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2025.06.18

Series|顧客エンゲージメントを高めるUI/UXデザイン―第1弾:UXデザインにおけるメタファーの力



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「メタファーをUX向上に役立てることができる」と聞いた時、皆さんはどのように思われますか?
「顧客エンゲージメントを高めるUI/UXデザイン」をテーマにお届けする新シリーズ、
第1弾として今回のブログでは、「メタファーの力」がユーザー体験にもたらす効果に焦点を当てたいと思います。
複雑なデジタル体験をシンプルに、感情的につなげる「メタファー」の可能性をご紹介します。
 
 

 

デジタルプロダクトの複雑さをシンプルに変える―メタファーがもたらす直感的な理解

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ユーザーとの感情的な繋がりを構築する―心に響くデジタル体験を生み出す

メタファーの第二の重要なメリットは、「感情的な繋がりを構築する」効果です。優れたメタファーは単なる機能説明を超え、ユーザーの感情や記憶に働きかけることで、より深いエンゲージメントを生み出します。

Airbnbは、単なる宿泊予約サービスから「旅」のメタファーを全面に打ち出したことで、「その土地での特別な体験」を提供するブランドへと変貌を遂げました。「地元の人のように暮らす」というコンセプトは、宿泊という機能的価値を超えて、冒険や発見、地元との交流といった感情的な価値を想起させているのです。

親しみのあるメタファーを用いることで、ユーザーの中での共感や感動を生み出し、ブランドとのポジティブなつながりを強化することができます。例えば、写真共有アプリが「思い出の保管庫」というメタファーを採用することで、単なる画像ストレージではなく、「大切な記憶を守り継承する」という感情的な価値を想起してもらうことができるのです。

さらにメタファーは人の無意識に働きかけるため感情面での共感を呼びやすく、競合との差別化においても効果的です。KIRINの「FIRE」とZippoライター、IBMの「ThinkPad」と松花堂弁当などは、メタファーが感情的なつながりを生み出す成功例として挙げられると思います。つまり感情に訴えかけるメタファーは、ユーザーのロイヤリティを高め、長期的な関係構築に貢献するパワーを生み出すことができると言えると思います。
 
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新たな体験価値を創出する―メタファーの力を使ったブランディング

メタファーの第三のメリットとして、「新たな体験価値を創出する」可能性があることが挙げられます。適切なメタファーは、ユーザーに新しい視点や価値観を提供し、従来の期待を超える体験を生み出すことができます。

例えば、銀行アプリが「従来の窓口サービスのデジタル版」ではなく、「家計の健康管理アプリ」というメタファーを採用したとしたら、単なる取引履歴の確認から一歩進んだ価値を提供できるようになると思います。支出は「バイタルサイン」、資産形成は「トレーニング」、家計診断は「健康診断」などと表現することで、ユーザーに「お金との新しい関わり方」を提案できるのです。

また、病院のサービスをホテルに見立てることで、これまでの病院体験とは異なる快適さや安心感を提供することができます。診察室は「カウンセリングルーム」、待合室は「ラウンジ」、患者は「ゲスト」として扱うことで、医療という緊張感を伴う体験を、より快適で親しみやすいものへと変換できるのです。

特にブランディングの観点から見てみると、メタファーは「抽象的なブランドコンセプトを、具体的なユーザー体験として表現する強力なツール」となると言えます。多くの企業がブランドの世界観をデジタルプロダクトに落とし込むことに苦労していますが、適切なメタファーを選ぶことで、ブランドの本質を象徴的に表現し、その比喩内容から一貫した体験を設計することが可能になります。

さらにメタファーは「一見しただけでは気がつかない」ため競合に模倣されにくいという大きな利点も持っています。過剰な「説明」に頼らない「メタファー」の活用は、競合との差別化を図る効果的なコミュニケーション手段となります。
 
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UXデザインにおいて、メタファーが"橋渡し"をする

ここまでみていただいた通り、メタファーを使うことで、複雑さをシンプルに変え、感情的な繋がりを構築し、新たな体験価値を創出する、ことが可能となります。ウェブサイト、ECサイト、アプリといったデジタルプロダクトの世界観構築において、メタファーがデジタルの世界と人間の感覚を結ぶ架け橋となることで、複雑さをシンプルに変え、感情的な繋がりを構築し、新たな体験価値を創出することができるのです。

ただしメタファーを効果的に活用するためには、「相手がそのメタファーを理解できる」ことがポイントとなります。話し手と受け手の間で前提や文脈(コンテクスト)が共有されていないとコミュニケーションにズレが生じてしまうのです。ターゲットユーザーの文脈を深く理解し、プロダクト全体を貫く一貫したメタファーを設計することで、製作チーム全体においてもプロダクト全体の共通理解を促進し、ユーザーとの強い関係を築けるデジタルプロダクトを構築することができるのです。
 
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いかがだったでしょうか?あなたのデジタルプロダクトの設計に、「メタファーの力」を取り入れてみませんか?
 
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