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2024.09.29

Series Blog ZMET 第5回:ZMETで創る独自のブランド体験

Series ZMET No.5

心の概念構造を解き明かすインタビュー手法 “ZMET” について、全8回でお届けいたします。これまでのシリーズブログでは「ZMETの概要」「医療分野での活用事例」「ZMETの活用方法」「世界中で活用されているZMET」というテーマでご紹介してきました。第5回目はZMETがブランディングやCXMの調査手法として非常に有効であることを事例と共にお話しします。

データドリブンアプローチの限界
ブランディング(特にリブランディング)やCXマネジメントの取り組みを始める際には、まず現在のブランドの位置づけや顧客体験の状況を把握する調査が必要です。現在ではデジタル化により大量のデータを迅速に処理し分析することが可能となり、NPS調査を中心としたデータドリブンなアプローチが主流となっています。
しかし、ブランドの差別化という観点からさらに深く掘り下げる場合は、
ZMETが非常に効果的な調査手段となります。例えばNPS調査から得られるデータは市場の動向を追跡し、顧客満足度の高い領域と改善が必要な領域を示しますが、それだけでは顧客の行動や感情の背後にある動機を完全には捉えきれません
ZMETNPSスコアだけでは捉えられない顧客の深層心理や潜在的なニーズを理解することができます
異なる
手法を組み合わせることで、何を改善すべきか(NPS)とその理由(ZMET)の両方を理解し、より効果的なブランディングにつなげることが可能になるのです。

顧客体験とブランドイメージの深層
顧客は普段から接している様々なブランドに対するイメージの違いを明確に感じています
前回
までのブログでお伝えしたように、ZMETは顧客がブランドとの様々な体験から得たイメージや価値をビジュアルイメージやメタファー(比喩)を通じて抽出し、顧客とブランドとの本質的な結びつきを明らかにする手法です。同業種の複数のブランドにZMETを適用すると、BtoCBtoBを問わず、それぞれ独自の「イメージビジュアルやメタファー」が浮かび上がってくることがわかります。
これはCXマネジメントにおいても、個々の顧客体験がブランド価値をどのように捉え、解釈しているかを深く理解する上で非常に重要な鍵となります。

事例1)シスコシステムズ
顧客との強いコミットメントが無いことを懸念していたコンピュータネットワーク会社のシスコシステムズはZMETを通じて顧客がインターネットの本質はテクノロジーではなく、人と人、人と情報といった人との繋がりだと思っており、シスコが発信している世界観からはユーザーはシスコのことをよくわからない、親しみのない企業だと感じていることが明らかになりました。ZMETにより導き出された「コネクション」というディープメタファーに沿ってロゴを再設計し、「human network
」というキャンペーンを展開してブランド認知を拡大させました。事例2)ミシュラン
タイヤメーカーのミシュランはミシュランのファンである顧客と車のタイヤとのつながりにおいて「コンテナ(容器)」というディープメタファーが存在することを発見しました。それはライバル企業であるピレリから感じ取られるディープメタファーの「コントロール」とは異なり、ミシュランはファンのイメージを裏切らない「ノアの箱舟」というメタファを広告コンセプトとして導き出し、成功しました。

 差別化へのアプローチ
ブランディングは、市場において企業が独自のアイデンティティを築き上げ、顧客の心に強烈な印象を刻むための戦略的な取り組みです。その核心にはブランドの製品やサービスが持つ他とは違う価値を明確に伝え、顧客との間に深い絆を形成することがあります。一方で、CXマネジメントは、顧客が製品やサービスを利用する一連のプロセス全体を通じて最良の体験を提供し、その体験を管理し最適化することを目指しています。
ZMETで得られた深いインサイトやブランドストーリーはブランドに対する現在の良いイメージを裏切ることなく、競合他社にはない「新しい意味」をブランドにこめることができます。その意味に基づいた独自のCXを提供することで顧客とブランドは単に製品を販売購入する関係ではなく、より深いレベルでの繋がりを築くことができます。
デジタル化された定量的なデータだけでなく、そこにZMETによる定性的な洞察が融合されることで、CXマネジメントを通じた強力なブランドの差別化戦略を実現させることが可能となるのです。

【全8回のZMETシリーズブログ】

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