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2025.06.19

Blog|日常にひそむGood CX──小さな後押しと心地よさのデザイン



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mctのnote連載「Good CX」は、日常にひそむ顧客体験のヒントを紹介するシリーズ。
 身近なシーンでのちょっとした気づきを通して、CXの視点を掘り下げます。
 今回は“行動の後押し”や“効率より心地よさ”に注目した体験を取り上げました。
 
 

 

日常の中の"やってみよう"や"また行きたい!"が生まれる瞬間

こんにちは、mctの田岡です。
私たちmctがnoteで連載している「Good CX」シリーズは、 メンバーが日常の中で出会った"ちょっと心地よい体験"を通じて、 CX(顧客体験)に潜むヒントをお届けする取り組みです。
約1年半にわたり続けてきたこの連載は、おかげさまで累計1万ビューを突破。 何気ない体験の中にある、気づきや発見を共有する場として少しずつ広がりを見せています。
今回ご紹介するのは、「後回しにしがちな行動を促す銀行アプリの仕掛け」と「懐の深さが心地よさにつながる飲食店での体験」
この2つのGood CXです。

 

三井住友銀行アプリのセキュリティ対策の促し方

銀行や証券会社の口座のセキュリティは大事だと頭ではわかっていても、つい後回しにしてしまいがちです。
そんな中である時、三井住友銀行のアプリを開くと「今月はセキュリティ強化月間」というお知らせが。
しばしば目にするような、フィッシング詐欺などへの注意喚起のメールとは違い、
このキャンペーンは「これなら今やろう!」と思えるものでした。
そこには、行動変容デザインの鍵とも言えるCREATEアクションファネルに沿ったいくつかの仕掛けがありました。


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注目するべき点は、以下の点です。

〇直感的に “いつもとは違う” “今やるべき” と動機づけさせるコピーやイラスト
〇“週に1つだけ” のすぐに行動に移せるタスクの提示
〇その瞬間に行動に移すことを可能にする操作手順のわかりやすい説明

セキュリティのように優先度が高いにもかかわらず後回しにされがちな行動も、適切な分解と設計によって、自然な行動喚起につなげられる好例と言えるでしょう。
 

 コメダ珈琲店の「懐の深さ」から学ぶ最高の顧客体験

コメダ珈琲店での体験は、「効率」より「心地よさ」を大切にした設計が印象的でした。
混雑時でも来店順に丁寧に案内され、一人でも広々とした席へ。高めのパーテーションが視線を自然に遮り、落ち着いて過ごせる空間が整えられています。
さらに、提供されたメニューは写真以上の大ボリュームで、思わず驚く「逆写真詐欺」ぶり。
想像を超える喜びや安心感が、ブランドへの信頼や愛着を高めてくれます。
 
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注目したいポイントは以下の通りです:

回転率や座席効率だけを追求せず、顧客一人ひとりの体験価値を最優先
〇 期待を上回るサプライズを生む「逆写真詐欺」体験
〇 滞在時間の明示など明確なルールによる「安心感」の創出

効率重視ではなく「また来たい」と思わせてくれる空気が、コメダならではのGood CXとして、深く記憶に残る体験となっていました。 
 
 

小さな気づきが、自然な行動や感情を生む

今回の2つの体験に共通していたのは、

●押しつけではなく、自発的に行動したくなるきっかけがあったこと
●安心や驚きといったポジティブな感情が生まれていたこと

一見すると小さな配慮ですが、 このような仕掛けの積み重ねが"やってみよう!""また行きたい"という気持ちにつながっていくのだと感じます。 


mctのnote連載「Good CX」について

mctのnote連載「Good CX」は、メンバーが実際に体験した“よかったこと”を起点に、
 「なぜ印象に残ったのか?」「どんな工夫があったのか?」を生活者視点でひもとくシリーズです。

「気軽に読めるのに、どこか深い。」

 読んだ人が「自分もこんな体験あったかも」と思ったり、
 「自分の仕事にも活かせそう」と感じたりする、小さな気づきを目指しています。

おかげさまで、この連載は約1年半続き、累計1万ビューを突破しました。
 今後も日常の中にあるCXのヒントをお届けしていきます。

 
よろしければ、他の記事もぜひご覧ください
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前回のブログでは、「ニンテンドーミュージアムと大阪万博に見る“混雑度表示のデザイン”」と「SNS上の「Amazon広告」アプローチ」をご紹介しました。
まだご覧になっていない方は、ぜひこちらもご覧ください。
 
 
 
 

気持ちの動きに隠れたインサイト

Good CXの記事を読んでいると、メンバーが体験した出来事を通して、
 「どんな気持ちになったのか」までが自然と伝わってきます。

「これ、いいかも」「選べるってちょっと楽しい」
 そんな感情の動きも、インサイトのひとつですよね。
こういった体験の中には、 日々の業務の中では気づきにくい組織変革の兆しが隠れていることもあります。

インサイトの探索やCXに関する取り組みにご関心のある方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽に田岡までご相談ください。
 
 
 
 

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