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2026.09.17

Blog|EXデザインは、従業員インタビューからはじめよう




interview
 
EXデザインの第一歩は、従業員のリアルな体験を知ること。
本記事では、サーベイだけでは見えてこない組織の実態を捉えるための
「従業員インタビュー」と、実践の5つのポイントをご紹介します。
 
 

 

 


EXデザインへの関心の高まり

 
ここ数年、わたしたちのまわりでも「EXデザイン(従業員体験デザイン)」という言葉を耳にする機会がずいぶん増えてきました。その変化は、Googleでの検索動向を見てもよくわかります。

EXデザイン-1
このグラフを見ていると、10年ほど前にEXデザインの取り組みを始めた頃のことを思い出します。

当時は「EX(従業員体験)」という言葉自体がほとんど知られておらず、インターネットで検索しても参考になる情報はまだわずか。「EXとは何か」「なぜ従業員の体験をデザインするのか」を理解してもらうために、事例を探したり、言葉を変えてみたり、いろいろ工夫しながら説明していたのが、今となっては懐かしく感じます。

昨今のEXデザインへの認知の高まりは、多くの企業が組織づくりやエンゲージメントに課題意識を持ち、改善に取り組もうとしていることを表しているのだと思います。


 

サーベイではわからない、組織や従業員のリアル 


EXについて考えるとき、まずエンゲージメントサーベイや従業員満足度調査などを実施する企業は多いと思います。もちろん、サーベイは組織全体の状態を把握するうえで有効です。しかし、サーベイレポートに表れているのは、従業員が経験していることのほんの一部であり、表層的な結果に過ぎません。
 
たとえば、「上司とのコミュニケーション」のスコアが低い。その背景には、話す機会が少ない、1on1で本音を話せない、相談しても何も変わらないなど、まったく異なる体験が隠れています。
 
また、そもそもサーベイで聞いていないことは、数字には現れません。日々感じている小さな違和感。いつの間にか諦めてしまったこと。当たり前すぎて本人も問題だと思っていないこと。こうした体験は、サーベイだけでなく、普段の1on1や上司との会話でも、なかなか表には出てきません。

重要なことは、EXデザインにおいて、最初に何を課題として捉えるかで取り組みが変わるということです。

スタート地点が違えば、その後に考える施策も大きく変わってしまうのです。だからこそ、最初から会社側が見えている課題だけを出発点にするのではなく、まず従業員が実際に経験していることを知る。組織側がまだ問いにすらできていないことを発見し、EXデザインの正しいスタート地点を見つける。そのための重要な手段が、従業員インタビューです。

 


やってみると難しい「従業員インタビュー」 


従業員インタビューは、それを行う体験そのものが貴重な時間になるはずです。データやレポートを通してではなく、自分たちで現場の従業員の声を聞く。「そんなことを感じていたのか」「そんなところに困っていたのか」と、これまで見えていなかった組織の姿に気づく。そんな体験そのものが、従業員インタビューの大きな価値だと思います。

一方で、実際にやってみると、その難しさにも気づきます。

用意した質問には答えてもらえた。会話もそれなりに盛り上がった。でも、終わってみると新しい発見や気づきがあまり残っていない。

従業員から出てくるのは「この制度を改善してほしい」「もっとコミュニケーションを増やしてほしい」といった不満や要望の声ばかり。またすでにわかっている話の範囲をなかなか超えられない。

現場の従業員の声を聞くはずが、気づけばこちらの考えや目指していることを説明し、相手を説得するような時間になってしまう。 
 

従業員インタビューは、単に質問して回答を集める場ではありません。本人もまだ言葉にできていない体験や、その背景にある価値観、感情、関係性まで探索していく場です。だからこそ、ただ「話を聞く」だけでは意外とうまくいかないのです。



 

従業員インタビューの5つのポイント 


従業員インタビューにも、専門的・実用的なメソッドやスキル、ちょっとしたテクニックなどがあります。今回は、わたしたちが従業員インタビューを行うときに特に大切にしているポイントを5つに絞って紹介します。


