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2025.08.18

Series|合成ユーザーを使ってビジネスの種を見つける5日間―これまでのシリーズブログの振り返り



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こんにちは!
先日お届けした新連載
「合成ユーザーを使って、ビジネスの種を見つける5日間」、ご覧いただけましたか?

家電メーカーのマーケティング部門で働く山田さんが、上司から突然託されたミッション──「アジア市場における働き盛り世代の朝食ビジネス機会の仮説構築」。
 そこから始まる5日間のリサーチの旅の中で、「合成ユーザー」を起点に生活者の声を探り、社内のリアルな知見と組み合わせながら、アイデアの核となる仮説を導き出していく物語。
この話はフィクションですが、mctのグローバル成長チームが実際にAIを活用したグローバルリサーチの手法を開発・実践する中で得た発見や、仮説構築のための独自フレームワークをベースに構成されています。

今回のブログでは、DAY1〜DAY5を簡単に振り返りながら、「合成ユーザー×リアルユーザー」のハイブリッドリサーチがどのように仮説構築を進化させるのかを、あらためて整理してお伝えします。

また、「合成ユーザー」に興味を持たれた方へ、無料オンライン相談会をご紹介しています。ぜひ、お気軽にお申し込みください。
 
 ※参加希望が多い場合は、実施数を調整させていただく場合があります。


 
 
ある月曜の朝、山田さんは上司からこう言われます。
 
来週の企画会議までに、アジア市場の朝食ビジネスについて、筋の良い仮説を立ててほしい
 
限られた時間と予算の中で、どうやって質の高い仮説を構築するのか。そこで山田さんが出会ったのが、
リクルーティング不要ですぐにインタビューができる「合成ユーザー」という新しいリサーチ手法でした。
 
ここから始まった5日間の挑戦が、どのように仮説構築を変え、実践に役立つ深いインサイトを生み出したのかをお伝えします。
 
 

DAY1:AIとの問いから始まるリサーチ設計

まず山田さんは、「誰に、何を、なぜ知りたいのか」というリサーチ設計を明確にしました。

  • 対象:日本・中国・ベトナムの3カ国
  • 想定ユーザー:朝食にこだわる30代のビジネスパーソン
  • 最初の質問:「普段の朝食について教えてください」

それぞれの合成ユーザーから返ってきた回答は驚くほど自然でリアルでした。
しかし山田さんは同時に、「表面的な質問では表面的な答えしか得られない」と痛感します。

■ポイント
AIから深いインサイトを得るには、プロジェクトの目的を明確にし、「何を明らかにしたいのか」という問いを丁寧に設計することが重要です。AIは強力なツールですが、使いこなすには“問いの質”が鍵になります。

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DAY2:ラダリングで「文化の深層」を掘り起こす

山田さんは、「なぜそう思うのか?」「どんな場面か?」といった質問を通じて、価値観や状況の背景を探るラダリング手法を導入しました。その結果、国ごとに異なる文化的価値観が見えてきます:

  • 日本:バランス重視
  • 中国:効率重視
  • ベトナム:伝統重視

ただ、その“リアルさ”に疑問も。AIの答えは本当に実際の人々の感覚と一致しているのか?という検証の必要性を感じるようになります。

 

■ポイント
ラダリングを活用することで、ユーザーの表面的な発言の背後にある「本音」や「価値観」に迫ることができます。AIでもこの手法を応用することで、深いインサイトに辿り着くことが可能になります。

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DAY3:AIの洞察を「リアルユーザー」で検証する

AIの示す価値観が現実の生活に即しているかどうかを確認するため、山田さんは社内の中国・ベトナム出身スタッフに話を聞きました。

  • 中国では、都市と地方での朝食文化の違いや、朝食専門店の存在など、現地ならではの情報が得られました。
  • ベトナムでは、フォー屋がコミュニティの場になっていることや、朝食に温かさを求める文化背景など、AIだけでは見えない生活感が明らかになりました。
 
■ポイント
AIは「傾向」を示すのが得意ですが、そこに生活の文脈やリアルな具体性を与えるのは、やはり人の声です。AIの示唆をベースに、リアルユーザーの声で補完・検証することで、より実践的なインサイトが生まれます。
 
 
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DAY4:AIを「客観的な第三者」として活用しアイデアをブラッシュアップ

チームでアイデアをブレストしたものの、「アジア横断の統一コンセプト」か「国別カスタマイズ」かで議論が行き詰まりました。そこで山田さんは、AI合成ユーザーに直接コンセプト案をぶつけ、フィードバックを得ることに。

  • 日本:「地域性や温かみがもう少し欲しい」
    中国:「効率は良いが地域の慣習を考慮してほしい」
    ベトナム:「フォー屋など地域文化が軽視されるのが不安」

これにより、チームは「共通の価値観を国ごとにローカライズする」という方向性にたどり着きました。

■ポイント
議論が行き詰まったとき、AIは“忖度のない第三者”として機能します。多様な視点から率直な意見を返してくれることで、見落としていた論点や気づきにたどり着きやすくなります。

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DAY5:「AI×リアル」で見えた仮説構築の新スタンダード

最終日、山田さんはこの5日間で得たAIとリアルのそれぞれの強みを整理しました。

  • AIの強み:短期間で文化的価値観の傾向をつかみ、仮説の構造を素早く作れる。ラダリングとの相性も良好。

    リアルの強み:具体的な商習慣・生活文脈を把握でき、AIでは拾えない“肌感”を補える。

この2つを組み合わせることで、より実践的で説得力のある仮説にたどり着くことができたのです。
 

■ポイント
AIはスピード、リアルは実感値。この両者を掛け合わせることで、仮説構築の質とスピードを両立することができます。「AI×リアル」のハイブリッドアプローチは、リサーチの新しいスタンダードになり得ます。
 
 
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【連載】 Series|合成ユーザーを使ってビジネスの種を見つける5日間

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