“おもしろく解決”するための取り組みとして、今後もゲーミフィケーション×CX領域の研究・実践を進めてまいります。
もし「こんな課題でも応用できる?」といったご相談があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください!
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Sho Ishiwata
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