2024.09.29
Series Blog ZMET 第1回:従来のリサーチと異なるメソッド “ZMET”とは何か?
心の概念構造を解き明かすインタビュー手法、ZMETについて、全8回でお届けいたします。
第1回のテーマは「従来のリサーチと異なるメソッド“ZMET”とは何か?」です。
ZMETとは?
さまざまなサービスがデジタル化し、コモディティ化が加速する中、企業にとって、自らの製品やブランドを顧客に共感してもらうことがますます重要になっています。顧客の共感を得るには、彼らの感情を深く理解し、その感情を呼び起こすようなアプローチが意味を持ちます。ZMETはこうした顧客の「感情」を理解することに特化したメソッドです。
ZMETは、Zaltman Metaphor Elicitation Techniqueの略で、日本語では「ザルトマン・メタファー表出法」といいます。「人間はイメージ(映像)やメタファー(比喩)によって思考する」という前提にもとづき、両者を活用しながら人間の潜在意識や深層心理を探ろうとするもので、心理学や脳科学をマーケティングに学際的に応用研究することで生まれました。
ZMETは顧客のゴールを深く理解する
実際に例を挙げてみましょう。こちらは、「シンプルとは何か」をテーマにしたZMETプロジェクトで、ある男性が「シンプル」という言葉から浮かぶイメージを表現した画像です。
この1枚の画像は、彼が「シンプル」にたどり着くまでの「旅」を表しています。何もないまっさらな無知なところから、もがいていろんな経験を重ねていくうちに、どんどん自らが拡張していく。でも最終的には、得たものが削ぎ落とされていって、最終的にシンプルなところに行き着くんじゃないか、と話してくれました。彼にとって「シンプル」とは、無駄や余計なものがない状態であり、自らが最終的に行き着きたい目標地なのです。このようにZMETでは、イメージ(画像)を通じて、プロジェクトのテーマと顧客の感情や人生におけるゴールとの結びつきを理解することができます。
ZMETは顧客の無意識の考えに光を当てる
ZMETは、通常のリサーチ手法と異なり、一つのテーマのみにフォーカスし、徹底的に深掘りをするアプローチです。
従来のリサーチ手法によるインタビューは、顧客の行動を深掘りし、得られた示唆を現在の施策改善に生かすために実施されることが多いのではないでしょうか?一方のZMETインタビューでは、顧客の行動の背景にある、顧客が「知覚すること」や「感じること」にフォーカスし、得られた示唆は「顧客が求めている感情を駆動させる新たな施策」を創出することにつなげられます。これがZMETインタビューのユニークなポイントです。
「メタファー」が最大のキーワード
ZMETでは、対話を通じて得られた顧客の行動とその背後にある感情との結びつきを、「メタファー(比喩)」を用いて分析していきます。人が感情の裏で無意識に用いているメタファーを対話の中から見つけ、それらの中で最も根底にあるものを特定していきます。
私たちは物事を何らかの枠組み(フレーム)を介して感じ、理解し、判断しており、この枠組み(フレーム)が物事の意味づけに決定的な役割を担っているのですが、自分がどんな枠組み(フレーム)で物事を理解しているかということについては無自覚(=無意識)なので、直接聞かれても答えられません。
このフレーム(枠組み)を明らかにするのがメタファー分析です。分析を通じて、顧客が無自覚に用いている思考の枠組み(フレーム)を浮かび上がらせ、顧客のストーリーを理解し、顧客がほんとうになりたい気持ちを生む施策の切り口を考えられるようになります。
OZAとの日本で唯一のパートナー企業であるmctのメンバーたちがこれから8回に渡り、活用可能範囲や最新事例、OZAからのメッセージ等を通じてZMETについて詳しくご紹介していきます。今後お届けする記事だけでなく、こちらのリンクより過去にmctがメンバーが執筆したZMET関連記事もご覧いただけると幸いです。
【全8回のZMETシリーズブログ】
Series Blog ZMET 第1回:従来のリサーチと異なるメソッド “ZMET”とは何か?
Series Blog ZMET 第2回:医師や患者の心を解き明かすZMETインタビュー
Series Blog ZMET 第3回:ZMETの結果をどう活用するか?
Series Blog ZMET 第4回:世界中で活用されているZMET
Series Blog ZMET 第5回:ZMETで創る独自のブランド体験
Series Blog ZMET 第6回:ZMET調査のプロセス
Series Blog ZMET 第7回:これまでのシリーズブログの振り返り
Series Blog ZMET 第8回:マルチクライアント型 ZMET調査
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Satoshi Kageyama
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