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2024.05.07

Blog|【PHARMA CX SUMMIT 2024 参加報告イベント】PREVIEW企画 本編先出しスペシャル [Part2]

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皆さんこんにちは。 Eric Freyです。

さてmctでは5月15日(水)に、私とJonathan Browneが参加した 「第11回 PanAgora PHARMA CX SUMMIT 2024」 のカンファレンス内容をメインとしたスペシャルイベント【「PHARMA CX SUMMIT 2024」参加報告イベント】を開催します。
 

このブログは、そのPREVIEW企画として 「PHARMA CX SUMMIT 2024」 のカンファレンス内容を少しだけチラ見せしつつ、イベント内容の理解と当日に向けての期待を高めていただくべく、2回にわたって内容の「先出し」情報をお届けしよう、というものです。

Part2の今回は、2日間のうちのDAY2の内容についてお伝えしたいと思います。
DAY2のメインテーマは 「医療従事者のCX」 です。


■DAY1【HCP CX DAY(医療従事者CXデー)】の 内容 「先出し」
DAY2の最初のセッションでは、残りのすべてのセッションに関わる論文が紹介されました。

その中で最大の課題として挙げられていたのは、製薬会社が医師をいわゆる「顧客=生活者」として捉えていないということでした。もちろん製薬会社は、頭では患者や医療提供者が「顧客=生活者」であることは理解しています。当然ながら医師も他のコンテキストと同じ種類の“快適な顧客体験”を期待しているのですが、実際には「顧客である」という視点が抜け落ちてしまうことが多く、一般の企業がそのユーザーに対して行っているような“快適な顧客体験”を提供できていないのが現実です。製薬会社は医師も「顧客=生活者」であるということを肝に銘じる必要があります。
 
06
 DAY2 Session: “And What is Consumerization? Personalization, Convenience, Intuitive UI”
(コンシューマライゼーションとは何か?パーソナライゼーション、利便性、直感的UI)

顕著な例として挙げられていたのは、あるタスク管理の画面設計の話です。医師は自身のタスク記録をするために、何度も何度もマウスをクリックしなければならないような設計になっており、その結果、本業である患者ケアにかけられる時間が大幅に減少しているという事例でした。もちろん必要な入力があることは仕方がないことですが、ただしこれをいわゆる一般的な顧客に置き換えてみると、たとえ何かを解決するためであっても何度も何度もクリックすることは耐えられないですし、決して良いサービスとは言えません。製薬会社、あるいは製薬分野のIT企業は、「クリック数を減らす」ことはもちろんですが、それだけではなく「顧客=生活者」としてとらえたときの画面の在り方を考える必要があります。
 
07
DAY2 Session: “Standards of interactions of our HCP customers are increasingly shaped outside of Pharma…”
(医療従事者とのより良いやり取りの基準は、実は製薬会社以外の接点で形成されている…)

また、医療業界以外の顧客体験を検討する別のセッションでは、卓越した顧客体験として、ホテル「リッツ・カールトン」のアプローチが強調されていました。もちろんそれは努力すべきことではありますが、ここでひとつ重要な点は、世界中の拠点で同様のエクスペリエンスを一貫して提供するためにかかるコストについてでした。製薬業界のCXもリッツ・カールトンを目指したいと言うのは簡単ですが、それを達成するには何が一番のハードルなのかを深く考える必要があります。大小さまざまなに変化するアナログおよびデジタルのオムニチャネルにおける経験は、現場スタッフをはじめとするさまざまなスタッフによってカバーされており、そのすべてが互いに補強しあって成り立っているという原則を忘れてはいけません。お客様や最前線のスタッフのコントロールには大小さまざまな変数があり、それらすべてが相互に強化し、基礎となる原則を強化します。
 
08
DAY2 Session: “Omnichannel as the Foundation: Mutlichannel vs. Omnichannel Marketing”
(基礎としてのオムニチャネル: マルチチャネル vs. オムニチャネルマーケティング)

DAY2
のもうひとつの重要なトピックは、オムニチャネル、データ管理、生成 AI テクノロジーの関係についてでした。例えば製薬企業が、差別化されたオムニチャネルの顧客体験を提供しようとすると、まずテクノロジーソリューションを自社開発するか、他社のソリューションを利用するかという問題が生じ、そしてそれは誰がデータを保有するかという権利問題につながっていきます。特に生成AIではデータをAIで活用するため、データの保有先というのが重要な要素です。顧客に対して、より効率的でカスタマイズされた良い体験を提供するために、データをAIで活用することには計り知れない価値があります。AIが製薬会社の新たな優位性を引き出すために活用される可能性は極めて強いと言えるでしょう。またその背景には、大手IT企業の業界参入という脅威があります。大手IT企業は、技術力を有し、この業界をビジネス成長のための最重要分野と見なしているからです。
 
09
DAY2 Session: “Examples from Apple, Fitbit, Nvidia, and LG pursuing healthcare offerings based around AI.”
(ヘルスケアの提供を、AIをベースに追求している事例: アップル、フィットビット、エヌビディア、LG)

一方では、製薬会社は自社の業界における影響力と競争力を維持するために、この取り組みを前進させる必要があります。しかし製薬企業は、この進化が従業員や他のパートナーに与える潜在的な影響を考慮する必要があます。つまり例えばMRがテクノロジーによって脅威を感じるのではなく、こうした変化によってより活力を見出せると感じられるようにする必要がある、ということも議論されました。

全体としてDAY2のセッションは、テクノロジーがいかに急速に進歩し、製薬会社が現在から将来にわたる顧客体験を提供する方法にいかに影響を及ぼしているかを考察するための豊富な知見が提供されました。こうした変化の水面下には、優れた顧客サービスを提供するために必要なことについて、時代を超えたインサイト(timeless insights)が隠されているのです。
 
10
DAY2 Session: “Pharma Digital Maturity Transformation Journey with AI powered content management”
(AI を活用したコンテンツ管理における、製薬業界のデジタル成熟度向上の変遷)

5月15日のスペシャルイベントでは、DAY1
とDAY2の内容をさらに詳しく取り上げ、参加される皆さまが、自身のビジネスと日本をはじめとするアジア地域の文脈で、これらのトピックをより深く探求できるミニワークショップを提供する予定です。どうぞご期待ください。

★「PHARMA CX SUMMIT 2024」 のDAY2終了後に撮影した、私とJonathan Browneの 「DAY2レビュー動画」 はこちらからご覧になれます。
Pharma CX Summit 2024に協賛・参加しました [Part2]

 
 
 
 
※もしこのイベント内容にご興味がありそうな方(同部署の方、他部署のお知り合いなど)がおられましたら、ご紹介いただけると幸いです。
 

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