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2025.11.12

Series|【EX改善の裏側 #2】社内座談会、やってみてわかったこと



EX2
 

社内座談会を実施して見えてきたのは、
言わないだけで思うところがあるメンバーの本音と、複雑に絡み合う組織課題。
対面だからこそ話せたこと、リモートの限界、全員を巻き込む難しさ...。
正直な葛藤も含めて、EX改善に向けた試行錯誤の現場をお伝えします。
 
 

 
こんにちは!
顧客体験(CX)と従業員体験(EX)を統合的にデザインする、日本発の組織デザインファームmctです。
組織構造や制度にとどまらず、「組織文化」「コラボレーション」「チームビルディング」「リーダーシップ」「共創」「人材育成」「ワークスタイル」など、人と組織が創造的に進化する仕組みをデザインしています。
 
前回、​社内の​課題を​ヒアリングする​計画を​立てた​私たち。​いよいよ座談会を​実施してみました。​
正直、​やってみるまでは​「本当に​本音が​出てくるのか?」​「形だけの​場に​なってしまわないか?」と​不安も​ありました。​
でも、​やってみて​分かった​ことがたくさん​ありました。​
今回は、​座談会を​実施してみた​結果と、​正直な​反省点に​ついて​お話しします。
 
 

座談会で見えてきたこと

 
まず​率直に​感じたのは、​言わないだけで、​みんな​思う​ところが​あるんだなと​いう​ことでした。​
業務上の​議論や​雑談の​機会は​あっても、​組織文化や​ワークスタイルに​ついてじっくり話す​場面は、​リモートワーク下で​自然に​生まれる​ことは​ありません。​
でも、​意図的に​場を​設けると​「実は​こう​思っていた」と​いう​声が​たくさん​出てきました。​
特に​印象的だったのは、​自分が​まったく​課題だと​思っていなかった​部分を、課題だと​感じている​メンバーが​いると​いう​こと。​逆も​また​然りで、​自分が​気に​なっていた​ことが​他の​人に​とっては​全く​問題と​思っていなかったと​いう​こともありました。​
これに​気づけたのは、​座談会と​いう​場が​用意されたから​こそだと​思います。​

そんな​座談会を​経た​今、​組織全体の​意識の​段階が​少し​変わってきたように​感じます。​
これまで​「なんとかしなきゃね」と​ぼんやり​思っていた​ことが、​「これ、​なんとかしなきゃだめじゃん」と​いう​切迫感の​ある​認識に​変わってきたような​感じ。​
この​温度感が​リーダーにも​伝わる​きっかけに​なった​ことは、​大きな​成果だったと​思います。​
 
 

リモートワークの光と影

 
座談会を​進める​中で、​ある​意味リモートの​限界も​感じました。​
もし普段から​出社していたら、​社内の​ことや​組織の​雰囲気に​ついて、​もっと​日常的に​話せていたんじゃないか。​それが​全然​話せていない​ことが、​今回浮き彫りに​なりました。​興味深かったのは、​「わざわざ会うのは​億劫」と​いう​声が​ある​一方で、​「対面と​いう​機会だから​こそ​話しやすかった」と​いう​意見も​あった​こと。​
リモートワークの​便利さと、​対面でしか​生まれない​空気感の​両方が​あるんだと​改めて​感じました。​
 
 

課題が構造化されていく

座談会で​出てきたさまざまな​課題を​整理して、​リーダー層へ​共有しました。​
いろいろな​課題が​出てきて​最初は​混乱しましたが、​丁寧に​見ていくと、​実は​根っこで​つながっている​ものが​多いことに​気づきました。​
「情報共有が​うまく​いかない」​「チーム間の​連携が​取りづらい」​「新しい​提案が​しにくい」​...一見バラバラに​見える​これらの​課題も、​突き詰めていくと​「クローズドマインドセット」と​いう​共通の​問題に​行き着く​ことが​わかったり。​
組織が​抱えている​課題を​構造化できた​ことは、​次の​アクションを​考える​上で​大きな​前進でした。​
 
 

もっとこうすればよかったかも

 
振り返ってみて、​もっとこうすればより良い座談会にできたかも、と思う部分もあります。
 
例えば、今回は​課題中心に​話し合って​もらった​チームが​多かったのですが、それだけでなく​「理想的な​EX」に​ついても​話して​もらえば​よかったかもしれません。
大きな課題ばかりが並ぶとその解決への道のりの遠さに圧倒され、どうにかしなければという気持ちが起こりにくくなってしまう。
問題点だけでなく、​「こうなったら​いいよね」と​いう​未来の​話を​もっと​聞けていたら、​より​グロースマインドセットに近づけていたのかなと​思います。​
 
