2024.07.24
未来を創造する鍵: イノベーションを加速させるシグナルの見つけ方
こんにちは、mctのビクターです。
mctでは、このトピックについてかなり前から研究を行い、シグナル(未来の兆し)を捉えることがいかにイノベーションにとって価値があり重要であるかを発信してきました。
今回はそのシグナル(未来の兆し)を見つける方法について詳しく深堀していきます。
シグナルとは?
初めてシグナルに触れる方のために、簡単に説明しましょう。
シグナルとは、変化の可能性を示す観察可能なサインのことです。発見するのは難しいものですが、それは将来に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、病気の症状のようなもので、小さな兆候を見逃しやすいが、何かが起こるか、あるいは特定の方向に進むかもしれないという示唆を与えてくれます。
具体例を見ていきましょう。
このシグナルは、地元住民の快適な通勤を優先するために、バルセロナのローカルバス路線がGoogleマップから削除されたことを伝えています。つまり、観光産業と地域住民のバランスを取りながら、持続可能な都市計画を進めるための新しいアプローチが広がっていくのではないか?という可能性が考えられます。
次のシグナルは、若いアメリカ人が中国のSNSプラットフォーム「小紅書(Xiaohongshu)」を利用して正直な美容アドバイスを求めていることを伝えています。このシグナルから考えられる可能性の一つとしては、国境を越えた情報交換と文化的な融合が進む中で、美容やライフスタイルに対するアプローチがますます多様化していく可能性を示しています。
このように、シグナルは、新しい若者の行動、地方政府の新しい政策、新しいサブカルチャー、新しい技術、言語など、多岐にわたります。また価値観の変化や主流の考え方に対する新たな視点を示すことがあります。
なぜシグナルが必要なのか?
2010年頃から広がりだした「VUCAの時代」という未来の予測が難しくなる状況を指す言葉ですが、コロナウイルスのパンデミックを経験したことで、その重大さに気づいた方も多いと思います。私たちは通常、現在の延長線上の未来の文脈に基づいて行動したり意思決定しているように思いますが、実際はパンデミックのように、絶え間なく変化し、複雑さを増し、競争が激化する世界に生きています。文化は常に変化し、価値観が意見や決定を左右していきます。
今の消費者の期待に沿ったプロダクト・サービスをデザインしても、市場が変化し時代遅れになっていては意味がありません。変化が起こる前に兆しを捉えてその可能性を探る必要があります。このような考え方を基盤としていくことで、将来のビジョンを構築し、価値に基づいた革新的な取り組みを実現することができるようになります。
シグナルをどうやって見つけるか?
大きなトレンドは誰でも見つけることができます。なぜなら、すでに確立されたトレンドは大手リサーチ会社などから提供されているからです。つまり、シグナル探索に慣れていない人が集めると、たいていの場合はすでに見えているトレンドの収集に終始してしまいます。
十分な練習がなければ、興味深く独自のシグナルを見つけるのは難しいと言えます。小さく微妙な変化をどのように捉えるのか、またそれをどこで探すのが効果的かを理解し、オフラインおよびオンラインの両方で情報収集していくためのフレームワークと戦略を使用することが重要です。
シグナルはいつでもどこでも(雑誌、SNS、テレビニュース番組、本、ポッドキャスト、ライブイベントなど)探すことができますが、効率よく有力なシグナルを収集するための方法の1つは、変化を引き起こす革新者やアーリーアダプターグループを観察し研究することです。これらの革新者グループと接触するためには、多様な専門家や組織、才能ある学生が最新の作品を展示し議論する、世界中の主要なイベントに参加することです。これにより、新しい製品を見るだけでなく、イノベーションの決定の背後にある動機や価値観についても学ぶことができます。
同時に、デザインウィークや業界フェアのようなライブイベントに参加することで、興味のあるトピックの全体像を把握し、予期していなかったシグナルを見つけたり、興味のあるトピックに直接関連しない業界やセクターから学んだりすることができますが、それが影響を与える可能性があるのです。
海外カンファレンスをより有益な場にするために
どのような業界・ジャンルにおいても海外カンファレンスを体験することはとても有意義なことです。しかし、そこで得られる気づきを最大化し、さらにイノベーションの原動力に変えていくには、その業界の情報だけでなく未来を創造する技術が必要となります。
シグナルを集めるだけでなく、シグナルの背景やコンテクストを捉え、現在の価値観・考え方とは異なる解釈をしていく分析プロセスが、イノベーションを駆動するのです。その文脈を理解するためには、ズームインとズームアウトを繰り返しながら理解を深めていく必要があります。
また、グローバルイベントの参加とあわせて現地でのエスノグラフィーや文化研究を組み合わせることも有効です。そのジャンルで有名な企業と交流したり、実際に提供されている魅力的なサービスを体験したり、現地で生活をしている生活者の理解を深めたり、現地参加する意味を最大限に活用しましょう。
よりよいシグナル探索をしていくために
mctでは、二次データ(メディア、SNS、雑誌、新聞、ブログなど)を収集し、変化の兆しを探すことが日常ルーティンとなっています。一次データ(トレードショー、デザインウィーク、イノベーションイベント、現地観察など)から得られるシグナルのコンテクストを分析するうえで、この2次データの継続的な収集は欠かせません。この2次データで得られているシグナルやコンテクストを組み合わせることで、新たな気づきや機会の発見につながるからです。
また海外カンファレンスには、グローバルメンバーと日本人メンバーの2名体制で参加しています。言語の問題もありますが、各国の文化的な背景を捉えるうえではグローバルメンバーは欠かせません。一方で、日本とのギャップを捉えるうえでは日本人メンバーも同様です。さまざまな視点・角度からアプローチすることで、よりユニークなシグナルに到達できると考えています。
海外カンファレンスへの参加を検討している方へ
9月から海外カンファレンスが活性化していきます。今後、お勧めの海外カンファレンスを随時紹介していきますので、もし興味のあるイベント、参加を検討しているイベントがありましたら、その活動をよりよいものにしていくために我々のアプローチ方法をご覧ください。また、支援していくことも可能ですので、もしシグナル探索をご希望の場合はお気軽にご連絡ください。
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Victor Corral
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