2025.06.25
Series|顧客エンゲージメントを高めるUI/UXデザイン―第3弾:楽しさやユーモアで体験を豊かにする

「顧客エンゲージメントを高めるUI/UXデザイン」をテーマに
お届けしている本シリーズ、第3弾のテーマは「楽しさ・ユーモア」です。
楽しさやユーモアがユーザー体験にもたらす力についてご紹介します。
お届けしている本シリーズ、第3弾のテーマは「楽しさ・ユーモア」です。
楽しさやユーモアがユーザー体験にもたらす力についてご紹介します。
楽しさやユーモアでユーザーの心をつかむ
「同じような機能のアプリなのに、なんとなくこっちのアプリが好きで、ずっと使い続けている」
1人のユーザーとしてそのような経験はないでしょうか。
ユーザーに選ばれ、愛され続けるような魅力的なデジタルサービス・プロダクトを作るには、機能性や利便性だけでは十分とは言えません。そんな中で、ちょっとした遊び心やクスッと笑えるようなUXライティングやマイクロインタラクションを取り入れることで、多くのユーザーを惹きつけているサービスは少なくありません。
例えば、ビジネスチャットツールのSlackは、豊富な絵文字リアクションで日々のコミュニケーションに彩りを加えてくれますし、さらにアプリのアップデートのメッセージでもユーザーを楽しませてくれます。また、前回ご紹介した語学学習アプリのDuolingoも表情豊かなキャラクターによるリマインダー通知や楽しい連続学習日数カウンターなどで学習の継続を楽しくサポートしています。
UI/UXデザインにおいて「楽しさ」や「ユーモア」というエッセンスを加えることは、ユーザーの心をつかむサービス・プロダクトを作り上げていく上で大切な要素だと考えています。

Slackのアップデート時のメッセージにはちょっとした“ジョーク”が混じっている
楽しさやユーモアがもたらす効果
楽しさやユーモアをUXデザインに取り入れることは、次のような効果をもたらします。
感情的なエンゲージメントを高める
楽しさやユーモアは、ユーザーのポジティブな感情を刺激し、動機づけを高めたり、ブランドへのロイヤルティを高めます。
不安やストレスを軽減する
新しい体験や複雑な情報タスクに対して、遊び心のあるデザインや楽しいUIを通じて、心理的な障壁を下げ、リスクや不安、ストレスを軽減します。
不安やストレスを軽減する
新しい体験や複雑な情報タスクに対して、遊び心のあるデザインや楽しいUIを通じて、心理的な障壁を下げ、リスクや不安、ストレスを軽減します。
独自性を生み出す
楽しさやユーモアがあることで、競合製品と差別化され、記憶に残りやすくなります。
楽しさやユーモアがあることで、競合製品と差別化され、記憶に残りやすくなります。
学習効果を促進する
ゲームのような楽しさを感じることで、達成感を味わうまでのプロセスが苦にならず、楽しいプロセスとして積極的に関わり続けやすくなります。
社会的なつながりを強化する
ユーモアは共感や笑いを生み出し、ユーザー同士の交流や競争を楽しくし、ユーザー同士のつながりやコミュニティ感覚を強めます。
これらは、プロダクトとユーザーとの感情的なつながりを深め、より魅力的で記憶に残る体験を提供することに寄与します。このようにより良い顧客体験を提供することは、プロダクトのビジネス上の成功につながります。

成功事例:Duolingoに見る楽しさやユーモアの力
さて、楽しさやユーモアをUI/UXデザインにうまく取り入れ、高いユーザーエンゲージメントを実現している代表例として、前回の「行動心理学を活用したデザイン手法」でもご紹介した語学学習アプリのDuolingoがあります。Duolingoは、語学学習という継続が難しい分野において、行動デザインの力に加えて、楽しさやユーモアも取り入れることにより、ユーザーのエンゲージメントを高めています。
前回記事の中でCOM-Bモデルやエンゲージメントループのフレームワークに沿ってポイントを紹介しましたが、その中でいくつかの要素を例にとり、楽しさやユーモアがどのようにエッセンスとして加えられているかを具体的に見ていきます。
「リマインダー通知」における「キャラクターとの感情的なつながりの醸成」
行動を始めるトリガーとしてリマインダー通知は必要な機能ですが、忙しいときや気が進まないときに何度もリマインダーが来ることはユーザーにとってストレスになり得ます。
これに対してDuolingoでは、個性的なキャラクター(Duo)が、時にユーモラスな励ましや、ちょっとした脅し(?)で、その日のレッスンを始めることを促してきます。学習をサボってしまうとDuoが怒ったり、いじけたりすることで、普通なら鬱陶しいリマインダー通知もユーザーにとって「かわいい」「楽しい」ものになり、だんだんと学習に対してもポジティブになってきます。
そして、自分の学習進捗によって感情が変化するDuoに毎日触れる中で、Duolingoが単なるツールではなく、愛着の湧くパートナーのような存在と感じられて、ユーザーはアプリに対して感情的なつながりを感じやすくなります。

学習を始めないと、だんだんとDuoの眼光が鋭くなり、怒りの表情を見せてくる
「連続学習日数のカウンター」における「次の日の学習を促すUXライティング」
毎日学習を続けることで「連続記録」が伸びていく機能は、損失回避の心理(記録を途切れさせたくない)に働きかけ、日々のアプリ利用を習慣化させます。
こうして設けられている「連続学習日数のカウンター」の画面の中にもちょっとした工夫が見られます。一般的なアプリであれば、この画面のボタンは「次へ」や「完了」であることが多いでしょう。これに対してDuolingoでは「明日もがんばる」となっています。このことは「次の日も続けよう」という前向きな感情を生み出しています。

押すことで「明日も学習する」という意思表示をさせているようなボタン
これらの要素が組み合わさることで、Duolingoは単なる学習ツールを超え、「楽しく続けられる語学学習体験」を提供し、世界中で多くの支持を集めているのです。
楽しさやユーモアは重要なデザイン戦略のひとつ
機能性や使いやすさに加え、「楽しさ」や「ユーモア」といった要素が、サービス・プロダクトのUXを大きく左右する時代になっています。これは単なる装飾ではなく、ユーザーの感情に働きかけ、愛着やロイヤルティを育む重要なデザイン戦略のひとつと言えます。
mctではサービスを提供する上で「Playful」(遊び心のある)という価値感を大切にしています。遊び心を持ってデザインプロジェクトを進行し、「楽しさ」や「ユーモア」があって記憶に残るようなユーザー体験を提供するためのUI/UXデザインをご提案しています。
UI/UXデザインサービスに関する詳細な内容については、ぜひ資料をダウンロードしてご確認ください。
UI/UXデザインサービスに関する詳細な内容については、ぜひ資料をダウンロードしてご確認ください。
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Yoichi Sugiki
株式会社mct エクスペリエンスデザイナー
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