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9 16, 2022 06:13 Blog|顧客体験(CX)を測定するためのmct流アプローチ

CXを測定するためのmct流アプローチ-1

ここ1年ほどの肌感覚として、「自社の顧客がどのような顧客体験を経験しているのかを知りたい」、いわゆる自社CXの現状評価を行いたいという問い合わせが増えてきています。

例えば、消費者が自社製品を通してどんな経験しているのか(BtoC)、クライアント企業担当者が自社サービスによりどのような体験をしているのか(BtoB)、患者がどのような感情の変遷をたどっているのか(製薬メーカー)、など。それらの情報を活用して、製品・サービスの魅力向上を図ったり、新しいサービスの切り口を見つけようとされたりしています。

顧客体験はもちろん、カスタマージャーニーの時系列に沿って進むことになります。ですので、CXの現状評価はジャーニーのどこに問題や機会があるのかを探ることが基本型となります。本記事は、弊社の「CX現状診断アンケート」の内容に沿いながら、CXを測定するための一つの考え方についてご紹介できればと思います。

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ただ、まずはCXの現状評価を行う手段を幅広く見渡すところからスタートしたいと思います。CXの最も深い理解を可能にする手段は、もちろん定性調査となります。深いインタビューを通して精緻なカスタマージャーニーを描いていくその行為自体がCXの現状評価となります。しかしそれでは手軽ではない、という場合に、顧客接点のある営業社員にワークショップに参加いただき、そこでカスタマージャーニーを描くという進め方もあります。少し企業視点の情報になってしまう傾向はありますが、クイックにジャーニーを描く手段としては有益です。

CX測定プラットフォームサービスも多くの会社から提供されています。NPSの指標で企業の総合評価を描きながら、NPSに影響を与える要因(改善点)を探っていくアンケートサービス。VOC(顧客の声)を集めてテキストマイニングの技術を用いながら顧客の考えを分析統合するサービス。入会率など、その他の測定指標と組み合わせて分析することも想定されています。

そのような中で、弊社のCX現状診断アンケートの特徴をご説明します。ひとつは、上述の通り「カスタマージャーニーに沿った顧客体験の理解」を意識して設計されている点。もうひとつは、特に「顧客の感情」の抽出にフォーカスしている点。弊社は20年以上に渡り定性調査を通したカスタマージャーニーの描写をサービスとして提供し続けていますが、そういったリサーチの思想をアンケートにデフォルメしたものが同サービスであるとご理解いただければと思います。

少し泥臭いアンケート内容となっていますが、各社のCX測定プラットフォームでは描ききれない細かな感情評価に踏み込んだ内容となっています。定性調査の細かいインサイト抽出とは比べられませんが、幅広い人数の対象者に調査が出来て、また、経年変化の分析にも強いことがアンケートでCX理解を行うメリットと言えそうです。

 

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CX現状診断アンケートは大きく分けて、二部の構成となっています。アンケートの前半で「価値ミックス」を質問し、後半で「ジャーニーに沿ったCXの変遷」を質問する流れ。以下、それぞれのパートについて解説します。


◆ジャーニーに沿ったCX変遷

まず、後半の「ジャーニーに沿ったCX変遷」について。

ジャーニーの各ポイントごとに「なりたい感情」と「実際に感じた感情」を質問します。そうすることで、ジャーニーに沿った感情の起伏や、理想と現実のギャップが見えてくる訳です。そこでは、弊社が独自で開発した感情の一覧を用いて質問を行います。また、回答者にはそれぞれの感情にまつわる具体的なエピソードを自由回答で記入いただきます。

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例えば、弊社が自社顧客に実施したCX現状診断アンケートでは、プロジェクトの提案時に「顧客の期待通りのワクワクを提供できている」「しかし、提案時の熱量は、顧客が感じたいレベルに届いていなかった」という結果が出て、弊社の提案のスタイルを考え直すヒントとなりました。同リサーチからは、その他にも複数の重要なインサイトを得ています。

我々は自分が提供しているモノ・コトは理解していますが、それを顧客がどのように受け止めているのか(感情)までは分からないことが多い。だから、このように感情を指標としたジャーニー理解を行うことで、自分達では気づけない顧客体験・顧客インサイトが見えてくるという訳です。

分析を通して、ジャーニー全体を振り返り、期待に添えていない箇所(ギャップ)やネガティブな感情が発生している箇所を見つけ、各ポイントごとに課題をリストアップしていきます。


◆価値ミックス

顧客はジャーニー全体を通して、何らかの価値をその企業から感じ取ります。お金の面で助かったなぁ(経済的価値)、したいことがちゃんとできた(機能的価値)、嬉しかった・感動した(体験的価値)、自分の人生に意味のある時間を過ごせた(意味的価値)。

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それらの価値は、顧客の本質的な欲求やモチベーションと連動しているものです。ペルソナでよく用いる、顧客のゴールの視点でそれらを語れば、エンドゴール、エモーショナルゴール、ライフゴールがそれに該当します。顧客が自社に求めるそれら4つの価値のバランスと、実際に提供できている価値のバランスが一致している状態が望ましい状態と考えます。

例えば、クライアント企業が自社に「一緒にプロジェクトを進めてくれる熱い仲間(体験的価値)」を求めているのに、自社が「出来るだけ安く製品を提供すること(経済的価値)」だけしか意識できていなかったら、そこにギャップがあることは明白です。

一般的に、「良い製品を安く提供する」ことが大事であるような社会通念があるため、経済的価値と機能的価値が注目されがちですが、顧客は体験的価値や意味的価値を求めていることも多々あります。特にBtoB企業の場合、顧客企業は「もっと一緒に盛り上がりたい」「一緒に仕事をすることで若手に刺激を与えたい」といった望みがあるのに、自社は「もっと質の良い製品を提供せねば」と、見ている方向が違うケースにも多く遭遇しました。

そのギャップを理解した上で、自社はどのようなバランスで価値ミックスを提供していくべきか、競合他社とどう差別化を図っていくかを、この価値ミックスのパートでは明らかにします。

 

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ご提出するレポートの構成は以下のようになります。

「価値ミックスの結果」
「ジャーニーに沿ったCX変遷の結果」
「それを踏まえた弊社からのご提言」


cx_genjou_3
レポート構成のイメージ(弊社自主企画のアンケート調査結果レポート)


CXマネジメントを担当されている方、CX測定に興味のある方は、よろしければ直接、ご説明~ディスカッションさせていただきますので、どうぞお気軽にお申しつけくださいませ。




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Takeshi Sato株式会社mct ストラテジスト

【タグ】 CX・顧客経験,

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