1. 目的を明らかにする
 
そもそもEXデザイン(従業員体験デザイン)は、とても広い領域を扱います。ワークスタイルのことなのか、キャリアデザインのことなのか、あるいは、人材採用や離職防止といった具体的な課題なのか。どのようなアジェンダに取り組むためのインタビューなのかによって、聞くべき内容は大きく変わります。目的が曖昧なまま始めてしまうと、いろいろな話は聞けたものの、最後に「結局、何を知りたかったんだっけ?」となりがちです。まずは、このインタビューを通じて何を明らかにしたいのかを明確にすること。 目的が定まることで、誰に聞くのか、何を聞くのか、どこまで深掘りするのかが決まり、インタビューそのものの質も高まります。


2. 体験に焦点を当てる
 
「会社についてどう思いますか?」と意見を聞くだけでは、どうしても抽象的な回答になりがちです。大切なのは、具体的な「体験」に目を向けることです。たとえば、「最近、仕事に没頭した、夢中になったと感じた瞬間はありましたか? そのときのことを教えてください」と聞いてみる。実際の出来事を起点にすることで、そのとき何を感じたのか、なぜそう感じたのか、その人が何を大切にしているのかまで掘り下げていくことができます。体験を理解するための入り口は、具体的な「事実」です。 そこからその事実に紐づく感情や価値観へと探索を広げていく。具体的な事実と、その奥にある抽象的な感情や価値観を行き来しながら理解していくことが、従業員インタビューでは大切です。


3. 体験を構造化する

一つの体験は、さまざまな要素から成り立っています。その場で関わる人、利用するモノやツール、受け取るメッセージ、自分自身の振る舞いや行動、そして、その場の空間や環境など。従業員インタビューで体験についてヒアリングする際に、つい「その人がどう行動したか、どう感じたか」だけに目を向けがちです。しかし、周囲の環境にまで視野を広げてみると、体験がさまざまな要素から構成され、それらの要素同士に深い関係性があることが見えてきます。「何が、その行動や感情を生み出しているのか」まで捉えること。 その関係性が見えてくると、課題の原因を考えたり、より良い体験をつくるためのヒントを見つけたりしやすくなります。
 

4. モノを介して聞く

村上春樹さんが「うなぎ説」という面白い話をしています。小説の創作において、著者と読者の二者だけではなく、その間に「うなぎなるもの」という第三の存在があることで、小説がうまく立ち上がってくるという考え方です。従業員インタビューにも、似たところがあります。インタビュアーと従業員が向き合うだけでなく、その間に「モノ」を置いてみる。実際に仕事で使っているツールや資料、写真、チャット、スケジュールなどを一緒に見ながら話すことで、対話が自然と広がり、お互いの発言への解像度も高まります。人と人だけで話すのではなく、その間に“第三のもの”を置いてみる。 これも対話を深めるための有効な方法です。 


5. その場の展開を楽しむ

インタビューでは、事前にしっかり準備し、作戦を立てることが重要です。一方で、いざ始まると用意していた質問項目を一つずつ潰していくような聞き方になってしまうこともあります。インタビューガイドは「台本」ではなく「地図」です。予定していた質問から話が逸れても、「それ、もう少し聞いてみたい」と感じたら、その方向へ進んでみる。思いがけない話から、さらに問いを重ねていく。想定外の展開を楽しむことが、思いがけない発見につながります。
 
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従業員インタビューは、やってみると、とてもおもしろい取り組みです。

普段一緒に働いている人でも、あらためてじっくり話を聞いてみると「そんなことを考えていたのか」「そんな経験をしていたのか」と、知らなかったことがたくさん出てきます。そして、その一つひとつが、自分たちの組織をこれまでとは違う角度から見るきっかけになります。

EXデザインというと、制度や施策を考えることから始めたくなるかもしれません。でも、その前にまず、自分たちの組織で働く人たちが、日々どんな体験をしているのかを知ること。これからEXデザインに取り組もうと考えているなら、まずは従業員インタビューから始めてみてはいかがでしょうか。きっと、まだ知らなかった自分たちの組織が見えてくるはずです。

 
 

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