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2024.06.04

Blog|リアルvsオンライン 知的生産性が高いのはどっち?

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「リアルの働き方とオンラインの働き方、知的生産性が高いのはどちらか?」
と聞かれたらあなたはどう答えますか?これは昨今のさまざまなビジネスのシーンにおいてしばしば話題に上がる定番の問いと言えるかもしれません。今回はこの問いへの理解を深めるために興味深い二つの事例をご紹介します。

Case#01: オンラインでの高度なコラボレーション


一つ目の事例は、NEC社がNHK「魔改造の夜」のプロジェクトに挑戦したときの事例です。

「魔改造の夜」は有名企業の一流の技術者同士が難易度の高いプロジェクトに挑戦して勝敗を競い合うドキュメント番組です。番組をご覧になったことがある方なら分かると思いますが、どのプロジェクトも通常の仕事とは全く異なり、非常に複雑で難易度が高く、高度なコラボレーションが要求されるものばかりです。

NEC社の取り組みが興味深いのは、これほど複雑なプロジェクトにリモートチームで挑んだという点です。日本各地の拠点にいる技術者たちがMiroというオンラインツールを使いながら非同期で共創活動を行い、わずか6週間という短い活動期間の中で高いパフォーマンスを発揮しました。あえてリモートチームで挑んだことで多様な人材をプロジェクトチームに参画させることができたとも言えるかもしれません。

この事例から学ぶことができる重要な示唆は、リアルでは不可能でオンラインだからこそできる創造的なコラボレーションがあるということです。裏を返すと「創造的な活動は対面でしかできない」は思い込みに過ぎないと言い換えることもできます。(2023年M-1チャンピオンの令和ロマンは、新しいネタづくりをzoomで行うそうです。お笑いのネタのようなクリエイティブな作品すらオンラインでできちゃうのです…!!)

多くの人たちが「オンラインではクリエイティブな共創活動はできない」と考えてしまうのは、リアルの共創活動の体験をそのままオンラインで再現しようとしてしまうことに原因があります。しかし実はオンラインにはオンラインの作法や流儀があり、それらを知ればリアル以上に創造的で複雑なコラボレーションが可能なのです。

オンラインでの新しい共創活動のあり方を示した例として、NEC社の「魔改造の夜」プロジェクトはとても良いケーススタディです。

Case#02: リアルならではの知の共有


もう一つの事例は少し古い記事になりますが、ビジネスではなくゲームに関する事例です。

世界的に有名なオンライン格闘ゲームのある大会での出来事でした。その大会で突如現れた無名のパキスタンのプレイヤーが有名選手たちを次々と破り、圧倒的な強さで優勝したそうです。さらに騒然とさせたのは彼が優勝後に放った一言。「パキスタンには強い選手がまだまだいる」ー。

実はその衝撃的な優勝を果たしたプレイヤーを含め、パキスタンの優秀なプレイヤーたちはみんな同じ街の同じゲームセンターに集まって格闘ゲームを楽しんでいたそうです。パキスタンでは当時まだ家庭用インターネットが十分に普及していなかったり、貧困でパソコンが買えなかったりといった理由で、ゲーム好きの若者たちがゲームを楽しむためにはゲームセンターに行くしかありませんでした。そして偶然同じゲームセンターに集まった者たちの間で世界トップクラスの技術が磨かれ、共有されていったのです。(Web記事内の写真もぜひ見ていただきたいのですが、雑然としたゲームセンターにハングリーな若者たちが集う様子はまさに「虎の穴」のようです…!!)

オンラインゲームのプレイヤーたちの技術が、オンライン上ではなく物理的な場所で育まれていったというのは非常に興味深いところです。リアルだからこそ暗黙的なノウハウが効果的に共有されたのかもしれません。

この事例からの重要な学びは「知の共有」においてはface-to-faceが有効かもしれないということです。先述のNEC社の記事の通り、どんなに創造的なプロジェクトでもオンラインワークで実行可能です。しかし「知の共有」、特に暗黙的な知を偶発的に共有することにおいてはリアルでの人の交流が効果的である可能性があるのです。そう考えると物理的なオフィスは「知の共有」や「組織としての学習」を目的とした場と捉えてもいいのかもしれません。



いかがでしたでしょうか?
この二つの事例は、リアルで働くこと・オンラインで働くことへの深い示唆を与えてくれます。「オフィスか、リモートか、ハイブリッドか」といった議論も実はとても奥が深いことが分かります。

コロナ禍をきっかけにオンラインでのワークスタイルが広がりましたが、まだまだリアルの代替としての見方が強く、人々の多くはオンラインワークが持つ本来のポテンシャルにまだ気づいていません。オンラインワークはこれからますます新たなスタイルが生み出されて進化していくでしょう。そしてまたその一方でリアルのワークスタイルも、リモートワークという新たな働き方が発明されたことによってその意味やあり方が問われています。企業のオフィスも“リアルならでは”の体験を提供する場として再構築することが求められているのです。

このブログがみなさんの働き方を再考するきっかけになれば幸いです。

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