2020.09.24
Blog|リモートワークで切り開く働き方の未来
いきなりですが、GitLabのダーレン・マーフさんは以下のような仕事をしています。彼のポジションは何でしょう?
・エグゼクティブ・コーチとして、シニア・リーダーがリモート・フレンドリーな方法で新しいプロジェクトを推進できるように支援する
・技術アドバイザーとして、新しいリモートツールを評価する
・コミュニケーションのプロとして、在宅勤務のポリシーをリモートワークのハンドブックにまとめる
・イベントプランナーとして、バーチャルなチームビルディングの活動を計画する
答えは、「リモートワーク の責任者(Head of Remote Work)」。
ワシントンポストによると、いま米国で「リモートワークの責任者」がホットな職種になっているそうです。GitLabだけでなく、SlackではCXの副社長がリモートワーク への移行を推進中で、FacebookやQuoraなどでは「リモートワークの責任者」の募集をはじめています。WeWorkの元副社長のリズ・ブロウ氏は「より多くの企業がリモートワークの調整を担当したり、オフィスにいる人とそうでない人がいるハイブリッドなワークプレイスをリードする人物を指名するようになるだろう」と述べています。
いま、テック企業を中心にリモートワークの定着が企業の成長に欠かせないという認識が広がっています。在宅か出社か、あるいはその組み合わせかといった単なる場所の問題ではなく、組織のレジリエンスを高める企業の成長ドライバーとしてリモートワークを捉え、それを加速させるためにどんな役割の人・部門が、何をするべきかを考え、取り組んでいくべきだとmctは考えています。
リモートの普及に伴いますます重要になってくるのが自律、健康、スキル、つながりの4つです。
仕事がリモートに移行し、従業員はより自律的に働くことが求めらるようになりました。しかし、誰もが自律的な働き方を得意としているわけではなく、企業側も、従業員の個性や能力に沿って自律性を尊重、促進する体制やプロセスを十分に整えることができずにいます。
健康:
オフィスに出社する頻度が減り、顔を合わせればなんとなくわかっていた従業員の健康状態が見えなくなって、さらに在宅勤務ならではの身体的、精神的ストレスといった新たな問題が浮上してきています。
スキル:
多くの従業員がいきなりリモートのスキルを習得し、使いこなすことを強いられてきましたが、どんなスキルが必要で、どのように習得していくのかが明確でない企業もあり、スキルのギャップや格差が広がりはじめています。
つながり:
従業員が物理的に集まる機会が減ってしまい、これまでと同じように組織と従業員、従業員間のつながりを維持することが難しくなっています。さらに、つながりそのものの意味が問われはじめています。
組織は、自律、健康、スキル、つながりの4つの課題に対して、どのように取り組んでいけばいいのでしょうか。まずはじめに、組織がリモートでどんな働き方を期待し、どう行動すればいいのか、リモートワークの方針や期待、役割、進め方について、わかりやすく、具体的に従業員に伝えます。これは、従業員の活動をサポートするガイドブックの役割を果たします。ガイドブックは「こう決まっているから、このルールを守ってください」といった就業規則や業務命令のようなものではありません。個人や組織のレジリエンスを高めるために、自律的な働き方を尊重し、サポートするためのものであることを従業員に理解、共感してもらうこと、そして具体的に役立つコンテンツを提供することがポイントになります。
次に技術・ツール。今回のパンデミックを通じて、リモートに対応していないITシステムの問題を多くの企業が経験しました。次いつ起こるかわからない危機に備えるためには、技術・ツールのリモート対応が欠かせません。技術・ツールの導入においてセキュリティーが重要になるのは当然ですが、同時に、従業員体験(EX)について考えることも大切です。すでにパンデミック以前から、従業員がITシステムやツールを利用する場面が増えていましたが、リモート環境においては、技術・ツールの良し悪しが仕事の生産性を大きく左右するようになります。ガバナンスやセキュリティーだけを考えて従業員に我慢を強いるのではなく、いかに従業員の負担を減らし、仕事をスムーズにし、自律的な活動をサポートするかという視点での導入がポイントになります。
そして活動。リモートワークのガイドブックや技術・ツールをベースに、従業員が主体的に活動する機会を与え、リモート環境での働き方の実践を後押しします。ここでの活動は、単にこれまでオフィスで行っていた活動をリモートに置き換えるというレベルに留まりません。目指すのは、新しい働き方を試み、改善を重ねていくことで、自律、スキル、健康、つながりを向上させ、組織のレジリエンスを高めていくことです。活動を通じて従業員自身の手でガイドブックをより優れたものにバージョンアップしたり、技術やツールの導入や応用に自ら取り組めるような、自律的なプロセスを構築することがポイントになります。
リモートワークのメリットを最大限に生かしている企業はまだほとんどありません。また、一朝一夕で実現できるものでもありません。しかし、その重要性をいち早く認識し、継続的に取り組んでいった企業が、レジリエンスの高い企業に成長していくとわたしたちは考えています。
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Hideaki Shirane
株式会社mct CEO / ストラテジスト
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