2025.11.07
Series|小さく始めるカスタマージャーニーマネジメント 第1回 ― そのCX改善、ジャーニーマップの中の「点」の改善で終わっていませんか?

CX(顧客体験)の改善はなぜ難しいのか?
原因は顧客体験の全体を見渡せず「点」として捉えていることにあります。
顧客体験を「線」で捉えるジャーニーマネジメントを小さく始めるプログラム「One Journey Sprint」
について全3回で解説し、成果につながるCX改善のヒントをお届けします。
「うちもCXに力を入れているんです」
そんな声を、最近では多くの企業から聞くようになりました。
ただ一方で、
「Webサイトをリニューアルしたけれど、問い合わせは増えていない」
「接客研修を何度もやったのに、満足度が上がらない」
「チャットサポートを導入したのに、クレームが減らない」
そんなモヤモヤが残っているケースも、決して少なくありません。
このような状況の背景にあるのが、「点での改善にとどまっている」という問題です。
CX改善の落とし穴 ― 「点」で最適化しても成果につながらない
多くの企業では、それぞれの部門が「自分たちが直接関わる接点」に注目して、個別に改善を進めています。
例えば、広告の部門は広告の反応率、Webのチームは離脱率、営業は成約率…といった具合に、自分たちの“持ち場”の数字を上げることが主な目標になります。もちろん、それ自体は間違っていません。
ですが、お客さまにとっては、すべての体験はひとつながりのストーリーです。
たとえば、
・SNS広告で商品を知る
・気になってWebサイトをチェックする
・問い合わせして、営業担当と話す
・最終的に購入を決める
・気になってWebサイトをチェックする
・問い合わせして、営業担当と話す
・最終的に購入を決める
という流れは、お客さまにとっては「ひとつのジャーニー=体験の旅」です。
ところが、企業側ではこの流れが分断されてしまっている。
つまり、お客さまの「線」の体験に対して、企業側は「点」で対応してしまっているのです。
解決の鍵は「ジャーニーマネジメント」
― 体験を「線」で捉えて、お客さまのゴールに沿ってデザインする
こうした「点」の改善の限界を超える鍵が、「ジャーニーマネジメント」という考え方です。
ジャーニーマネジメントとは、お客さまの体験を「ひとつの流れ(線)」として捉え、全体を戦略的に管理・改善していく手法です。個々の接点(点)を磨くだけでなく、ジャーニー全体を通して一貫した優れた体験を提供することで、初めて顧客満足やロイヤルティは向上します。
ここで大事なのは、「線で捉える」とは単に接点を並べることではない、という点です。
線で捉えるというのは、お客さまが何を目指してその行動をしているのか、そのゴールや意図を出発点に体験をデザインするということです。つまり、「自分たちのKPIを達成すること」ではなく、「お客さまがその先に進むために何が必要か?」を考える視点への転換です。
この転換ができないと、いくら部分的な改善を繰り返しても、「体験としてつながっていない」「感動につながらない」ままとなり、CXの成果が出にくくなってしまいます。
線で捉えるというのは、お客さまが何を目指してその行動をしているのか、そのゴールや意図を出発点に体験をデザインするということです。つまり、「自分たちのKPIを達成すること」ではなく、「お客さまがその先に進むために何が必要か?」を考える視点への転換です。
この転換ができないと、いくら部分的な改善を繰り返しても、「体験としてつながっていない」「感動につながらない」ままとなり、CXの成果が出にくくなってしまいます。
「点から線への視点の転換」本格的なCX改善のために、あれもこれも...で動けなくなる
― まずは小さな一歩から始める
さて、お客さまの視点に転換して「CXを本格的に改善したい。顧客の体験を全体で捉えて、抜本的に変えていこう」と考えたとき、ついこんなプレッシャーを感じてしまうことはありませんか?
「まずは全ジャーニーの可視化をしなきゃ」
「全部門を巻き込まないと意味がないよね…」
「新しいツールを入れるなら、あれもこれもできないと…」
理想が高くなるのは自然なことです。でも、そのぶん「最初の一歩」が重くなり、なかなか踏み出せずに終わってしまう。そんな経験をされた方も多いのではないでしょうか。
特に、CXにおいてデジタルシステムの導入を検討するときに、この傾向は顕著です。
「せっかく費用をかけるのだから」「機能をフル活用しないともったいない」と考え、あれもこれも盛り込みたくなってしまう。でもその結果、プロジェクトが膨らみすぎて関係者が増え、導入も定着も進まないまま立ち消えになってしまう。そんなケースをよく目にします。
全体を変えようとするほど、関係者の調整や合意形成が必要になり、動きが重たくなります。
だからこそ、最初の一歩は「ひとつのジャーニー」に絞ることがとても重要です。
「せっかく費用をかけるのだから」「機能をフル活用しないともったいない」と考え、あれもこれも盛り込みたくなってしまう。でもその結果、プロジェクトが膨らみすぎて関係者が増え、導入も定着も進まないまま立ち消えになってしまう。そんなケースをよく目にします。
全体を変えようとするほど、関係者の調整や合意形成が必要になり、動きが重たくなります。
だからこそ、最初の一歩は「ひとつのジャーニー」に絞ることがとても重要です。
「ひとつのジャーニー」なら、動き出せる
たとえば、「資料請求から契約まで」や「会員登録から初回利用まで」など、ある程度の完結性があり、重要なジャーニーにフォーカスする。そうすれば、巻き込む部門や関係者も限定され、施策の実行力が一気に高まります。
さらに、絞り込むことで「お客さまが感じている具体的なつまずき」も見えやすくなります。
施策の仮説を立て、短期間で改善策をデザインし、実行・検証する。
そのサイクルを回せば、「実感できる成果」が生まれやすくなるのです。

さらに、絞り込むことで「お客さまが感じている具体的なつまずき」も見えやすくなります。
施策の仮説を立て、短期間で改善策をデザインし、実行・検証する。
そのサイクルを回せば、「実感できる成果」が生まれやすくなるのです。

「まずは最小単位から始める」
One Journey Sprintは「すべて」ではなく、「ひとつ」から始めます
One Journey Sprintは、ひとつのジャーニーに焦点を当て、「ジャーニーマネジメントの第一歩」を実践するプログラムです。
4週間で、重要なジャーニーを選び、体験の中で顧客がつまずいている瞬間(MoT)を見極め、部門横断で改善に挑みます。
「最初の一歩」をコンパクトに、確実に踏み出すことが、やがて組織全体の学びや気づきを生み出し、次のアクションへとつながっていきます。
4週間で、重要なジャーニーを選び、体験の中で顧客がつまずいている瞬間(MoT)を見極め、部門横断で改善に挑みます。
「最初の一歩」をコンパクトに、確実に踏み出すことが、やがて組織全体の学びや気づきを生み出し、次のアクションへとつながっていきます。
カスタマージャーニーを活用したCX改善のヒントを、弊社CEO・白根による著書『いちばんやさしいCX経営の教科書 顧客体験を見直し"選ばれる会社"になる』 でさらに詳しく解説しています。
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Yoichi Sugiki
株式会社mct エクスペリエンスデザイナー
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