2025.11.14
【2025年最新】定性調査とは?基礎から重要性まで徹底解説

定性調査は、人が何をどう感じ、なぜその選択に至るのかをとらえる手法です。
数字では捉えにくい動機や価値観、非言語のサインまで扱えるため、
企画・開発・マーケティングの“打ち手の理由”が明確になります。
1.定性調査とは何か
定性調査は、人に直接話を聞く(インタビュー)/実際の使われ方を観察する(現場観察)といった方法で、数値としてデータ化できない気持ち・文脈・理由を明らかにする調査です。
目的は、意思決定に必要な「なぜ」を言葉として取り出すことにあります。
たとえば、
目的は、意思決定に必要な「なぜ」を言葉として取り出すことにあります。
たとえば、
・アプリのレビューは★4以上、満足度調査でも「使いやすい」といった回答が多いのに、実際には数週間で利用が止まる。
上記のような“数字では説明しにくい事象”が起こったとき、インタビューや観察で会話や行動の流れをたどると、
上記のような“数字では説明しにくい事象”が起こったとき、インタビューや観察で会話や行動の流れをたどると、
「最初の数回は楽しかったけれど、慣れると物足りなくなった」
「通知が多すぎてストレスになった」
「友人が使っていないので続ける理由がない」
「通知が多すぎてストレスになった」
「友人が使っていないので続ける理由がない」
といった、場の事情や感情をともなう表面的な理由が見えてきます。
こうした定性調査で得られた“ユーザーの声”“行動の背景”“感情の揺らぎ”を手がかりに、
背景にあるインサイトを創出し、次のアイデアや改善策へと発展させていくことができます。

2.定性調査と定量調査の違い
次に定性調査と定量調査の違いについて解説します。
定量調査は、広い母集団における傾向や差の有無を統計的に確かめるのに適しています。
一方で定性調査は、少数から数値化しにくい気持ち・文脈・理由を引き出し、その背景にある意味や仕組みを描き出します。
優劣ではなく補完関係であり、定性で“何が起きているかの物語”をつくり、定量で“どのくらい起きているか”を確かめる往還が理想です。
定量調査は、広い母集団における傾向や差の有無を統計的に確かめるのに適しています。
一方で定性調査は、少数から数値化しにくい気持ち・文脈・理由を引き出し、その背景にある意味や仕組みを描き出します。
優劣ではなく補完関係であり、定性で“何が起きているかの物語”をつくり、定量で“どのくらい起きているか”を確かめる往還が理想です。
定性調査と定量調査の比較表
3.定性調査のメリット
定性調査の最大のメリットは、数値では捉えきれない——行動や選択の背景にある深層心理(インサイト)を明らかにできることです。
人は「安いから」「便利だから」といった表向きの理由だけで動くわけではありません。たとえば「もう使わない」と言う人の中でも、実際には「続けられない自分にがっかりする」「他人に見られるのが恥ずかしい」など、
無意識の感情や状況の影響が行動を左右していることがあります。
定性調査では、このような本人も気づいていない思いや動機を、会話・行動・表情・環境といった文脈の中から見つけ出すことができます。
こうして見えてくるのは、単なる“意見”ではなく、行動を動かす理由そのものです。
その理解が深まることで、次のような具体的なメリットが生まれます。
こうして見えてくるのは、単なる“意見”ではなく、行動を動かす理由そのものです。
その理解が深まることで、次のような具体的なメリットが生まれます。
インタビューや観察を通して、アンケートでは拾えない生の言葉や体験の描写が得られます。
「不便」「使いやすい」といった抽象的な言葉の裏にある、
「不便」「使いやすい」といった抽象的な言葉の裏にある、
「どの場面で」「何が」「なぜ」そう感じたのかを具体的に知ることができ、改善の方向が明確になります。
定性調査は、まだ誰も言語化していないニーズや課題を発見するきっかけになります。
ユーザーが語る小さな違和感や願望の中に、新しい商品やサービスの種が隠れていることも多くあります。
こうした気づきは、マーケティングや商品開発において**“次の一手”を見つける出発点**になります。
ユーザーが語る小さな違和感や願望の中に、新しい商品やサービスの種が隠れていることも多くあります。
こうした気づきは、マーケティングや商品開発において**“次の一手”を見つける出発点**になります。
定性調査では、数値上の問題点ではなく、なぜその行動が起きているのかが分かるため、
「何を先に直せば効果が出るか」の判断がしやすくなります。
たとえば離脱率が高いとき、UIではなく「説明の順番」や「言葉のトーン」に原因があるとわかれば、
限られたリソースで効果的な打ち手を選べます。
「何を先に直せば効果が出るか」の判断がしやすくなります。
