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2023.09.07

mctのグローバルデザイン×フューチャーデザイン ストリート・エスノグラフィ

グローバルとフューチャーストリート・エスノグラフィ・ストリート・エスノグラフィとは

 

みなさんは、プロジェクトのスタート地点に立った時に「手がかりが全くない」と困られることがありますか?

そういった時、人類学者が採用する戦略のひとつにストリート・エスノグラフィがあります。ストリート・エスノグラフィは、人類学や社会学などの分野で、公共空間、特に都市環境における日常生活の社会的ダイナミクスや文化を研究し理解するために用いられる研究方法論です。特定のコミュニティや場所に身を置き、その環境にいる人々や活動を観察し、参加し、交流します。ストリート・エスノグラフィは、特定の都市環境における個人やコミュニティの生活体験を深く理解するために特に有用であるといわれています。社会的アイデンティティ、都市化、移住、コミュニティ開発などに関する問題に光を当てることで、都市のサブカルチャー、近隣のダイナミクス、公共政策が地域コミュニティに与える影響などのトピックを探ることができます。

 

・ロンドンとミラノでの実施で得られたインサイト

 

数年前、ロンドンとミラノで男性に向けたグルーミングのプロジェクトを実施した際、クライアントから「都市特有のグルーミングトレンドを理解し、インサイトを得たい」というオーダーを受けました。

海外におけるインサイト獲得の難しさを感じていた我々は、慎重にインタビュー対象者のリクルーティングを進めることにしました。手がかりがない、適切なインタビュー対象者にたどり着くことができないという悩みを抱えた我々が辿り着いたのが、ストリート・エスノグラフィです。

この手法は、現地のパートナーであるリサーチャーやフォトグラファーが、人通りの多い通りや人気のショッピングエリアなどの公共の場に出かけ、通りすがりの人々とリサーチトピックに関する簡単な会話をすることから始め、相手の許可を得て写真を撮影します。

グローバルリサーチで最も難しいことの一つに、人々の考えや行動の前提となる背景の理解があります。そこを検討せずには、良いインタビュー対象者に出会うことができません。そこで我々は現地パートナーに依頼して、街に立って人々の観察から始めることにしました。

観察の結果から、髭のトレンド、インフルエンサーとなり得る人たちの活動を把握し、現地のリサーチャーとフォトグラファーにお願いして各都市20名へのインタビューを実施。結果の写真とインタビュー内容を分析し、特に興味深かった対象者にはホーム・ビジット・インタビューを行いました。

結果は、通常通りにインターネットパネルを利用したエスノグラフィに比べ、非常に内容の濃いインサイトを得ることができました。

写真撮影を伴う街頭インタビューは、人々の視点を理解するための強力なツールであり、異なる国や地域における文化の違い、社会規範、特定の製品、サービス、スタイルやファッションに対する考え方などを理解するのに役立ちます。

 

mctでは、特にデザインやファッション業界関連のプロジェクトにおいて、このストリート・エスノグラフィという手法を利用しています。

良いインサイトを得て、現地パートナーと共に分析をすることで、インサイトは磨かれ、プロジェクトを素晴らしい製品・サービスの開発に導くことができます。

 

今回が、mctのグローバルデザイン×フューチャーデザインブログの最終回になります。フューチャーデザインや観察の手法であるClue Scan, Poemsなどについてお話しさせていただきました。ご興味を持たれた方、海外でmctと一緒に「手がかり」を見つけてみませんか。ぜひ一度、ご相談ください。

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