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4 21, 2023 04:29 Blog|チーム合宿のデザイン -vol.4 あなたが無意識に使っている「学習スタイル」は?

ラーニングスタイル

こんにちは、組織デザインチームの池田です。
(mctの組織デザインサービスについての資料はこちらよりダウンロードできます) 

チーム合宿のデザインというテーマで連載しているブログの第4弾です。今回は、チーム合宿の3日目に実施したラーニングスタイル ワークショップについてご紹介します。

<これまでの連載記事>
チーム合宿のデザイン vol.1 パワフルなコンセプトを設定する
チーム合宿のデザイン vol.2「身体性」の効果
チーム合宿のデザイン vol.3 感じた上で考えるフィールドワーク体験

9つの学習スタイルについて知る

今回ご紹介する「ラーニングスタイル(学習スタイル)」とは、アメリカの教育理論家であるデイヴィッド・コルブと、経験学習の専門家であるケイ・ピーターソンの共著『最強の経験学習』で紹介されている理論・概念です。

この本では、9つの学びのスタイル(経験する、想像する、検討する、分析する、思考する、決定する、行動する、開始する、バランスをとる)について紹介されており、著者はそのスタイルを意識的に使ったり身に付けていったりすることで、仕事や、人生そのものに変化をもたらすことができる、と主張しています。



出典:デイヴィッド・コルブ, ケイ・ピーターソン(2020)『最強の経験学習』辰巳出版

この本からは、大きく3つのポイントがあると感じました。



1. まずは自分の得意な学習スタイル、苦手な学習スタイルを自己認識する

2. 自分をさらに成長させるために、得意なスタイル以外に身につけるべきスタイルを意識的に取り入れる
3. 他者の得意・苦手なスタイルを知り、相互理解を深めることでチームとして発揮できる力を最大化する


こうしたポイントをもとに、合宿では簡単なワークショップを企画して実施しました。

 

自分の得意・苦手な学習スタイルについて自己認識する

合宿前に、メンバーにはこの9つの学習スタイルの章について各自で本を読み、理解しておいてもらいました。そして当日、miroに下記のフレームを置き、自分が得意だと思う(よく使用している)スタイルについて、自己評価してもらいました。

自分が得意なものに高い点数、苦手だと思うものに低い点数をつけてみた
 
 
 

9つの学習スタイル」それぞれの簡単な解説。書籍にはもっと詳しく掲載されています。

その時、どちらかというと控えめだと思っていたメンバーが「開始」のスタイルをよく用いるという話を聞いて内心驚いたり、普段から抽象化が上手なメンバーが「思考」スタイルが好きという話を聞いて、うんうんそうだよねと納得したり、とても発見が多く、お互いの理解を深める良い機会になりました。


自分以外のメンバーが得意な学習スタイルについて、考えてみる

その時、その場には8名のメンバーが参加していたので、自分以外のメンバーに対して、「この人はこの学習スタイルが得意なのでは?」という印象をお互いに伝え合いました。

自分の認識と、他のメンバーから見た時の自分像に少なからずギャップがあり、それぞれそれも新鮮だったようですし、自分が気づいていない自分の強みを気づかせてもらえるという利点もありました。

自分以外のメンバーの得意なスタイルを判別してみた

同じチーム内でもよく使うスタイルには違いがあり、またどのメンバーがどのスタイルが得意かが可視化されることで、今後のプロジェクトチームの組み方も工夫ができそうです。例えばメンバー同士の強みが違っていればお互いに弱点を補完し合うチームになりますし、強みが似ていれば、共感を元にしたより深い議論が期待できるかと思います。


経験学習のサイクルを回しながら学びのスタイルを拡張し、成長する

書籍にも書かれてありますが、この学習スタイルは、“絶対に変わらない特徴” ではありません。むしろ、“安定した性質” と言えるものです。この学習スタイルを認識することで、生まれつきの能力判定や性格診断をしたいわけではないことに注意しましょう。

また、自分がこれまで避けてきた苦手な学習スタイルが分かったとして、それを強化する際、その学習スタイルを部分的に鍛えるというよりは、大きな経験学習のサイクルを回していく中で、苦手なパートも意識的に取り入れる、というやり方の方が身に付きやすいそうです。具体的な経験をする→それについて内省して検討→抽象的に思考してさらに理解→具体的に次の行動に移す)

 
出典:デイヴィッド・コルブ, ケイ・ピーターソン(2020)『最強の経験学習』辰巳出版
学習サイクルを回す中で、苦手なスタイルも取り込む。デザイン思考のプロセスにもそっくりですね。

 

書籍によると、この学習サイクルは「学習者自身は学んでいるとは気づかないほど自然なプロセス」とのことですが、それは脳の構造、脳が活性化されるプロセスと矛盾なく合致しているからといった科学的な背景も関係しているようです。

大切なことは、この学習サイクルは「学びの過程、新たな経験につながる進行中のスパイラルである」ということです。学習者が受身で情報を受け取るだけのような学習モデルとは大きく異なり、学習者は経験を通して情報を受け取り、考え、関連のある情報と結びつけ、それに基づいて行動を起こすことで、また新しい経験を得て成長していくことができます。

私自身、この考え方を知った後、その時自分が抱えていた問題について、これまでの経験をもとに感覚的に解決するという道をとらず、意識的に「検討」「分析」「思考」できたことで、自分にとってより納得できる「行動」につなげることができました。


時には得意なスタイルをアンラーニングし、新しい扉を開けてみる

この経験学習については、新社会人の方にはもちろん、社会人経験を長く積んだ方にもお勧めしたい考え方です。これまであまり使ったことがないスタイルを用いる時には、これまで培ってきた自分の得手を封じる、またアンラーニングすることにもなるので少し勇気も必要ですが、この学習サイクルやスタイルを知ることは、今後意味のある意思決定や行動を起こす後押しになると思います。

そして合宿に(やや無理やり)話を戻すと、一人でやるよりも、チームメンバーと一緒にお互いの学習スタイルについて考える方が圧倒的に面白いですし、自分が何となく目を背けてきた真実にも少なからず気づくことができます(笑)。

新チームの自己紹介ミーティングで、またいつものチームの相互理解のリフレッシュに、このようなワークを取り入れてみてはいかがでしょうか。

番外編的に、こちらの9つの学習スタイルのフレームワークを用いてアイデア出しをしてみたという話もあるのですが、こちらについてはまたの機会にご紹介できればと思います。


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Eiko Ikeda株式会社mct エクスペリエンスデザイナー

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