たとえば離脱率が高いとき、UIではなく「説明の順番」や「言葉のトーン」に原因があるとわかれば、
限られたリソースで効果的な打ち手を選べます。
数字だけでは伝わりにくいユーザー像を、語りや事例のストーリーとして共有できるため、
開発・デザイン・営業など、異なる立場のメンバー間で共通認識が生まれます。
「なぜこの改善が必要なのか」が腹落ちし、意思決定がスムーズになります。
開発・デザイン・営業など、異なる立場のメンバー間で共通認識が生まれます。
「なぜこの改善が必要なのか」が腹落ちし、意思決定がスムーズになります。
定性調査では、ただ「声を集める」のではなく、
✔ 表面的な答えを超えて掘り下げること✔ 無意識に隠れた価値観や感情を捉えること
✔ ユーザーと共に未来を描き出すこと
が大切です。これらを通じて得られるインサイトは 、新しい事業アイデアの種や、顧客体験を磨き上げるヒントへとつながります。
4-1.定性調査の手法
今回は弊社が20年以上に渡る実務経験を通して活用してきたリサーチ手法をご紹介します。
◇デプスインタビュー
生活者や顧客に1対1でじっくりと話を聞き、表面的な回答の奥にある「本音」や「無意識の欲求」を引き出します。
購買行動やブランド選好の背景にあるストーリーを深掘りすることで、よりリアルな顧客理解を可能にします。
心象イメージ法、文章完成法、カードソーティング、ギャップファインディングなどの細かな手法を組み合わせながら、人々の本音へと迫ります。
▼ エキスパートインタビュー
業界や専門領域に知見を持つ有識者にインタビューを行い、生活者や市場を俯瞰した深い視点を得る手法です。
生活者だけでは見えにくいトレンドや背景構造を理解することができます。
事業戦略や新市場開拓に直結する示唆が得られるのが特長です。
事業戦略や新市場開拓に直結する示唆が得られるのが特長です。
▼ エクストリームユーザー調査
一般的なユーザーではなく、極端な使い方をするユーザー(ヘビーユーザーや全く利用しない人など)に着目します。
平均的なユーザーでは気づかない潜在的ニーズや課題を鮮明にすることができます。
革新的なサービス開発や体験デザインの突破口となる手法です。
革新的なサービス開発や体験デザインの突破口となる手法です。
▼ 行動変容に向けたインサイト調査(COM-Bモデル)
一人の行動は、能力(Capability)・機会(Opportunity)・動機(Motivation)の3要素によって決まるとする「COM-Bモデル」に基づいた調査設計です。このフレームワークを活用することで、行動を阻害している要因を特定 し、どうすれば行動が変わるのかを構造的に明らかにできます。
購買行動や健康行動の促進、サービス利用の定着など、行動変容をデザインする際に有効です。
購買行動や健康行動の促進、サービス利用の定着など、行動変容をデザインする際に有効です。
◇エスノグラフィー(観察調査)
「なぜそのように行動するのか」を、本人すら気づいていないレベルで明らかにできます。
新しいサービス設計や顧客体験の改善に直結する発見が多く得られるのが特長です。
新しいサービス設計や顧客体験の改善に直結する発見が多く得られるのが特長です。
◇ZMET(ジーメット:メタファーを用いた深層インタビュー)
言語化しにくい感情や無意識の価値観を可視化することができ、ブランドの本質的な意味を探るのに適しています。顧客と企業をつなぐ「深い心理的な絆」を理解するために活用されています。
mctは国内で唯一ZMETのライセンスを保有しており、日本市場におけるZMET調査の実施が可能です。
◇コ・クリエーション(Co-creation)
ユーザーと共にワークショップを行い、一緒に課題を掘り下げ、理想の体験や新しいアイデアを描き出していくことで、よりリアリティのあるコンセプトが生まれます。
スピーディにアイデア創出から検証まで進められるのも強みです。
スピーディにアイデア創出から検証まで進められるのも強みです。
5.まとめ
数値では見えない感情や文脈を捉えることで、「何を」「なぜ」「どう変えるべきか」をチーム全体で共有し、次の打ち手をより確信をもって選択できるようになります。
mctでは、ZMETやCOM-Bモデルなどの心理・行動フレームを活用して定性調査を行い生活者理解から新規事業・サービスデザインまで、20年以上にわたって企業の意思決定を支援しています。
お問い合わせはこちら
定性調査を活用した顧客理解や、インサイトドリブンな商品・サービス開発をご検討中の方は、ぜひお気軽にご相談ください。
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Ryuto Taoka
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