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2024.10.01

ホワイトスペースの見つけ方(3)顧客からホワイトスペースを考える 

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「顧客ニーズとソリューションのギャップによってもたらされるビジネスの空白」のことを我々はホワイトスペースと呼んでいます。そして、そのホワイトスペースを見つけるための3つの要素として「顧客」「ビジネスモデル」「トレンド」があります。今回はこのホワイトスペースの見つけ方について「顧客」という視点から考えてみます。

現行のユーザーを見て、それをセグメンテーション・フォーカシングしていくということは、成長市場ではよく取られる戦略だと思います。ただ、「今持っている知見」でセグメントを分けると、枠を狭めてしまうことになります。結果、ニッチなニーズにフォーカスしたり、枠の外にある大きな機会を見逃すことになります。

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2008年7月24日 日本経済新聞「3ヶ月以内に携帯電話の購入計画のある消費者309人を対象」

よく持ち出す例としては2008年の携帯電話の調査結果。今後のガラケーの形状・操作性について既存ユーザーを細分化している間に、アップルはiPhoneによってまったく新しい世界を切り開きました。

顧客の切り口からホワイトスペースを見つけるには、従来の枠の中で細分化して顧客を定義するのではなく、企業が考える枠の外の切り口で顧客を捉えなおすことで、もともと考えていなかったユーザー・ニーズを目をつけることが必要です。顧客をリフレームする方法としては「顧客理解のフォーカスとスコープを変えること」です。

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NIKE+は「靴を買う人」から「ジョギングをする人」に顧客理解のフォーカスを広げ、靴だけでは解決できなかった未充足ニーズを捉えました。一方、QBハウスは「理髪店・美容室に行く」という1つの行動を細分化して「髪を切る」ポイントだけにフォーカスを狭めて成功しています。

顧客ライフサイクル全体を捉える視点も重要です。商品を購入するところに目がいきがちですが、その前後には様々なフェーズがあります。メルカリはそのライフサイクルを捉えたUXを提供しています。

今回、ホワイトスペースの見つけ方として3つの切り口から紹介しましたが、いずれも重要なことは従来の考え方とは視点をずらす「リフレーミング」を行うことです。自分の中、業界の中で暗黙の前提になっている支配的な現実の見方、ルール、規範を意図的に超えることで、これまで検討してこなかった次元の解決策を導き出すことができます。

自分が属している業界の視点と、その業界を俯瞰的にみる視点の両方をうまく使い分けながらホワイトスペースを探してみてください。

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