2024.10.01
2017年度のDMNワークショップが始まります!
こんにちは、白根です。いよいよ2017年度のDMNワークショップが始まります。第1回は5月22日、23日、世界の最先端で活躍するビジネスデザイナー濱口秀司氏のイノベーション塾「SHIFT」です。
http://mctinc.hs-sites.com/dmn/dmn_workshop/
mctでは、昨年からDMN(ダイヤモンドデザインマネジメントネットワーク機構)の企画・運営を担当しています。そこで、あらためてダイヤモンド社の歴史を調べていたところ、『季刊グラフィックデザイン』という伝説的な雑誌の話が出てきたので、思わずネットで一冊購入しました。届けられた1962年8号をめくってみると、編集長は、後に東京オリンピックのデザイン専門委員長を務める勝見勝。表紙デザインは大橋正がこの号のために制作した版画作品。勝見勝自ら国内外3人の新人デザイナーを紹介し、本誌のアートエディターを務める原弘は、アメリカの雑誌『マッコールズ(McCall's)』を紹介しながら、エディトリアルデザインについて考察しています。「印刷実験室」というコーナーでは、特殊な紙やインキを使って自由なデザイン実験が行われています。ところどころ2ヶ国語になっていて、海外向けに$5.75という価格が設定されいます。奥付には企業広告ページの制作者のクレジットがしっかり2ヶ国語で表記され、誰が制作したのかわかるようになっています。創刊当初から海外の読者を想定し、日本から世界にデザインの考え方や実践を発信する勝見勝の編集方針は『季刊グラフィックデザイン』に参画するクリエイターたちを大いに鼓舞したであろうと想像します。
『季刊グラフィックデザイン』を購入したのは、ダイヤモンド社が『季刊グラフィックデザイン』を出版していたという事実を知ったからです。調べてみると、1961年の6号から1967年の29号までの7年間、ダイヤモンド社が『季刊グラフィックデザイン』を出版しています。ダイヤモンド社は創業者の石山賢吉が1913年に月刊『ダイヤモンド』を創刊したのが始まりですが、その40年後の1953年、彼は70歳を超える年齢でアメリカに渡り、会社や工場の視察で得た知見を日本の会社の「発奮を促すため」に『アメリカ印象記』という本にまとめます。「わたしはアメリカの外形よりも精神を学ぶことを心掛けた」と書かれています。ジャンルは違いますが『季刊グラフィックデザイン』同様、日本を世界レベルにしようという気概を感じさせます。石山賢吉のリーダーシップのもと、ビジネス書のトップブランドへと成長していくこの時期、ダイヤモンド社がどのような経緯で『季刊グラフィックデザイン』を出版することになったのか興味が尽きません。
1986年に100号をもって『季刊グラフィックデザイン』は休刊します。4年後の1990年、ダイヤモンド社のDMN(ダイヤモンドデザインマネジメントネットワーク機構)がスタートします。当初、DMNは企業のデザイン部門を対象に海外の最先端のデザイン動向をリサーチし、レポートするサービスを行っていましたが、1996年に深澤直人のディレクションによるWITHOUT THOUGHTの提供を開始するなど、やがて経営におけるデザインの役割、社会におけるデザインの役割を、デザインやイノベーションの最前線で活躍する人たちと共に考え、実践するネットワークへと成長していきます。目指す方向が『季刊グラフィックデザイン』や『アメリカ印象記』に近づいていっていることに驚きを感じます。そして2017年、今年度のDMNワークショップも、日本から世界最先端の考え方や手法を提供しようという考えをもとに企画されました。世界的な視野で経営とデザインを捉え、日本からイノベーションを生み出す最高の機会として、2017年度のDMNワークショップへのあなたの参加をお待ちしています。
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Hideaki Shirane
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