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2023.07.25

Futures Signal Hub ~未来探索のためのシグナルコレクション~

Future Signal Hub@2x

こんにちは。mctのヴィクターです。

mctでは複数の時間軸、業界、地域から”未来を探る”ことで、お客様がより長期的な視野で物事を考えられるよう支援しています。そのためには、確立されたトレンドだけでなく、潜在的な価値観の転換や変化の兆し(=シグナル)も捉えていかなければなりません。

技術の発達や多様化が進む不確実性の時代において、シグナルに目を光らせれば光らせるほど、シグナルに対する感覚が鋭くなり、それが未来にどのような影響を与えるかをより深く推察できると私たちは考えています。

mctでは、世界中に点在しているシグナルを集め、中でも非常に興味深い注目すべきシグナルをみなさんとシェアできればと思い、『Futures Signal Hub』という定期マガジンを始めました。

我々の集めたシグナルが皆様の未来探索のきっかけになればと思います!
是非、我々の『Futures Signal Hub』をお楽しみください。


 

The growing concerns about AI / 拡大するAIの懸念

🤖 ChatGPTStable Diffusionを代表とする生成AIの勢いはますます加速しています。生成AIがクリエイティブ産業に与える影響は計り知れません。
Netflixのブラックミラー・シーズン6のエピソード「John is Awful」は、クリエイティブな権利、個人のプライバシー、雇用の安全といったトピックを取り上げて、ストーリーを展開しています。このエピソードの公開に合わせ、Netflixはファンの自撮り写真を番組内と同じように、ブラックミラーのポスターに変える「You Are Awful」ツールを立ち上げました。

🍿マーベルは、「本物」のアーティストではなく、AIが作成したオープニング・クレジットを使用したことについて、SNSユーザーから反感を買っています。苦情に対し、担当ディレクターはツールの仕様については知らないと主張し、AIが創り出す不気味な雰囲気は、番組のトーンに理想的だったと述べています。

©️インターネット上の自然言語を収集し、文法などの構造情報を整理したデータベースcorpusは、適切な対価なしにクリエイターの作品を生成AIモデルの学習に使用しており、著作権法の問題となっています。米国のコメディアン、サラ・シルバーマンは、これに対して法的措置を求めています。

🎵一方、ポール・マッカートニーは、ジョン・レノンの声が入ったオリジナルのデモにAIを適用することで可能になった、ビートルズの「最後の曲」のリリースを予告しています。 

🎶音楽業界の別の分野では、Rage Against the Machineというバンドが、他の100以上のアーティストや会場と協力して、ライブ・イベントでの顔認識技術の使用をボイコットしました。

 


 

AI as a creative partner/クリエイティブ・パートナーとしてのAI

🛋️多くの人が生成AIのリスクを懸念する一方で、理想的な共創パートナーとしてAIに期待している人もいます。IKEA(イケア)のリサーチ&デザインラボSpace10は、『Couch in an Envelope(封筒に入ったソファ)』を開発し、ソファが意味するものを予想外の方向へと導きました。

🍽️ また、Space10では、AIもより良い素材を選択するための想像力と探求をサポートするために使われています。例えば、彼らの『Products of Place(場所の製品)』というプロジェクトでは、様々なローカル素材で作られたユニークなお皿のコンセプトが視覚化されており、AIによるローカライズを実現しています。

✏️ AIの賛否について、Dezeenは読者とのよりオープンな議論を目指し、AITopiaというメディアを立ち上げAIがデザイン・建築・人類に与える影響を探っています。

🍜 The SpoonFood AI Summitを発表し、食品業界におけるAIの役割を探っています。複雑化する課題によってストレス下にあるシステムの変革をどのようにサポートできるか、今後の動向が気になります。


 

Tech tweaks for better food experiences/ より良い飲食体験を実現する技術進歩

🍬日本には至る所に自動販売機が設置されており、それにはさまざまな種類があります。兵庫県赤穂市では、自然災害の避難場所に自動販売機を設置し、地震が起きると自動的に無料の食べ物を提供するように設定されています。

🥕一方、Daily Blendsは自動販売機に独自の工夫を凝らしており、24時間365日新鮮で健康的な食品を提供するAI搭載の自動販売機を開発しています。彼らはこれを「業界の未来」と呼んでいますが、果たしてどうなのでしょうか?

🍓ヘルシーな料理を自分で創りたい」と思ったことはありませんかニューヨーク・タイムズ・クッキングは、それを可能にしてくれます。果物や野菜の絵文字を361-COOK-NYTに送ると、その食材を活用するためのレシピが無料で送られ、ユーザーは楽しくそして簡単に調理することができます。


 

New meanings for auto industry / 自動車産業における新しい意味
ここからは人工知能ではないAI(Auto Industry=自動車産業)に目を向けてみましょう。

🛻数カ月前、こんな記事を見つけました。アメリカの農村部では、日本の小型トラックの輸入が盛んになっているという内容です。その理由は単に価格が安いからだけではなく、荷台に荷物を積んだり、狭い場所を走ったりできるサイズや機能が小規模農場に最適で、しかも高速道路でも合法だからだそう。

🚘数週間後、同じようなニーズを持つ電気ミニトラックTeloの存在を知りました。小型化によるコスト効率と市街地走行のしやすさなど、実用車へのニーズをミックスしたこの製品は、新たなソリューションになり得るかもしれません。

🚙ミラノや他のヨーロッパの主要都市を歩くと、街中を簡単に移動したり、ちょっとしたお出かけに最適な非常に小さい自動車をよく見かけます。FIATはこのコンセプトを極限まで高めた新型車トポリーノを発表しました。

🚿この車には変わった機能が搭載されています。日差しの強いビーチで午後のひとときを過ごした後、砂まみれになった足を素早く洗い流すためのシャワーが付いているのです。これは未来のクルマのあり方に何を示唆しているのでしょうか?

🚛このようにトラックや小型車の意味や方向性は変わりつつあります。最近のインタビューで、フォードのCEOはテスラ・サイバートラックを、実際に行動する人々のためではなく、ホテルの前に停めておくものだと主張しました。

🇮🇹FIATのもうひとつの動きとして、FIATを象徴する最も人気なグレー&シルバーの車の生産終了を発表しました。これは、活発で楽しいイタリア文化を反映させるためだという。しかし、なぜ今なのでしょう?そして、このような動きはイタリアの他の業界でも見られるのでしょうか?

いずれにせよ、このような動きに対する反応が興味深いです。

いかがでしたでしょうか?
mctではこのように、まだ「トレンド」として成立していない微弱な「シグナル」を収集し、不確実性の未来を探索しています。

次回もお楽しみに!

 

 

記事原文: ヴィクター・コーラル    日本語編集:箕輪慶介

 

 

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