2025.08.01
Series|合成ユーザーを使ってビジネスの種を見つける5日間―DAY1: AIに質問してみたら、予想以上にリアルな回答が返ってきた

新連載「合成ユーザーを使って、ビジネスの種を見つける5日間」1日目
家電メーカーで働く山田さんは、ある朝突然、上司から「海外市場でのビジネスチャンスを探してほしい」と指示を受けます。
調査の時間も予算もないーそんな中で試してみたのが、AIによって生成された生活者ペルソナとの対話でした。
突然降ってきたミッション
月曜の朝9時、コーヒーを飲みながらメールをチェックしていた山田さんに、上司から突然メッセージが届いた。
「来週の企画会議で、アジア市場における働き盛り世代の朝食ビジネス機会について議論したい。まずは筋の良い仮説をこの1週間で作ってもらえますか?本格的な市場調査は予算が通ってから別途実施する予定だから、今回は方向性を見極めるための仮説構築をお願いします」
1週間で?山田さんは内心驚いた。本格的な調査ではなく企画の方向性を決めるための仮説作りなら何とかできるかもしれない。とはいえ、具体的にどうやって進めたものか…?そんな時、同僚から教えてもらったのが「AI合成ユーザー」にリサーチするという方法だった。これならリクルーティングも不要でいきなりインタビューから始めることができる。
半信半疑での第一歩
「AI合成ユーザーから、本当に有益な洞察が得られるのだろうか?」
山田さんは半信半疑ながらもAIツールを試してみることにした。ただ闇雲にAIに質問を投げかける前に、まずは自分が本当に知りたいことを可視化してみよう。まず対象市場を絞り込む必要があった。アジア全体では範囲が広すぎるため、経済発展段階や食文化の違いを考慮して、日本(成熟市場)、中国(急成長市場)、ベトナム(新興市場)の3カ国に焦点を当てることにした。
山田さんは半信半疑ながらもAIツールを試してみることにした。ただ闇雲にAIに質問を投げかける前に、まずは自分が本当に知りたいことを可視化してみよう。まず対象市場を絞り込む必要があった。アジア全体では範囲が広すぎるため、経済発展段階や食文化の違いを考慮して、日本(成熟市場)、中国(急成長市場)、ベトナム(新興市場)の3カ国に焦点を当てることにした。
リサーチの目的: 「アジア市場(Where)における働き盛り世代(Who)の朝食習慣・ニーズ(What)を知ることで、ビジネス機会を見つけたい(Why)」
キークエスチョン:
- 各国の朝食文化の違いと共通点は何か?
働き盛り世代が朝食に求める価値は何か?
時間・コスト・栄養のバランスをどう取っているか?
調査対象者: 上記に基づき、日本・中国・ベトナムの3カ国で30代前後の働き盛り世代のペルソナを設定。年齢、職業、居住地域などの基本情報とともに「朝食へのこだわりがあるビジネスパーソン」という条件も入力していく。
最初の質問で見えた可能性
準備が整ったところで、山田さんは最初の質問をAIに投げかけてみることにした。
「普段の朝食について教えてください」
シンプルな質問を投げかけると、予想以上にリアルな回答が返ってきた。
「普段の朝食について教えてください」
シンプルな質問を投げかけると、予想以上にリアルな回答が返ってきた。
●日本の合成ユーザー:「朝食は1日の基盤作りですから、きちんと準備したいんです。ただ、最近は忙しくて...」
●中国の合成ユーザー:「時間をかけている余裕はありません。でも栄養は気になるので、効率的に摂取したくて...」
●ベトナムの合成ユーザー:「家族と一緒に温かいフォーを食べる時間を大切にしたいのですが、最近は仕事が忙しくて...」
予想以上に具体的で自然な回答に、山田さんは驚いた。
●中国の合成ユーザー:「時間をかけている余裕はありません。でも栄養は気になるので、効率的に摂取したくて...」
●ベトナムの合成ユーザー:「家族と一緒に温かいフォーを食べる時間を大切にしたいのですが、最近は仕事が忙しくて...」
予想以上に具体的で自然な回答に、山田さんは驚いた。

明日への気づき
しかし山田さんは重要なことに気づいた。表面的な質問では、まだ表面的な答えしか引き出せていない。もっと深い洞察を得るには、質問の仕方を工夫する必要がありそうだ。
「明日は相手の回答を受けて、さらに深掘りしてみよう」
山田さんは翌日の質問設計を考えながら、AIツールの可能性を少しずつ実感し始めていた。
「明日は相手の回答を受けて、さらに深掘りしてみよう」
山田さんは翌日の質問設計を考えながら、AIツールの可能性を少しずつ実感し始めていた。
TIPS - AIから出された情報に溺れないためのプロジェクトデザイン
AIは、膨大な情報を瞬時に引き出せる強力なツールです。しかし、目的や問いが曖昧なまま使うと、かえって情報に振り回されてしまうこともあります。だからこそ、AIを活用するうえで重要なのは、「何を明らかにしたいのか」というプロジェクトのゴールを明確にし、それに向かってどんな問いを立てるべきかを丁寧に設計することです。
リサーチにおいてAIができるのは、情報の探索や整理、仮説の広げ方を手伝うこと。一方で、リサーチ全体の目的を定めたり、問いの優先順位を決めたりするのは、あくまで人間の役割です。この「設計」の部分が曖昧だと、AIのアウトプットはただの情報の羅列になってしまいます。
つまり、リサーチの本質は「問いを立てる力」にあります。問いが良ければ、AIの答えも深まり、インサイトの発見につながります。AIを使いこなすには、まず人が筋道を描くことが欠かせません。
DL資料では、リサーチ設計の基本をご自身で体験できるようなシートを用意しております。ぜひお試しください。
【連載】 Series|合成ユーザーを使ってビジネスの種を見つける5日間
―DAY 1: AIに質問してみたら、予想以上にリアルな回答が返ってきた
―DAY 2:
―DAY 3:
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―DAY 5:
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Yohei Ushijima
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