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2026.01.28

Series|小さく始めるカスタマージャーニーマネジメント第3回 ― CX改善が成果につながらない3つの理由と、成果につなげる実践法



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CX(顧客体験)の改善はなぜ難しいのか?
原因は顧客体験の全体を見渡せず「点」として捉えていることにあります。
顧客体験を「線」で捉えるジャーニーマネジメントを小さく始めるプログラム「One Journey Sprint」
について全3回で解説し、成果につながるCX改善のヒントをお届けします。
 
 

 
CX改善のプロジェクトを始めたものの、途中で失速してしまう。
そんな経験はありませんか?

「いいアイデアが出たはずなのに、社内を説得できなかった」
「プロジェクトは終わったけれど、結局何も実行されなかった」
「やった感だけが残って、成果が見えない」

こうした失敗には、実は共通するパターンがあります。
今回は、CX改善を成果につなげるために押さえるべき3つのポイントをお伝えします。
 
 

第1のポイント ― 思考を可視化して、チームの認識を揃える

 
まず最初に重要なのが、チーム全体で「同じものを見ながら話す」環境を作ることです。

部門横断のプロジェクトでは、参加メンバーはそれぞれが異なる視点や前提を持っています。同じ目線で議論をしているつもりでも、実は全員が違うことをイメージしていた、という状況はよくあります。

「顧客体験を改善しよう」と言っても、マーケティング担当者は広告接点を、営業担当者は商談プロセスを、カスタマーサポートはアフターフォローをそれぞれ思い浮かべている。そんな状態では、議論がかみ合わず、合意形成に時間がかかってしまいます。

こうした視点の違いや非効率を解消するのが、チーム全体の思考を参加者全員が視覚的に共有できるツールです。

たとえば、miroはオンライン上で使えるホワイトボードツール。付箋を貼ったり、矢印でつないだり、アイデアを直感的に整理できます。
Theydoは、顧客ジャーニーの可視化と改善に特化したCXプラットフォーム。ジャーニーごとにMoTやタッチポイントを整理しながら、誰が何を担当しているのかも含めて管理できます。

「同じものを見ながら話す」環境があれば、思考のズレや認識違いが減り、合意形成や意思決定が圧倒的にスムーズになります。

会議のたびに「それは何のことでしたっけ?」「前回はどこまで話したんでしたっけ?」という確認から始まる非効率から解放され、議論の質が高まるのです。
 
 

第2のポイント ― 「形」にすることで、社内を動かす

 
次に重要なのが、アイデアを目に見える形にすることです。
 
どれだけ納得感のあるアイデアでも、「言葉だけ」では周囲を動かすことは難しいのが現実です。
「本当に実現できるの?」「それで何が変わるの?」といった声に、言葉だけで応えるのには限界があります。
だからこそ重要なのが、目に見える「成果物」です。
たとえば、こんなものが有効です。

・体験シナリオ:現状と改善後の違いを描き出し、「お客さまがどう変わるか」が一目で分かる
・プロトタイプ:UIや体験の変化を、手に取るようにイメージできる
・実際のフィードバック:ユーザーの生の声が、提案の根拠になる
アセット 4-4
プロトタイプで可視化:体験を「形」にして、社内の共感と意思決定を促進
 
こうした「証拠」がそろえば、共感や納得感が一気に高まり、意思決定が進みやすくなります。

言葉で説明するよりも、実際に触れるもの、見えるものがあることで、関係者は具体的にイメージできるようになります。
そして、「これならできそうだ」「お客さまに喜んでもらえそうだ」という実感が生まれ、実行への後押しになるのです。
 
 

第3のポイント ― 「やった感」で終わらせず、実行まで伴奏する

 
最後のポイントは、実行フェーズまでしっかりと計画を立てることです。
「やった感」だけが残ってしまうケースは少なくありません。
 
でも、本当に大切なのはその先。「実行して、どうだったか?」をきちんと検証することです。
どんなに優れた改善案も、動かす仕組みがなければ、絵に描いた餅になってしまいます。
そのためには、以下のような実行プランを具体的に決めておくことが欠かせません。

・何から準備するのか?(優先順位)
・誰が責任を持って進めるのか?(担当)
・何を成果として測るのか?(KPI)
アセット 5-3
実行計画まで支援:「やった感」で終わらせず、KPI設定まで伴走

実行プランと評価指標を整理することで、プロジェクトが終わった瞬間が、実行フェーズのスタートになります。

また必要に応じて、段階的な導入ステップや、A/Bテストによる効果検証の方法まで検討しておけば、
実行段階での迷いがなくなります。関係者全員が「次に何をすべきか」を明確に理解している状態で終われるのです。

 

One Journey Sprintで、実行に向けて動き出しましょう

 
One Journey Sprintは、この3つのポイントをすべて押さえた、4週間の実践プログラムです。
まず第1週で、ツールを使いながらチームの思考を可視化し、認識を揃えます。
次に第2〜3週で、プロトタイプを制作し、実際のユーザーからフィードバックを収集。
関係者への発表やレポート作成をサポートし、社内を動かすための材料を準備します。

そして最終週に、施策の実行プランと評価指標を整理。
誰が何をいつまでにやるのか、何を成果として測るのかを明確にします。

アイデアを出して終わりではなく、動き出すための4週間。
「思考を可視化」「アイデアを形にして」「実行して成果を測る」という3つのステップを確実に踏むことで、
CX改善を成果につなげていくことができるのです。


 
カスタマージャーニーを活用したCX改善のヒントを、弊社CEO・白根による著書『いちばんやさしいCX経営の教科書 顧客体験を見直し"選ばれる会社"になる』 でさらに詳しく解説しています。
 
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【連載】 Series|小さく始めるカスタマージャーニーマネジメント
 
 

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