グロースマインドセット
それと​もう​一つ。​組織の​問題に​ついて​話していると、​どうしても​目線が​内向きに​なりがちでした。​「社内の​この​制度が」​「この​仕組みが」と​いう​話に​終始してしまう。​
でも​本来、​私たちが​日々​向き合っている​顧客の​ことや仕事​その​ものの​面白さも、​従業員体験を​豊かに​する​大切な​要素のはず。​顧客に​真摯に​向き合い、​好奇心を​持って仕事に​取り組める​環境が​あれば、​それ自体が​EXの​向上に​つながる。​
「組織づくり」と​「顧客や​仕事」を​切り離さずに​考える​ことも大事だったなと、​今は​思います。
 
 

正直、ぶつかった壁

 
ここからは、​運営側と​して​感じた​正直な​悩みです。​
 
多くの​意見を​集められたのは​良かったのですが、​蓋を​開けてみると​課題が​複雑に​絡み合っていた​ため、​運営チームだけでは​扱いきれない​状態に​なってしまいました。​
「あれも​これも​解決しなきゃ」と​いう​焦りと、​「でも​何から​手を​つければ・・?」と​いう​戸惑いが​同居していました。​
 
それに、​同じ​組織に​属しているとは​いっても、​メンバーそれぞれの​スタンスが​まったく​同じと​いうわけでは​ありません。​
その​ため、​同じ​問いを​投げかけてみても、​受け取り方は​メンバーに​よってさまざまでした。​
誤解を​生んでしまったり、​意図と​違う​解釈が​生まれてしまったり。​
みんなに​同じ​温度感で​受け取って​もらうだけでも、​こんなに​難しいんだと​実感しました。​
 
また、​中には​「この​結果が​どうなるの?」​「何の​ために​やるの?」と​いう​声も​ありました。​
組織の​課題に​ついて​能動的に​関わっていこうと​いう​人も​いれば、​どこか​受け身な​姿勢の​人も​いる。​
この​温度差は​正直、​想像していた以上でした。​
良い​組織は、​誰かが​作ってくれる​ものではなく、​みんなで​作っていく​もの。​
そう頭では​分かっていても、​EX施策を​推進する​人だけが​当事者で、​その​他の​メンバーは​"お客さん​"に​なってしまう。​自分たちの​ことと​言えど、​全員が​能動的に​なれるように​巻き込んでいく​ことは​一筋縄では​いかないですね。​
 
加えて、​長い​スパンを​かけて​座談会などを​実施していく​中で、​継続して​興味関心を​惹きつけるのも​課題でした。​座談会を​実施している​その​場では​注目して​もらえるのですが、​終われば​関心も​一緒に​薄れてしまう・・。​
組織づくりの​取り組みは、​短期の​プロジェクトではなく​持続的に​行う​もの。​
一瞬の​盛り​上がりではなく、​EX改善の​営みが​絶えず​続くような​仕組みを​どう​作るか。​
ここは​今後も​考え続けていかなければならない​ポイントだと​感じています。​
 
 

でも、これも学び

とは​いえ、​こうした​壁に​ぶつかった​こと​自体が、​大きな​学びだった​とも​思います。​
課題が​複雑なのは、​それだけ組織が​有機的で、​いろんな​要素が​関係し合っている​証拠。​
受け取り方が​さまざまなのは、​多様な​視点を​持つメンバーが​いると​いう​こと。​
温度差が​あるのも、​それぞれが​違う​立場や​経験を​持っているから​当然の​こと。​
こうした​「うまく​いかなさ」は、​組織の​現在地を​知る​ための​大切な​情報だったんだと、​今は​思えます。​
 
 

次のステップへ
座談会を​通じて、​たくさんの​気づきと、​たくさんの​悩みが​生まれました

でも、​何もしなければ​見えなかった​ものが​見えた​ことは、​確かな​一歩だったと​思います。​
では、​この​結果を​受けて、​私たちは​どんな​施策を​実践していったのか?
そして​今、​組織は​どう​変わってきているのか?
次回は、​その後の​取り組みに​ついて​お話しします!
 
 
 

【連載】 Series|EX改善の裏側
―#01 EX改善プロジェクトの始まり─本音を聞く場をつくるまで
―#02 社内座談会、やってみてわかったこと
―#03 座談会から生まれた施策、その後とこれから(11/18公開)

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